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新作公開 「エヴァンゲリオン」が拓く、アニメ制作の新スタイル

日経エンタテインメント!

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 アニメという枠を飛び越え、全世界的規模の拡大を見せる「エヴァンゲリオン(エヴァ)」。前作の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は動員300万人、興収40億円の大ヒットとなったが、同じシリーズの最新作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」が2012年11月17日に公開される。公開を前に盛り上がる同作品の制作の裏側に迫った。

1995年から翌96年にかけて放送されたオリジナルテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」。主人公の少年、碇シンジが、人型決戦兵器エヴァンゲリオンに搭乗し、正体不明の敵と戦うことになる。

戦いの理由すら曖昧な謎の多いストーリー、綾波レイやアスカといった個性的なキャラクターや、斬新なメカデザイン、明朝体の文字による印象的な演出が若者の心をつかみ、ビデオソフトや関連グッズが飛ぶように売れる大ブームとなった。アニメ作品がサブカルチャーとしての枠を超えて一般を巻き込む、「社会現象」の先駆け的な作品でもある。

12年目にして「再起動」

そんな「エヴァ」が新たな動きを見せたのは、テレビアニメ版から12年後の2007年。生みの親である庵野秀明総監督のもと、テレビアニメ版をベースに、新たなエピソードを加えて「リビルド」された映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が公開された。

全4部作とアナウンスされた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ1作目の「序」は興行収入20億円、その後2009年に公開された2作目「破」は動員300万人、興行収入40億円という大ヒットを記録した。2012年11月17日には、3作目となる「Q」が公開を控える。

1995年から数えきれない関連商品が展開されている「エヴァ」の市場は推定で1500億円超。今もなお拡大し、日本のアニメ界、そしてエンターテインメントの金字塔として君臨する。

しかし、テレビアニメ版と新劇場版には、実は「制作方法」に大きな違いがある。

「自主制作映画」として公開

現在制作されているテレビアニメ作品の大半は、複数の企業が出資して作品の制作費をねん出する「製作委員会」制度がとられている。

アニメを作る制作会社、玩具を制作・販売する企業、テレビ局、広告代理店など複数が映画に出資するのが一般的だ。そして、成功した場合は報酬を分け合い、失敗した場合も補償し合う、責任と保障の分担でリスクを減らす方法だ。何を隠そう、12年前にこの製作委員会制度がテレビアニメで広まるきっかけとなったのは「エヴァ」の成功だった。

一方、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでは、制作・宣伝・製作のクレジットは、映像作品の企画・製作企業である「カラー」1社のみ。これは、テレビ版の庵野秀明総監督が設立し、現在も社長をつとめる同社が、作品の出資から宣伝まですべてを担っていることを意味する。さらに共同配給にも名前を連ねており、いわば、この作品は庵野監督とカラーの「自主制作映画」として作られ、公開されたというわけだ。

こうした自主制作の場合、作品による収益の管理が可能となる。使い道は会社側で決められるため、得た利益は、次回作の制作費に充てるといった使い方など、自由に管理できる点がメリット。一方で、資金を自力で調達しなければならず、リスクの分散化ができない。さらに、巨大な宣伝媒体でもあるテレビ局などの協力が得られないデメリットもある。

しかし、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの場合は、そのデメリットを作品のブランド力でクリアしている。

作品の主導権がアニメの作り手にあるからこそ、映画作品の公開手段としては異例の宣伝活動が可能になる。新劇場版シリーズの「序」「破」の2作が公開される前は、限られた情報が開示されるのみで、多くの内容は明かされず、試写も行われなかった。

11月に公開を控えた「Q」においても同様で、映画館で流れる予告編には断片的な映像とセリフの文字のみが流れ、詳しい内容は今も明かされていない。

「謎の多さ」を逆手に取る

実は今夏、映画公開3カ月前にして、「エヴァ」と各企業のタイアップ商品・キャンペーンはピークを迎えつつあった。JRA(日本中央競馬会)の「JRA補完計画」、NTTドコモの「SH-06D NERV(通称:ヱヴァスマホ)」、ANA(全日本空輸)やローソンの「ヱヴァンゲリヲンキャンペーン」、箱根湯本駅に設立された「えう゛ぁ屋」など、既に参加企業は100社を大きく超えた。そして、そのどれもが好調な売れ行きを記録し、大きな反響を得ている。ヱヴァスマホは、発売2週間前に各店舗で行った予約の段階で限定3万台が完売した。

こうしたプロモーションの狙いは11月に最新作「Q」の公開を控えながら、「序」の公開が5年前、「破」は3年前という決して短くないブランクを埋めるための話題づくりだと言える。カラーと連携して本作のキャラクタービジネスの著作権管理を行い、キャンペーンの統括やコラボの企画・開発を行うグラウンドワークスの代表取締役、神村靖宏氏は「キャンペーンの幅やコラボ商品、宣伝手法そのものが話題作りになると考え、前作よりも規模を拡大してプロモーションを行っている」と話す。

とはいえ最新作の「Q」の新規素材が一切ない状態にあって、いかに本作を盛り上げるのか。

神村氏は、この宣伝スキームを「エヴァという作品を通じて、各企業が個別に立ち上げた企画同士が緩やかに連携をとっているのが特徴」と説明する。他社を出し抜くような情報が手元にないため、参加企業の情報を共有し、必要があれば代理店同士、競合社同士であっても協力する仕組みが出来上がった。

この連携を象徴する1つが、7月末に配布されたフリーペーパー「IMA-EVA」。複数の企業を横断したキャンペーン情報などがまとめられており、映画館などで配布されている。7月1日に新宿バルト9で行われた「EVA-EXTRA08」の壁面上映では、提案したティ・ジョイに協賛した安全カミソリメーカーのSchickや、JRAなど複数社のCMが本編上映前に流れるといった試みが実現。航空会社のANAとアパレルのユニクロという異業種間の連動キャンペーンが成立するなど、通常では考えにくい協力関係が、この輪の中で成立している。

「エヴァ」の舞台は海外へ

そして、「Q」のプロモーションでは、海外へと舞台を広げているのも特徴だ。前2作の「序」「破」は香港や台湾などのアジアや、北米・カナダなどで公開され、大きな反響を得た。

2012年8月には米国・サンフランシスコの「J-POPサミットフェスティバル」で、日本でも人気のリアル脱出ゲーム「ある使徒からの脱出」を再現するイベントを開催。このイベントは、7月にフランス・パリで開催された日本のポップカルチャー見本市「Japan Expo」や、8月の日本テレビ主催イベント「汐博」で実施されたスタンプラリーキャンペーンとも連動した。

こうした、前例のない宣伝手法を次々と打ち出せるのは、作品に熱心なファンがいる本作の、何よりの強みだろう。

実写映画やドラマに比べ、利益のリクープ(回収)できる規模が限られているアニメ業界にとって、リスクを最小限に抑えて制作資金を調達できる製作委員会制度は画期的だった。しかし、リクープの肝であったソフトの売り上げが落ちている今、いかに回収するか、システムそのものの目的も変化している。

そんななか、作りたいものを作るという姿勢を明確にし、自らの力を試すような方法で制作されている本作には、現状を打開するヒントが隠されているような気がしてならない。

(日経エンタテインメント!編集部)

[日経エンタテインメント!2012年9月号の記事を基に再構成]

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