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都議会やじ差別発言、アメリカだったら…

米国在住ジャーナリスト 長野美穂

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NIKKEI STYLE

日経ウーマンオンライン

「都議会での例の問題発言について、アメリカではどう受け止められているか、長野さん、コメントしてくれませんか? 今なら明日の朝刊に間に合いますんで!」。

LA時間の深夜、日本の某新聞社の記者さんから電話がかかってきた。

今では日本国内外であまりにも有名になった都議会の例のシーン。最初にそれをCNNの報道で見た時、一番印象に残ったのは、塩村議員のとっさの反応と、それを受けての周囲の議員たちの反応だった。

驚いてはっと顔を上げ、発言者の方向を見た彼女は、とっさに言葉に詰まった。そして、次の瞬間には表情がぎこちないほほ笑みに変わった。首を傾けながら「ふーっ」と息を吐き出し、ほほ笑みとも困惑とも取れる表情を浮かべてスピーチを続けようとする彼女。そして彼女を取りまいたのは周囲からの笑い声だった。

見た瞬間、いやーな感じがわき上がってきた。昔、自分がセーラー服を着た中学生だった頃、身動き取れないほど混んだ朝の電車の中で、痴漢に遭って「やめてください」と小さく声を上げても、周囲の大人の男性たちが誰ひとりとして助けてくれなかった時の「あの感覚」が蘇ってきた。

「キャリー」というホラー映画で、主人公のキャリーが天井から降ってきた豚の血を浴びせられるいじめ場面があるが、まるでそのシーンを見せられているような気もした。

投げつけられた差別発言のひどさは当然ながら、侮辱を受けた女性議員が、我慢して無理にほほ笑んで「自衛」するしかなかったその場の空気。そこに日本社会の闇の深さが見えて、切なくて、胸が痛んだ。

議長が差別発言にストップをかけるでもなく、彼女を擁護して「やめろよ」と立ち上がる男性議員がひとりもいない環境で、女性議員がサバイバルするために瞬間的に身につけるしかなかったあの「微笑」なのだと思うと何とも悔しくて切ない。

小さい頃から常に気配りや女子力を要求され、嫌がらせは上手にやり過ごせ、と社会から刷り込まれて育った日本女性が、公の場で、腹の底からの本気の怒りを表現することをずっと許されないできた社会の無言の圧力。

そして、その根の深い閉塞感。

これは日本で生まれ育った女性なら、肌でいやっていうほどわかるから、よけいに、はらわたが煮えくりかえるわけだ。

差別を受ける側が安心して怒れない理由

「アメリカやイギリスの女性なら、あの場面で黙って我慢しない。激怒して当然だし、そうしてるはずだ。日本女性ももっと強くなって男勝りになって欲しい」という趣旨のコラムをネット上で読んだが、筆者の男性は、なぜ塩村議員があの場でとっさにほほ笑んで「自衛」するしか手がなかったのか、その理由がわかっていないのか? と歯がゆく思う。

アメリカ人女性なら、恐らくあの場でスピーチを中断し、発言が飛んできた方向に向かって「今の発言は誰ですか? どういうつもりですか?」と追及するだろう。でも、それは、アメリカ人女性の個人個人が勇気があって強いからではない。

アメリカ社会、特に議会などという公人ばかりが集まる場面では「差別発言はそれだけでアウト」という「建前」が徹底しているからだ。

米国でも国政に携わる連邦議会の議員が連邦議会内で発言をする場合、その発言を理由に訴訟を起こされることはないという「議員特権」が与えられている。

だから例え連邦議会内で連邦議員が鈴木議員と同じ発言をしたとしてもその議員が訴えられることはない。

だが、セクハラ発言や差別発言は、言った瞬間に自らの政治生命をその場で終了させる自殺行為だということは、住民から票を入れてもらって現在の職につけた人間なら、当然知っているのが当たり前だ。

男女平等の「建前」が公の場で徹底しているということの意味

公の場では「男女平等」の「建前」が徹底しているアメリカ社会では、女性が侮辱されて本気で怒っていい時に、女性が「女子力」という名の「手加減」や「ほほ笑み」を周囲から要求される社会ではない。

