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きらら397は○、キラキラは× コメの名前どう決まる

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「きたくりん」「ほっかりん」「風さやか」……。米穀店をのぞいたら、見慣れない名前のコメがあった。聞けば新品種だという。そういえば近所のスーパーでも「つや姫」や「ゆめぴりか」などの新顔が目に付く。どれもコメの名前とは思えないような、個性的な名前だ。これらの名前、どうやって決まるのだろうか。

「空育172号」→「きたくりん」、「上育453号」→「ゆめぴりか」

北海道産の「きたくりん」は、2月に名前が決まったばかり。北海道農産振興課によると、病気に強く、農薬を減らせることから、クリーンを意味する「くりん」と北海道の「きた」を組み合わせた。北海道中心に試験的に販売している段階で、道外では一部の米穀店でのみ扱っているという。

それまでは「空育(くういく)172号」という系統名がついていた。系統名とは、その品種が育成された試験場の地域名と番号を機械的に振った名前だ。「空育」の場合、空知管内にある中央農業試験場の水田農業グループが開発した、という意味。ちなみに「きらら397」は上川農業試験場が育成し、「上育(じょういく)397号」と呼ばれていた。

北海道農産振興課によると、「きたくりん」は関係者に候補を挙げてもらい、その中から決めたという。北海道で4割の作付面積を占める主力銘柄「ななつぼし」と同じやり方だ。

一方、このところよく見かけるようになった「ゆめぴりか」は広く一般に名称を募った。3千を超える候補の中から最後は専門家で構成する選考委員会が決めたという。「ぴりか」とはアイヌ語で「美しい」を意味している。系統名は「上育453号」だった。

北海道がコメの名前を一般公募したのは、1988年の「きらら397」から。2万通もの応募の中から「きらら」が選ばれ、そこに系統名の「397」を加えた。個性的な銘柄名の先駆けとなったコメだ。

「つや姫」、命名時の対抗馬は「山形97号」「出羽穂の香」「おしんちゃん」……

一般公募したものの、曲折があったのが山形の「つや姫」だ。

山形県がブランド化を目指し、全国に募集を呼びかけたのが2008年8月。わずか1カ月で3万を超える応募があり、県がその中から商標登録されているものや誤解を招くようなものを避けて選抜し、県民投票にかけた。候補となったのは以下の7点。

「山形97号」「つや姫」「一の穂」「出羽穂の香」「千年の恵」「おしんちゃん」「めでためでた」

結果は予想外だった。

県民投票1位は系統名「山形97号」、「つや姫」は3位だった

栄えある1位となったのは、なんと系統名そのままの「山形97号」だった。候補の中で「山形」が付くのはこれだけ。県民の山形愛の表れなのか……。

2位は「出羽穂の香」、3位が「つや姫」、4位「おしんちゃん」、5位「千年の恵」、6位「めでためでた」、7位「一の穂」――という結果となった。最も支持を集めた「山形97号」と「つや姫」との差は1300票を超えた。

投票結果を覆したのは、別途実施していた首都圏での調査だった。東京の百貨店で新品種を試食してもらい、どの名前がふさわしいかアンケートを行ったところ、最も好評だったのが「つや姫」だったのだ。1番の売りである「つや」が東京の消費者にも受けたこと、さらには他県への生産拡大を視野に入れていたことなどを考慮して、投票結果と異なる命名となった。

コメの名前、昔は「国が育成=カタカナ」「都道府県=ひらがな」だった

コメの銘柄名にはかつて、国の機関や国が指定した試験場で育成されたものはカタカナ、都道府県が開発したものはひらがなもしくは漢字、というルールがあった。それぞれ6文字以内とされていた。「コシヒカリ」や「あきたこまち」はこのルールに準拠している。

潮目が変わったのは1991年。国指定の古川農業試験場(宮城県大崎市)が育てた品種が「ひとめぼれ」と命名されたのだ。国が運用ルールを緩めたことで、ユニークな名前が次々生まれるようになり、現在では新品種の多くがひらがなベースとなっている。

「スーパーバイオレットアクエリアスピンクレディ平成白雪」?

