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MLBで広がる「ハイチュウ」の輪 レッドソックス田沢が伝道師

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NIKKEI STYLE

 口を動かす大リーガーを見て、何を食べているのか? と思う人は多いだろう。それは日本のソフトキャンディー、森永製菓「ハイチュウ」かもしれない。最近「ハイチュウ」片手にグラウンドに向かう大リーガーが全米で出没。ニューヨーク・ヤンキース入りした"田中将大効果"といわれたが、火付け役は100年来のライバル、ボストン・レッドソックス。今年からレッドソックス、シカゴ・カブス、ミネソタ・ツインズにプロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックスとスポンサー契約。選手の口から口へ、日本のおやつが驚異的な広がりを見せている。

「マツザカ、キャンディー」。ニューヨーク・メッツのクラブハウスで、中南米系の選手が松坂大輔投手に叫んだ。松坂は顔をしかめ、手のひらを広げて上に向けた。「あげたら全部食べちゃうんだもん。もうないよ」。松坂は笑いながら言った。

左手にグローブ、右手で箱から「ハイチュウ」をわしづかみし、ユニホームのポケットに突っ込んでグラウンドに駆けていく選手。振り向くと、ニース投手が「HI-CHEW」のロゴ入りTシャツを着ていた。

同じニューヨークに本拠地を構えるヤンキースにもいた。遠征先への移動時はスーツ着用が基本だが、フェルプス投手はオレンジの「HI-CHEW」Tシャツ姿。「ヒロ(黒田博樹)からもらったんだ」。その上からワイシャツを着て、さっそうとクラブハウスを去っていった。

メジャーリーグでの「ハイチュウ」人気は今年に入ってから目立つ。発信源はレッドソックスの田沢純一投手、彼こそ、大リーガーに紹介した"火付け役"的存在だ。

田沢は日本のプロ野球を経ず、メジャーの下部組織からたたき上げで現在の地位まで上り詰めた。新人時代、テーピングやガムなどを入れたブルペンバッグを持っていく担当もこなしていた。何気なく入れた「ハイチュウ」がチームメートに好評を博した。

田沢は仲間から頼まれるためアジア系スーパーのある遠征先などでまとめ買いしていたが、あまりの好評ぶりにギブアップ。「箱買いさせてください」と、2012年ごろ、森永アメリカ(カリフォルニア州アーバイン)に泣きついた。同社はサンプル用の巨大な箱を提供。今季からレ軍のほか、カブス、ツインズ、ニックスともスポンサーシップ契約を結んだ。

契約こそ結んでいないが、メッツ、ヤンキース、カンザスシティ・ロイヤルズなど、田沢と関係のある日本人選手のいるチームにもサンプルを送っているため、一気に広まった。

ちなみにニューヨークはヤンキースでなく、NBAのニックスなのが心憎いところ。エンターテインメントの殿堂「マディソン・スクエア・ガーデン」を本拠地とし、最前列で観戦するセレブの姿も名物なニックス。本業は常勝からほど遠いが、華やかなのだ。

スポンサーシップを結ぶチーム選びなど練りに練った森永製菓のスポーツ戦略かと思いきや、そうでもない。「すべてのタイミングが偶然」、と森永アメリカ最高執行責任者(COO)の河辺輝宏さん。同社は「ハイチュウ」の販売拡大を目的に08年に作られた森永製菓の米国法人だ。

1975年誕生の「ハイチュウ」は、64年生まれのチョコレート「ハイクラウン」、69年生まれのキャラメル「ハイソフト」と同じ流れで開発された菓子。特別な販促活動をしなかったにもかかわらず、米国では2000年代に入って供給が追いつかないほど販売が伸びていた。調べると、どの民族にも受けがよく、米国進出を決断させたという。

アジア系移民の多い西海岸では現在「アジア菓子」でなく、「キャンディー」売り場に置かれている。続いてニューヨークやボストンのある北東部、シカゴやミネソタのある中西部を手始めに全米に販路を広げ、売り上げも10年から13年にかけて倍増した(数字非公表)。15年にはノースカロライナ州の自社工場が稼働、いよいよ現地生産が始まる。

こうした米国戦略と、メジャーに定着した田沢からの要請がタイミングよく一致。「スポーツの持つイメージ、見る若者とハイチュウの顧客層が重なる」(河辺さん)。スポンサーシップに踏み切った。

ところが想像を超えて人気は広がりを見せた。大人やベテラン選手が我先にと頬張っていたのだ。河辺さんがボストンを訪れると、人気者のペドロイア二塁手が口からあふれ出さんばかりに「ハイチュウ」を詰めて会いに来たという。

レッドソックスは敵のクラブハウスにも「ハイチュウ」を置く。昨季、ボストン遠征で味を知ったテキサス・レンジャーズのこわもて捕手、ピアジンスキーは今季からレッドソックスに移籍。「スポンサーだからあげる」。うれしそうに、ダルビッシュ有(レンジャーズ)の通訳に持ってきた。

なぜ、こんなに米国で「ハイチュウ」が受けるのだろう?

ポップコーン、ポテトチップスなどのスナック菓子にとどまらず、米国ではキャンディー類の消費量も半端ではない。ハロウィーンだけで1人当たり3.4ポンド(約1.5キロ)食べるとか。これでも年間全体の4%というから、一年で40キロ弱のキャンディー類を食べる計算だ(USAトゥデー紙など調べ)。

米国人はジェリービーンズやリコリスのような、甘くて噛み応えのある菓子が大好物。もっとも米国製品はイチゴ味と書いてあっても実際は甘みが強く、イチゴの味はほとんどしない。果物の味がしっかりして、噛み応えがあり、個別包装された「ハイチュウ」のようなものはなかった。

大リーガーは好奇心旺盛な人も多く、日本人が見慣れぬものを持っていると試したがる。ヤンキースの左腕サバシアは筆頭格で、黒田から「ハイチュウ」を譲り受けたそうだ。

選手が食べるだけで営業的な効果はあるのだろうか? 米国においてスポーツチームのブランド力は想像以上に高い。「レッドソックスのスポンサーなら取り扱いましょう、と言われるようになった」(河辺さん)。ニューイングランド地盤の大手チェーンスーパーにも並ぶようになったほか、ニューヨークでは一般のグローサリー(食料品店)や駅の売店で見かけるようになった。

ヒマワリの種にガム、一昔前ならかみタバコ……、屈強な大リーガーは試合中にこうしたものを口に含む。ところが今、レッドソックスの主砲、オルティーズらが「ハイチュウ」を食べて鋭気を養い、巨大な一発をグリーンモンスターの向こう、場外まで飛ばしていると思ったら……。思わずほおが緩んでしまうでないか。

(原真子)

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