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高級ヘッドホンでシェア6割 若者支持する米ベンチャー 急成長メーカーの逸品(2)

 

2014/3/18

 「Beats」「バルミューダ」「cado」…。ここ数年、国内で起業した家電ベンチャーや海外のブランドが、家電量販店などの店頭で存在感を示している。堅実にヒットしている彼らの“逸品”の実力に加え、各社の戦略から急成長の理由を探った。今回は「ヘッドホン/音楽プレーヤー」を紹介する。

 「21世紀のオーディオブームはヘッドホンを中心に回っている」――。

 こう言い切るのは、ラトックシステムオーディオ販売推

 「Beats」「バルミューダ」「cado」…。ここ数年、国内で起業した家電ベンチャーや海外のブランドが、家電量販店などの店頭で存在感を示している。堅実にヒットしている彼らの“逸品”の実力に加え、各社の戦略から急成長の理由を探った。今回は「ヘッドホン/音楽プレーヤー」を紹介する。

 「21世紀のオーディオブームはヘッドホンを中心に回っている」――。

 こう言い切るのは、ラトックシステムオーディオ販売推進グループの佐々木晋キャップだ。USB DACでPCオーディオ(パソコンでの音楽再生)市場を先導してきた同社は2014年2月末、ハイレゾ音源に対応した高機能ポータブルヘッドホンアンプ「REX-KEBO2AK」の出荷を開始した。

 実は今、20代の若者を中心に、オーディオの聴き方が大きく変化している。スマートフォン(スマホ)やハイレゾ音源(音楽CDを超える音質の音楽データ)プレーヤーを充電池内蔵ポータブルヘッドホンアンプ、いわゆる「ポタアン」とデジタル接続。外出先でも高級ヘッドホンの性能を最大限に引き出して聴く。

 ラトックシステムは高機能なポタアンを戦略製品と位置づけ、どこにいてもヘッドホンを手放さないこうしたユーザーを狙う。

■高級ヘッドホン市場でシェア6割の新興ブランド

 国内で売られているブランドが約200という未曽有のヘッドホンブームに乗り、ヘッドホンそのものの販売数を伸ばしているのが、米国生まれの「Beats(ビーツ)」(Beats Electronics)だ。

  • ヒップホップのアーティスト、ドクター・ドレーと、レコード会社会長が米国で2006年に設立。高音質を目指して2008年に売り出した最初のヘッドホンから大ヒットを連発。トレードマーク「b」のロゴが今やアップルのリンゴマークのようなライフスタイルブランドになっている。現在、米高級ヘッドホン市場でシェア6割を占める(完実電気は日本の正規販売代理店)

 音楽ビジネスに携わってきたアーティストとレコード会社会長が2006年に米国で立ち上げたブランドで、斬新なカラーとデザインが売り。米国でシェアを拡大し、現在は1万円以上の高級ヘッドホン市場で6割という驚異的なシェアを占めるという。

 ビーツの正規販売代理店である完実電気の熊沢秀剛ブランドマネージャーは、「米国でビーツは単なるヘッドホンを超えた。音質もさることながら見た目が格好よく、今や“ライフスタイルブランド”になっている」と語る。日本での販売数も「倍々で伸び」(熊沢氏)、東京都内でもビーツを付けて街を闊歩する若者が目立ってきた。

■アドバイザーに音作りのプロ起用

 ヘッドホン専門店がオリジナル製品を売り出す動きもある。2007年に大阪で開店した日本初のイヤホン・ヘッドホンの専門店「e☆イヤホン」。前期(2013年2月期)に15億円、今期(14年2月期)には25億円を売り上げる見通しだ。

  • タイムマシン社長の大井裕信氏が、大手パソコン量販店取締役だった当時、部下の勧めで聴いたヘッドホンの音質に衝撃を受け、退任後の2007年9月、大阪に日本初のイヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」を開店。以降、店舗数も増えて売り上げが急拡大し、2013年末に音質を突き詰めたオリジナルヘッドホンを発売

 この好業績を背景に2013年末、オリジナルヘッドホン「SW-HP11」を発売した。製造は長野県上田市にある城下工業。音決めのアドバイザーには音作りのプロであるマリモレコーズの江夏正晃氏を起用した。理想とするヘッドホンを自ら打ち出すことで話題性を高め、市場をさらに広げるのが狙いだ。

 中国に本社を置く「FiiO(フィーオ)」も、2007年の創業以来、ヘッドホンと二人三脚で成長してきた。音楽をポタアンで聴く時代が来ると予見し、いち早く製品を投入して市場を開拓した。

  • 中国に本社を置く新興オーディオメーカー。2007年設立。iPodやiPhoneが普及する時代を予見し、それらで高音質にヘッドホンを鳴らすためのポータブルヘッドホンアンプをいち早く投入して市場を牽引した。ラインアップ拡充の一方で、最近はハイレゾ音源プレーヤーも発売。安さとスペックを両立したX3は初代機(小柳出電気商会は日本の正規販売代理店)

 これを足がかりに、現在はより付加価値の高いハイレゾ音源プレーヤーへの進出を図っている。初代機の「X3」は、高いスペックを持ちながら価格を抑えた戦略モデル。今春には上位機種を投入し、さらに浸透を図る計画だ。

  • ラトックシステムは、パソコン周辺機器メーカーとして知られる。パソコン周辺機器に大きな伸びが期待できなくなる一方で、誰もがパソコンを所有する時代になったことから、2009年に自社開発のUSB DACを発売し、オーディオ分野に進出した。これは、オーディオを趣味にしてきた同社社長の発案だったという。以降、USB DACをはじめ多数の関連製品を発売し、PCオーディオの世界を先導。最近は、ポータブルヘッドホンアンプにも注力している。本記事冒頭で紹介したように2014年2月末には「REX-KEBO2AK」の出荷を開始した

(ライター 床井 浩)

[日経トレンディ2014年3月号の記事を基に再構成]

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