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「ライブ動員数」で見るアーティストの実力 日経エンタテインメント!

 

2013/9/23

 ライブコンサートへの動員数が増え続けている音楽市場を、「日経エンタテインメント!」が独自に調査。今回分析した「動員数ランキングTOP50」からは、CDセールスのチャートでは分からない、アーティストの人気や実力が浮かび上がってきた。海外勢やアイドルなど、部門別ランキングにおける新たな流れにもスポットをあてた。

 今年、ライブの観客動員数が最も多いのはEXILE(112万人)、2位は東方神起(89万

 ライブコンサートへの動員数が増え続けている音楽市場を、「日経エンタテインメント!」が独自に調査。今回分析した「動員数ランキングTOP50」からは、CDセールスのチャートでは分からない、アーティストの人気や実力が浮かび上がってきた。海外勢やアイドルなど、部門別ランキングにおける新たな流れにもスポットをあてた。

  • 第1位EXILE。ドーム・アリーナ公演で112万人を動員
 今年、ライブの観客動員数が最も多いのはEXILE(112万人)、2位は東方神起(89万人)、3位は関ジャニ∞(78万人)――。

 エンタでは、2013年1月から6月中旬までに開催されたライブと、それ以降、6月中旬の時点で年末までのスケジュールが発表されているライブの会場規模を集計し(6月中旬以降に発表された公演は含まない)、アーティスト別の年間ライブ動員数を独自に算出(調査基準は下囲みを参照)、上位50組をランキングした。

 CDの売り上げが縮小する中、ヒットチャートだけでは人気が測りにくくなっている。いまライブにどれだけの人数を集め、観客を引きつけているのか。ライブはアーティストの人気のもうひとつのバロメーターとなってきている。

■ドーム・アリーナ公演を上位陣は連発

 動員数ランキング全体を見ると、上位陣は大型のドーム・アリーナツアーを組み、集客数を伸ばしている。

 トップ10にはジャニーズ勢やAKB48などのアイドル、韓流グループのほか、B'zやMr.Childrenといった20年以上活躍するアーティストがランクイン。そのうち9位までが50万人を超えている。

 一方、20位台以下のアーティストは、全国の中小規模のホールを積極的に回ることで、10万~20万台の数字に積み上げたケースが少なくない。

 まずは上位を紹介しよう。トップのEXILEは4月から9月にかけて、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5大ドームを、計23公演する大型ツアーを決行。今回調査した中で唯一100万人を超える観客を集めるアーティストとなった。4月16日の公演では「EXILE TRIBE PERFECT YEAR 2014」も発表された。100公演以上で、200万人を動員する予定のビッグプロジェクトだ。来年以降もEXILEの快進撃は続きそうだ。

 2位はK-POPの東方神起。4月のさいたまスーパーアリーナを皮切りに、5大ドーム他で公演。89万人の動員を見込んでおり、昨年自身が築いた55万人の海外アーティスト最多動員記録を更新する。8月には海外アーティスト初となる日産スタジアムでの公演を行い、K-POPの勢いを象徴するかのような活躍ぶりを見せている。

 3位は関ジャニ∞。12年は結成8周年のアニバーサリーイヤー。昨年9月から今年の1月までの4カ月で78万人を動員した。今回のツアーは短期集中型で、ドーム以外の地方の会場でも、3日4日と連続公演を行った。

【調査基準】
●2013年1月1日~12月31日までの、主要アーティストの単独公演をピックアップ。各会場のチケットが完売したと仮定し、弊誌が設定した収容人数を合計してライブ総動員数とした。ただし、同年1月1日をまたぐ前年のツアー、同年12月31日をまたぎ、来年にかかるツアーに関しては、ツアー全日程をカウントに含めている。
●上記期間に開かれる有料の国内単独公演が対象。複数アーティストが出演するイベントやフェス、握手会、学園祭などは除いた。
●6月中旬時点で公式発表されていない公演は含まない。
●動員数が同数の場合、100人単位で数値を参照して順位付けした。
●公演数ランキングは公演数が同数の場合、同順位とした。

 4位の嵐も78万人を動員。90万枚超の売り上げを誇るアルバム『POPCORN』のツアーが今年の1月まで行われた。ツアーを収めたDVDも初週売り上げ58万枚と絶好調。例年国立競技場で行われている「アラフェス」の開催により、動員数ランキングの順位をさらに押し上げることになりそうだ。

 5位はBIGBANG。11月からの6大ドームツアーで71万人を見込んでいる。またこの春、リーダーのG-DRAGONは韓国人ソロ史上初のドームツアーを行い36万人を動員。17位にランクインした。

■欧米アーティストに取って代わる韓国勢

 海外のアーティストに目を向けると、欧米アーティストランキング1位はバックストリート・ボーイズ。デビュー20周年を記念して、全国6都市10公演の大きなアリーナツアーを行う。以下2位はヴァン・ヘイレン、3位Museと続く。

 90年代初頭、ザ・ローリング・ストーンズが東京ドーム10日間公演を行っていた時代に比べると、最近の欧米アーティストの日本でのツアー活動はやや寂しい。

 ただ、5位のザ・ベンチャーズのように毎年ロングツアーを行う猛者もいる。来日回数は65回を数え、日本での通算公演数も2600回を超えている。

 欧米アーティストに代わって台頭しているのが韓国勢。K-POPランキングを見ると、特徴として少ない公演数で多くの動員を実現していることがあげられる。ドーム公演を複数回行うグループが数多く見られ、現在のK-POP人気を表している。

