フード・レストラン

ホントが知りたい 食の安全

クロマグロ、食卓から遠のく? 期待の養殖にも壁 ホントが知りたい食の安全 有路昌彦

2013/6/28

 マグロに関する最近ホットな話題といえば、国内のクロマグロ養殖の新規拡大を原則認めないことになったことです。2012年10月26日に出された農林水産省による漁業法に基づく指示であり、法的根拠を伴う強力な規制です。

 これにはクロマグロの資源状態がかなり悪いという実情があります。

鳥取県の境港で今シーズン初めて水揚げされたクロマグロ

 インドマグロやミナミマグロという近縁種を除くいわゆる「クロマグロ」は、基本的に北部大西洋・地中海および太平洋に分布しています。そこで漁獲したたほとんどが日本で消費されており、だいたい合計で5万トンくらいになります。

 北部大西洋・地中海では現地で漁獲したものを凍結し、日本に届けていました。とにかく良いお金になるということで、各国政府や国際資源管理機関が相当に努力をしてきたのにもかかわらず、資源は大幅に減少してしまいました。

 通常の漁獲のほかに、脂が抜けて地中海に入ってきたクロマグロをイケスでエサを与えて太らせる「蓄養」(ちくよう)がクロアチアなどで盛んにおこなわれています。通常の漁獲と蓄養のダブルパンチで、かなり天然資源に対するプレッシャーが大きくなったのです。

■ワシントン条約からは外れたが…

 日本では法的に規制すると、強力に実行力を伴うのですが、全ての国がそういう状態というわけではありません。当然「実行力」に乏しい国はあり、そういう国が、ある意味、「抜け道」になってきた側面もあります。

 つまり「買う人」がいれば、供給を規制しようとしてもルールを無視して供給しようとする人が出ます。特に全体的に供給しにくくなればなるほど、需要に対して供給が不足しますので単価が釣り上がり、ルールを無視してまでクロマグロを獲って日本人に売ろうということになるのです。

 これに対して、数年前、絶滅の恐れがある生物の貿易や取引を規制するワシントン条約の種に選ぶべきだという議論も起こり、一時騒然とした事を記憶されている人もいるでしょう。

 結局は資源管理のルールを強化すること(特に漁獲量を3万トン減らすこと)でワシントン条約で調整することにはなりませんでしたが、結果として大西洋・地中海のクロマグロの漁獲および蓄養は大幅に減少しました。

 事実、資源量は低位減少(最大資源量の3分の1以下でさらに減少傾向)にあるとされ、研究者によっては最大資源量の10%程度までに減少しているという指摘もあるほどです。北部大西洋・地中海のクロマグロの漁獲や蓄養は、資源回復のため厳しい漁獲規制が続けられるものと考えられます。

フード・レストラン