そういう社会で赤ちゃんの時から育ってきたアメリカ女性たちが、「結婚したらいいんじゃないか」というスカッド・ミサイルを撃ち込まれたら、その場で瞬間的に厳しく抗議できるのは、当たり前のことなのだ。

女性が腹の底から本気の怒りを顔いっぱいに100%自由に表して理不尽な扱いに怒ることが「レディらしくない」と批判されることがなく、当然「正しいこと」と完全に容認されている社会だからこそ、アメリカ人女性は安心して怒ることができるのだ。

アメリカでも昔、南部の黒人奴隷には白人の主人に怒る権利などなかった。理不尽な差別に怒りを表現したら、必ず仕返しされるか、下手したら半殺しにされるとわかっているから怒りを抑圧するしかなかった。

つまり、自分の人権が完全に保証されている場だと肌で感じられなければ、人は安心して怒りを自由に表現することなどできないのだ。

男性ボスから言われた言葉「一歩下がって歩かないで!」

実際には男女差別が存在するアメリカ社会で、この「建前」である男女平等がどのぐらい「公」で徹底しているかを実感したことがある。

日本から北ミシガンの人口6000人の小さな街に移り住み、その街の新聞社で記者として働きはじめた第一日目、エディターのボスのケンから「ミホ、一緒にランチに行こう」と誘われた。

レストランまで歩く道のりで、ケンは私にこう言った。

「ミホ、私の一歩後ろを歩くのはやめてくれないかな。これじゃ、私がとんでもない男女差別主義者に見えちゃうよ。頼むから私の横に並んで歩くか、むしろ、私の半歩先を歩いてよ。お願いだから」。

そう言われるまで気づかなかったが、無意識のうちに、自分より年上で、目上であるボスのケンよりも半歩から一歩後ろを歩いていた。

その違和感を瞬時のうちに察知し、即座に私に指摘したケン。

ああ、これがアメリカ人の男性ボスと一緒に、米国のアメリカ企業で働くということなんだな、と私が最初に実感した瞬間だった。

小さな田舎街の唯一の新聞社のエディターとなれば、多くの人から「識者」として扱われ、街は知人だらけというのがケンの立場だ。議員ではないが、ほぼ公人と同じだ。白人だらけの街で、アジア人の女性を後ろに従えるようにして歩いている自分が周囲からどう見られるか、彼は一瞬で判断し、自分に被害が及ぶ前に危機管理をしたのだった。

職場で誕生日を祝っても決して年齢は聞かない

そしてその同じ年の私の誕生日には、マネジング・エディターが「みなさん、今日はミホの誕生日です!」と言って、ニューズルームでケーキをサプライズで用意してくれていた。

「ハッピーバースデー!」と何十人もの社員から次々お祝いの言葉を受ける中で、ただの一度も「で、いくつになったの?」と私に聞く男女はいなかった。年齢を聞くこと、特に女性の年齢を聞くことは、アメリカ企業では絶対にタブーだからだ。

アメリカ企業に入社する場合、「年齢、性別、人種差別などを我が社は許さないが、これに同意するか」という契約書にサインするのが普通だけに、年齢を聞くことは下手したら年齢差別になってしまうという共通認識なのだ。

その後、大都会であるロサンゼルスの米新聞社に入社しても、年齢や結婚しているかどうか、子供がいるかどうかを同僚や上司から直接聞かれたことはない。

隣に座って何年も一緒に仕事をしている男性の年齢や年収を私は知らないし、向こうも私に絶対に聞かない。年齢に関しては、男性からだけではなく、女性のボスや女性記者から聞かれたことも一度もない。

例外はたった一度だけ、別部署の同僚の中国系のアメリカ人女性と一緒にテニスコートでテニスをしている時に「ねえ、同じアジア人の女性同士だから聞いちゃうけど、ミホはいくつなの?」と尋ねられた時だ。彼女は中国で育ち、アメリカに両親と一緒に移民してきた人だった。

