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ホントが知りたい 食の安全

日本でおいしいマグロが食べられる理由 ホントが知りたい食の安全 有路昌彦

2013/6/14

 今回から数回にわたってマグロの話をしようと思います。

 マグロは日本人が大好きな魚であり、よく食べられています。種類は最も高級なものがクロマグロ、一番刺身用で多いのがメバチマグロ、そしてより安価なキハダマグロ、色が薄くツナ缶に加工されることが多いビンナガマグロがあります。

 日本ではカツオはマグロと分けられていますが、世界的にはカツオはマグロの一種と扱われスキップジャック・ツナ(Skipjack tuna)と呼びます。

■瞬間冷凍の技術

 マグロの最もおいしい食べ方は、すしや刺し身といった生食ですが、マグロは世界中の海を回っていますので、量を確保しようと思えば世界中から集める必要があります。かつては、生マグロを確保してその鮮度を維持するのは輸送に時間がかかるため、簡単ではありませんでした。

築地市場のセリ場に並んだマグロ

 おいしいものを食べたいのが日本人の性。日本人は特にマグロを生で食べたいという意欲が強く、それを可能にしたのが瞬間凍結と超低温冷凍です。

 「ブライン液」という飽和塩水は凝固点が低く、マイナス20℃でも液体です。その状態のブライン液にマグロをドボンと入れると、一瞬で凍ります。こうやって瞬間凍結したマグロを、品質維持可能な超低温冷凍庫(マイナス50℃)で保存すると、解凍しても、漁獲した時の鮮度をほとんど保った状態になります。その鮮度たるや、死後硬直すら、解凍後に始まるほどです。

■マイナス50℃で保存する理由

 なぜマイナス20℃のままではなく、マイナス50℃の超低温冷凍庫で保存する必要があるのでしょうか。

 マグロは赤身なので、ヘモグロビンを多く有しています。このヘモグロビンは、通常時間がたつと色が悪くなります。これを「メト化」といいます。

 ブリを買ってきて、血合いの部分がきれいな赤色からくすんだ茶色になるのと同じ原理です。見た目が悪くなると食欲をそそらないこともありますが、メト化と連動して酸化も進み、味も悪くなってしまいます。

 つまり、メト化を防ぐことがとても大事です。その方法として超低温冷凍があります。マイナス20℃程度では凍結していてもメト化は進みますが、マイナス50℃くらいならメト化は進みません。

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