ところで各地で自由に命名されるようになったコメの名前にも、種苗法に基づき最終的に品種登録される際には一定の基準がある。登録商標に該当しない、性質を誤解されないなど常識的なものだが、農水省新事業創出課によるとマニュアルがあるという。これはコメだけではなく、農産物全般に適用される。

その「品種名称審査基準マニュアル」を見て驚いた。「不可」となる事例が極端なのだ。本当にそんな名前を付ける人がいるのだろうか。ダメな例をいくつか抜粋しよう。

1.「スーパーバイオレットアクエリアスピンクレディ平成白雪」

2.「あきらまゆみ たか ちえこさぶろう」

3.「ザーザー」「ワンワン」「キラキラ」「サラサラ」

4.「きれいだ」「静かだ」

5.「ぎゃぎゅぎょー」「ガガガ」

1は「長すぎる」、2は「名詞が複数並び主要な構成単位がどれか判別できない」ことが不可の理由。では3は? マニュアルによれば、擬音語、擬態語だけではダメだという。ただし名詞などがつけば認められることもある。「キラキラ」はダメでも「きらら397」は大丈夫なのだ。

新品種の味、五ツ星お米マイスターが解説

続々出てくるコメの新品種。それぞれどんな味なのだろうか。東京都目黒区の米穀店、スズノブの社長で、五ツ星お米マイスターの資格を持つ西島豊造さんに聞いた。

「ここ数年の新品種の中で特に注目度が高いのが北海道の『ゆめぴりか』と山形の『つや姫』、それに佐賀の『さがびより』です」

「ゆめぴりかは粘りと甘みが特徴。コシヒカリと明確に違う個性的な味ですね。コメ自体の味が濃いので、肉料理など強い味のおかずにも負けないおいしさがあります」

「つや姫はなんといっても炊きあがりの美しさ。日本一のつやといってもいいかもしれません。甘みも強い。和食にも合うので朝食にいいですね」

「さがびよりは粘り、甘み、軟らかさのバランスがいい。あっさりしていて食べやすく、あらゆる料理に合うおいしさです」

西島さんによると、冒頭の「きたくりん」は粘りが強く、ややあっさりしている。玄米で食べてもおいしいという。青森の「ほっかりん」も粘りが強く個性的な味わい。長野で生まれた「風さやか」はコシヒカリに近い食感で、コシヒカリよりはあっさりしている。

西島さんがひそかに注目している銘柄がある。宮城県が育成中の「東北194号」。「ササニシキ」を母、「ひとめぼれ」を父とする大型品種だ。「ササニシキのあっさりした味を引き継いでいて、伝統的な和食に合う。特に海産物との相性が抜群」という。

このほか今年は茨城から「一番星」、滋賀から「みずかがみ」という名の新品種が登場する。ブランド米競争はますます激しくなりそうだ。

食味ランキングでは九州勢が躍進

新品種の勢いは、食味ランキングにも表れている。日本穀物検定協会(東京・中央)が2月に発表した2012年産米の食味ランキングでは、「ゆめぴりか」「つや姫」「さがびより」「元気つくし」「きぬむすめ」といった新品種が最高ランクの特Aを取得した。

中でも九州勢の躍進がめざましく、最高点をたたき出したのは熊本産「森のくまさん」。次点は熊本・城北産「ヒノヒカリ」と佐賀産「さがびより」、栃木・県北産「なすひかり」となった。

同協会では「品種改良や生産技術の向上で、全国的においしいコメが増えている」と指摘する。温暖化の影響でコシヒカリなど既存品種が苦戦する一方、新品種の多くは夏の暑さに強く、評価を高めた。

ただその一方で「特Aブーム」の過熱を懸念する声もある。

スズノブの西島さんは「特Aを狙って優良産地だけ力を入れる地域もある」と話す。「その結果、同じ銘柄でも品質のバラツキが大きくなり、せっかく特Aをとっても銘柄全体の評判を落とすケースが出てきた」と嘆く。

2、3年のうちにはコメどころの新潟や宮城からもポスト・コシヒカリ、ポスト・ササニシキを目指す銘柄が出てくる予定で、新品種ラッシュはまだまだ続く。5年後、10年後に生き残っているブランド米はどれか。ネーミングやおいしさ、価格などを手掛かりに、市場は容赦なく選別していく。

(電子報道部 河尻定)

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