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家を買うなら増税前か 知っておきたい注意点

2012/11/21

 消費税は2014年4月に8%になり、2015年10月には10%に引き上げられる予定です。住宅の購入を検討している人は、このスケジュールがとても気になるのではないでしょうか。税負担の重さを考えると、手元資金が多少不安だったとしても、増税前に購入する方が得なようにも思えます。しかし、住宅購入を急ぐことにもリスクはあります。消費税の増税前に駆け込み購入をする方が得なのかどうか、専門家の意見を聞きました。

 9月下旬、東京都中央区の新築マンション販売説明会に、予定の100組を上回る人が詰めかけた。50平方メートル台の物件で5000万円台、都心にしては比較的購入しやすい価格帯だ。販売を手掛ける野村不動産は、人気の理由は「立地にある」としながらも「来場者は消費税アップを気にし始めている」と言う。

 消費税は2014年4月に5%から8%に、2015年10月に10%に上がる予定。その前に住宅を駆け込み購入する兆しが出てきた。

 消費税は土地にはかからず、新築物件であれば建物が課税対象となる。中古住宅は、個人の売り主から購入する場合は不動産会社の仲介手数料にのみ消費税がかかる。新築マンションの場合、土地と建物の価格比は一般的に3対2ほど。仮に建物部分2000万円に対して、3%上がると60万円、5%アップで100万円上がる。やはり、増税前に購入した方が得なのか。

■増税後に価格下落は起きるのか

この人たちに聞きました

 1997年に消費税が3%から5%に上がった際には、駆け込み購入で価格が上昇した後に、価格下落が起きている。とすれば「今回も価格上昇後の下落を待つ」ほうが得策なのか。不動産のプロに消費税増税で損をしない住宅の買い方を聞いた。

 個人向け不動産コンサルティング会社さくら事務所代表の長嶋修さんは「今回は、駆け込み需要もその後の冷え込みもほとんど起こらず、価格変動は小さい」とみる。1997年の増税時と今では、環境が大きく異なるという。

 前回消費税が引き上げられた1997年前後は、日経平均株価は一時2万円台。団塊ジュニア世代が世帯を構える時期を控えて住宅を買っておこうという機運もあった。消費税引き上げ後の価格下落は、山一証券倒産など金融不安の影響も大きかったという。「今は収入減も続き、住宅購入者は保守的になっている。増税前の駆け込み購入は、もともと買う予定がある人に限られる」と長嶋さん。

首都圏地域別新築マンション価格の推移(1戸平均価格、東京カンテイの中山さん作成) 

 東京カンテイの上席主任研究員の中山登志朗さんも前回とは違うとしながら、別のシナリオを描く。「2015年に向け緩やかな駆け込み需要で価格が2~5%上昇。2016年はやや下がるものの現在の水準にとどまる」と予測する。

 1997年前後から2005年にかけて新築マンションが大量供給されたが、リーマン・ショックを受けて、新興デベロッパーの多くが倒産。大手不動産会社の寡占化が進んだ。「消費税が10%に上がった後、大手デベロッパーを中心に供給調整が行われ、都心部では価格がさほど下がらないだろう」(中山さん)。

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