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報道カメラマンのiPhone撮影塾

時間帯がカギ iPhoneでドラマチックな風景写真 報道カメラマンのiPhone撮影塾

2013/4/2

 日経新聞写真部のカメラマンが「手軽なカメラ」iPhoneを使った本格派写真撮影のノウハウを伝授するシリーズ。今回は、印象的な風景を撮り収めるコツを紹介しよう。

 すてきな風景と出合うにはどうすればいいのか。シリーズ2回目の料理写真撮影のコツでも紹介したように、写真の基本はやはり光。光はいつ美しくなるか、どうすれば美しくとらえられるか。原則だけでも知っておけば、シャッターチャンスに巡り合えるチャンスは広がるはずだ。素晴らしい光景がいつも現れるとは言い難いが、可能性を信じてちょっと頑張ってみよう。

狙い目は「ブルーアワー」と「マジックアワー」

ビル群の向こうに沈む夕日をカメラアプリ「KitCam」で撮影。画面内の○が測光位置、□がピント位置。ビルを明るさの基準にすると空の大部分が白く飛んでしまった(写真上)。基準を太陽にすると空のグラデーションが現れた(同下)

 ご存じのように新聞紙面や日経電子版に掲載される写真はスポーツやストレートニュースだけではない。一般読者の休日に合わせて、風景写真も掲載している。日経新聞の土曜夕刊文化面「文学周遊」は、日本の文学史を飾る散文作品や小説の舞台となった土地を訪ね、作家やその投影である主人公の心象風景に迫る連載。この連載では、毎回10枚以上の候補から掲載する風景写真を選んでいる。撮影した写真のうち紙面に載らなかったものは日経電子版の「写真ビューアー」に載せているが、夜明けや夕暮れの写真を必ず撮っていることがお分かりいただけるだろう。

 iPhoneでこういった写真を撮る場合、明るさの基準となるポイント(測光位置)を定めることが重要になる。全体を明るくするか暗くするかで写真全体の雰囲気が変わるからだ。光源が画面内にあるときには、より注意が必要になる。例えばカメラアプリの「KitCam」(有料)などを使うと、ピント位置と測光位置を別々に決められるので、いろいろ試してみよう。

 風景撮影では、陰影が強くなる日の出や日の入りの光を狙って撮るのが常とう手段だ。日の出前の「ブルーアワー」や日没後の「マジックアワー」と呼ばれる柔らかい薄明かりの時間帯も見逃せない。

 実際にiPhoneで日の出の写真を狙ってみよう。まず国立天文台天文情報センターのサイト(http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)で時間を確認。4月上旬だと、東京の日の出は5時30分前後だ。余裕をもって午前5時には現場に到着する。天気予報のチェックも欠かせない。予報では曇り後晴れ。さて結果は――。

日の出を前に、東の空の色がみるみる変わっていく(1月1日午前6時8分、福島県南相馬市)【ISO800、絞り2.4、シャッター速度1/15秒】
岩手県陸前高田市の高田の松原の跡地(2月25日午前6時18分)【ISO50、絞り2.4、シャッター速度1/177秒】
都心のビル群の向こうに沈む夕日(2月13日午後5時13分、東京都千代田区)【ISO50、絞り2.4、シャッター速度1/430秒】

 群青色の空がうっすらと明るくなったものの、空はどんよりとした灰色のまま。iPhoneを構えながら待ったが、無情にもそのまま日の出時間を迎えて終了。朝日をからめたダイナミックな写真は撮れずに終わった。だがこれも写真撮影の醍醐味。家路につく際もiPhone1台なら、三脚や一眼レフなど重量級の機材を持ち帰るよりは身も心も軽いはずだ。

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