それが十数年間の私のアメリカ生活で、アメリカ人からたった一度だけ年齢を聞かれた体験だった。

無菌室に菌が侵入したらレッドフラッグが上がる

新聞記者やエディターというのは、言葉でご飯を食べている人間たちだ。そのせいか、私は議論の下手なアメリカ人記者や、自己主張をしないエディターをまず見たことがない。相手を瞬時に刺すような鋭い毒舌や、時にはFワードが機関銃のように飛び交うのがニューズルームだ。

そんな中でも、サッカーで相手の身体を掴んだりするのがルール違反なように、年齢はいくつか、結婚歴や離婚歴があるか、または太っているやせているなどの身体的特徴などに関して、同じ職場で働く者同士、コメントしたり、質問したりしないのが最低限のお約束なのだ。

職場では個人のプライバシーに関することは、相手が開示しない限り、完全にオフリミットなのだ、とみんな無言のうちに見事に「建前」を共有している。

それは個人が内心どんな偏見を持っていようと、公の場ではそれを口にしないことを意味する。差別発言を口にした瞬間、職を失う危険がある。終身雇用制が存在しないというのは、そういうことなのだ。

だから、どの米国企業や議会の内部でも、日頃「結婚しないのか」や「産んだらどうか」などの発言がない場所で、アメリカ人女性は生活しているわけだ。

少なくとも建前上はそうだ。

そんな中で差別発言を投げつけられたら、無菌室の中に菌が入り込んできたようなものだ。発言を聞いたとたんに誰の脳のセンサーでもその菌の存在が即座に認識でき、レッドフラッグが上がる。

そんな場合、米国議会なら周囲から「異議あり!」と差別発言に対して声が上がるはずだ。これも、米議員の正義感が、日本人議員より強いからではない。

「差別発言を聞いて反論せずに沈黙していること」イコール「差別発言に賛成している」と判断される徹底したスピーチ文化の米社会だから、自分の政治生命を何としても守るために「私はこんな差別発言には反対だ」と有権者らに公に示し、議事録に記録してもらう必要があるのだ。

人種差別だらけの土地で、Fワードを暗記した日々

女性差別も人種差別もそれだけで「公」ではアウトな行為だが、アメリカの土を踏んだとたん、私は自分の肌の色を理由に、差別発言を投げつけられるという経験を数限りなく味わってきた。ミシガンの田舎町で、すれ違いざまに集団で歩いている白人少年や白人男性たちから「チャイニーズ・ゴーホーム!」と叫ばれたことは何度もある。白人の友人と一緒にいる時は決して言われないが、ひとりだとこういう差別攻撃に遭った。それが現実だ。

そんな時、どう対応するか。

まず、初めて人種差別発言を投げつけられた時は、ショックで頭が真っ白になった。ものすごくひどいことを言われたことはわかる。すれ違いざまに予告なく爆弾を落とされた感じだ。でも、そのショックをすぐに「怒り」として表現できないのだ。発言者が笑いながら通り過ぎ、彼らが見えなくなった時、心の底から怒りがわき上がってくる。

「あ、私、これ、怒っていいんだ」と遅まきながら脳が認識できるのもその時だ。

時間差があるのだ。

そうなると悔しくて眠れない。

道で差別発言を何度か叫ばれるうちに、瞬時にしてやり返すにはどうしたらいいかを本気で考えた。

同僚男性記者たちに相談すると「これを言え」と「相手を瞬殺できる破壊力満載のFワード」をいつくか教えてくれた。単なる「ファ××・ユー」では破壊力が足りないと、同僚たちはもっと長い複雑なフレーズ、特にデトロイトのゲットー出身の英語ネイティブが使うようなFワードのフレーズを教えてくれた。

そう、ミシガン州はあのラッパーのエミネムを生んだ土地である。Fワードにも多彩な種類があり、エミネムの歌詞のように高度に韻を踏んだFワードは、こちらをガイジンだとバカにしている英語ネイティブの相手に、最大限の不意打ちとダメージを与えることができる。