 国内女性アイドルランキング1位はAKB48。今や不動の国民的アイドルだ。

 2位にはももいろクローバーZがランクイン。5月末の横浜アリーナ公演では3日間で5ステージを行った。元気いっぱいの彼女たちらしく、大車輪の活躍ぶりだ。

 50歳以上のアーティストを対象にした、オーバー50動員ランキングで1位に輝いたのはさだまさし。23万人を動員する予定だ。長年の努力が実り、7月17日の武道館公演で通算公演数4000回という偉業も達成する。

 2位の矢沢永吉は、今年も12月から武道館5デイズが控えている。武道館最多公演数122回という記録の持ち主でもある。

 3位にランクインした松田聖子は8公演ながら、さいたまスーパーアリーナなど集客力のある会場で13万人の動員を予定している。

 部門別の動員数を見ると、アイドルとK-POPは、いま確実に動員が見込めるライブとして安定した人気が見てとれる。そして50歳以上のアーティストたちも年間を通してライブを行い、高い動員力を示している。

■アイドルの劇場公演が公演数増加の一因

 一方、公演数ランキングでは、AKB48が189回で1位となった。公演数2位には、先の総選挙で1位に輝いた指原莉乃率いるHKT48。以下SKE48、NMB48と続いた。

 AKBグループが公演数で上位を占めているのは、自前の「劇場」で開催している公演が集計に加わっているから。近年は人気のため、AKB48の秋葉原の劇場公演のチケット倍率は100倍を超えるといわれている。

 5位には125回で氷川きよしがランクインした。ソロのアーティストでは1位の成績となった。彼の強みは、なんといっても年配の支持層が多いこと。そのため、平日にもかかわらず1日2回の公演ができる。彼のコンサートは、昼の部(14時~)と夜の部(18時~)の2回公演が基本のパターンとなっている。

 CMでも大活躍のゴールデンボンバーは10位に入った。ボーカルの鬼龍院翔の喉の不調で、4月まで活動を休止していたが、リハビリ終了後の5月より、47都道府県をまわる55公演のロングツアーを決行している。

■大きな収入源となるアーティストグッズ

 今回の調査結果を踏まえて、コンサートプロモーターズ協会(ACPC)に最近のライブの動向について聞いた。事務局長・今泉裕人氏は「ライブ市場はここ何年も右肩上がりの状態が続いている」という。

 事実、2012年は動員数で3000万人を突破し、公演数でも2万回を超えている(下のグラフ参照)。CDが売れないと叫ばれる昨今において、コンサート産業は確実に大きくなっている模様だ。

 それには2つの理由があるという。ひとつは、アーティストの活動の軸足がCDをリリースすることから、ライブにシフトしていることだ。CDが売れないのなら、ライブでチケットを売っていこうという発想である。

 もちろんチケット代の売り上げも大きいのだが、物販と呼ばれるグッズの存在も見逃せないという。「一般的に7000円のチケットのライブだと、5000円はグッズにお金を使ってくれるといわれている」(今泉氏)。実にチケット代の7割を、グッズ代として費やしてくれるというのだ。

 2つ目は、50歳以上のお金や時間に余裕のある年配層がライブに多く足を運んでいることだ。ライブは若い人たちの文化という概念が変わってきているのも事実。そしてまた、オーバー50動員ランキングで見たように、年配層が行きたくなる、キャリア組アーティストの活動も目覚ましい。

■会場の問題が今後のライブ市場の課題

  • 埼玉県所沢市に位置する西武ドーム。1986年から2005年までは毎年夏に渡辺美里のライブが開催されていたことでも有名。当日には特別電車も
    (C)SEIBU Lions
 これからの課題としては、会場の問題を小泉氏は挙げた。12年は関東近郊を中心にスタジアムやドームをフル回転させて、3000万人を超える動員数となった。ただ直近で、ドームクラスの施設の開発は予定されていない。会場問題を解決していかないと、これ以上のライブ動員の伸びは期待できない。

 「当面は、今ある会場をいかに有効利用するかが課題」と今泉氏は語る。近年では、チケットが完売した後に、見切り席(場所の都合で、アーティストが直接見えない席)を低価格で発売して席数を増やす努力も見られる。アーティストは見えなくとも、会場の雰囲気を共有したいというファンにはうれしいだろう。

 ライブ会場として見直されているところもある。埼玉にある西武ドームは、季節や天候の影響を受けやすいために、あまり使用されてこなかった。しかし近年では東京近郊の会場として公演数が増えている。

 また地方などの公共施設は、ライブ会場として使いづらい部分が多々ある。公の施設ゆえに使用制限がネックとなっているのだ。それもあって、地方のツアーを敬遠するアーティストも多いという。

 ライブに足を運ぶファンが増えている中、チケットを入手することができない、地方にもっと来てほしいという声がよく聞こえてくる。さらなるライブ市場の拡大には、こういった会場の問題を、アーティストとプロモーターが力を合わせて解決していく必要もあるだろう。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント!2013年8月号の記事を基に再構成]

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