それを全てポストイットの紙に書き、車のダッシュボードに貼り、運転している間に何度も練習した。

差別用語のミサイルが撃ち込まれたら、瞬時に考えずに口から出るように、異なる差別用語ごとに別のFワードをアレンジし、この言葉を言われたらコレ、あの言葉ならこっち、とパブロフの犬のように言えるように、脳神経に叩き込んだ。発音が悪くて相手に通じなかったら意味がない。徹底的に発音にも注意を払い、大きく口を開けて練習した。

そんなある日、信号待ちで、Fワードを練習していたら、隣の車の運転席にいた知り合いの近所のお兄ちゃんが心底びっくりした顔をした。

その瞬間、何やってるんだろう、私、と我に返った。自分がやっていることは「目には目を」のハムラビ法典手法で、自分の中に憎悪しか生まないことに気づき、一気に空しくなったのだ。

白人のみの論説委員室で、人種差別発言が出る現実

そんな中、アメリカ社会では、男女差別発言は決してしない人でも、人種差別発言と取れる言葉をふとした瞬間に発してしまう人も結構いることに、気づいた。

特に同じ人種しかいない内輪空間ではその可能性が高まる。

「うちの論説委員たちのエディトリアル・ミーティング、あれ、ひどいよ。もし黒人かアジア人がいたら、むっとするようなジョーク発言が出てくるんだもん。白人オンリーの場って本当にそうなんだよな」と社内デザイナーのSが飲み会の席でぼそっと言ったことがある。

彼は編集部のエディトリアル・ミーティングのメンバーで、論説委員たちやトップ・エディターらが同席するその会のことを言っているのだ。

このSも白人だ。だが、妻がタイ人なので、彼は白人以外の人種の人権には人一倍センシティブなのだ。

その日の新聞の社説に何を載せるかを決めるのが、エディトリアル・ミーティングなのだが、密室の会議室の中での会話には、この場には白人しかいないからという安心感からか、普通だったらNGな人種ジョークが飛び交うこともあるとSは言う。

ある程度規模の大きな新聞社の論説委員と言えば、アメリカ言論界のインテリたちだ。差別発言を自らの新聞に印刷して訴訟になるようなことはしないぐらいの頭脳センサーは備わっている。そんな集団でも、白人同士という仲間意識からの気の緩みか、差別発言と取られかねない発言が出てしまうという現状。

つまり、どんな場でも差別発言が生まれる土壌はあり、偏見はどこにでもある、ということだ。密室での差別発言はなくならないだろう。

問題は、そんな差別や偏見を公の場で口にした段階で、どれだけ重い社会的な罰がその発言者に自動的に下されるかにかかってくるし、そんな公の場が社会の中でどれだけ多くあるか、だ。

「やられたのがコンディだったらブッシュも黙ってないだろ」

ブッシュ政権時代に米国務長官だったコンドリーザ・ライス。

シェリル・サンドバーグ的に言えば、アメリカで最も「リーン・イン」道を貫き、とことん出世し、高官の地位をゲットした女性のひとりだ。しかも白人ではなく黒人というマイノリティのハンディを背負って、出世しまくった女性だ。

彼女のファンだという30代前半の記者のマイケルはこう言った。

「ああ、あんなカミソリのように頭脳明晰な女性が次の大統領だったらかっこいいのにな。でもさ、コンディーは独身で子どもがいないから、大統領は無理かもしれないよね、実際。この国って何だかんだ言って、結婚して子供を持つ母であることが、女性リーダーに求められてるし。ハッピーなファミリー・イメージを演出しないと人格的に劣ってるみたいな。その点で保守的な国だよな。ま、次はヒラリーあたりで決まるんだろうけど。トンデモ発言が多い共和党のサラ・ペイリンがあれだけ男たちから支持を得たのも、結婚していて母だというカードを使えたからってのもあるし。独身ってだけで、下に見られて差別されかねないよな、女性は」。

今回のやじを飛ばした鈴木議員が51歳。彼と同じ年代の50代のアメリカ人男性記者はこう言った。

「もしも、コンドリーザ・ライスがあの都議会での発言を投げつけられていたら、もしかしたら、相手をパンチしてるかもね。それに彼女がそんなこと言われたら彼女のボスのブッシュが黙っていたと思う?」。

確かに。特に、当時副大統領だったディック・チェイニーは、2006年にテキサスの荒野でハンティング中に、誤って他のハンターを撃ってしまったという経歴があるだけに、自分のスタッフの女性に差別発言をするような男性議員は、森の中で猟銃用ライフルで「うっかり誤射」してしまっていた可能性もあるかもしれない。

彼がどんな父親に育てられたかそこが知りたいよ

日本で働いた経験もあるこのアメリカ人男性記者はこうも言った。

「私は53歳でこの鈴木議員とほぼ同じ年齢だけど、彼がどんな父親に育てられたのか知りたいよ。女性蔑視な発言や、母親を軽く見る発言を家庭の中で繰り返していた父親に育てられていたら、何の疑問もなく、父親をコピーするように、女性差別発言を口にするような男性に育つ可能性は高いと思うからね」。

あなたにとって、日本女性とはどんなイメージですか?

そんな質問を何人かのアメリカ人にしてみると、よく返ってくるのが「subservient」という言葉だ。「従順な」とか「受け身的で、相手に従う」という意味だ。

女性の自立と友情と恋愛を『Sex and the City』でコミカルに描いた作家のキャンディス・ブシュネルさんに10年ほど前にインタビューしたとき、彼女に日本人女性のイメージを尋ねると、こう言った。

「ぱっと思いつくのはふたつね。NYの五番街のブランド店でブランド物を買う消費者。そして、男性にsubservientというイメージ。正直、このふたつ以外の日本女性のイメージは私の中にないわね」。

今回の都議会の事件に関して、私が話したアメリカ人男性たちは開口一番、「またか」と言った。

「また日本人の男性政治家が女性蔑視発言で自爆か。言った本人は何が悪いのか全くわかってないのでは」。「コスモポリタン都市のはずの東京は、実のところは女性を二流市民として扱うような場所なんじゃないの?」という声も出た。

ただ、今回の件が新しいのは、日本女性が「subservient」な存在だという海外での認識は、ひょっとしたら過去のものになるかもしれない、という希望だ。

日本人女性だけでなく、多くの日本人男性もこの件に怒って「ノー」と声を上げているという報道が海外でもなされた。

人々の「声」が政治のガソリンである「票」を実際に動かす民主主義の原則が機能するのかどうか。トウキョウは世界から見られている。

東京の海外特派員協会で会見した塩村議員に対し「日本の恥を海外にさらす必要があるのか」と批判する意見もナンセンスだ。

自国の庭でオリンピックという名の国際運動会を開くと宣言した瞬間から、世界に「開国する」と宣言し、黒船を東京湾に「どーぞ、ウチに来て下さい」と自ら招待したのと同じなのだ。

オリンピックの開催都市で、公人が公人を公の場で差別する光景が世界に報道されなかったら、それは北朝鮮でオリンピックをするのとあまり変わりないってことだ。

東京で何が起こっているか、世界で逐一報道されることは「恥」ではなく、むしろめちゃくちゃ健全なことなのだ。

長野美穂
 東京の出版社で雑誌編集記者として約9年間働いた後、渡米。ミシガン州の地元新聞社でインターン記者として働き、中絶問題の記事でミシガン・プレス・アソシエーションのフィーチャー記事賞を受賞。その後独立し、ネイティブ・アメリカンの取材などに没頭。ボストン大学を経て、イリノイ州のノースウェスタン大大学院でジャーナリズムを専攻。ミシガンでカヤック、キャンプ、クロスカントリー・スキー三昧するのが一番の楽しみ。現在は、カリフォルニア州ロサンゼルスの新聞社で記者を経て、フリーランスジャーナリストとして活動中。

[nikkei WOMAN Online2014年7月4日付記事を基に再構成]

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