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打倒「あまおう」 激化するイチゴの品種開発競争

2014/5/7

 日本で現在登録されているイチゴの品種は281種類。甘みの強い大果から、本来の旬でない夏秋に採れるものまで多様な品種が育成されている。品種開発の最先端を三重県に訪ねた。

 イチゴの育種が、各地で激化する「戦国時代」を迎えている。2005年の初出荷以来、販売単価トップを走る「あまおう」(福岡県)に続けと、栃木県は2012年に大果の「スカイベリー」を初出荷。艶のある「さがほのか」(佐賀県)やコクのある甘さの「紅ほっぺ」(静岡県)など、各地が開発にしのぎを削る。

 イチゴは国内で年間約20万トン生産され、産出額は1500億円規模に達する。産地は栃木、福岡に熊本、長崎、静岡、愛知、佐賀と、温暖地を中心に広く分散する。

 イチゴの品種開発の大きな特徴は、種苗会社ではなく、県や独立行政法人の研究機関がけん引役であること。例えば、生産量首位の栃木県は「いちご研究所」という専門研究機関を持つ。

 「親株から伸びるランナー(つる)により栄養繁殖するイチゴは、増殖しやすい。種苗会社はその『作りやすさ』を嫌い、これまで積極的でなかった」と説明するのは、三重県にある独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)野菜茶業研究所の野口裕司さん。次世代のスター品種候補の一つ「桃薫(とうくん)」の生みの親でもある。

 農水省に登録した新品種は、開発した地域が一定期間、独占的に育てられるのも競争激化の要因だ。他県のイチゴ生産者が栽培したい場合は、許諾料を開発者(または開発県)に支払う必要がある。

 「東の女峰、西のとよのか」といわれた1990年代前半を経て、栃木が県を挙げて取り組んだのが「とちおとめ」。これにより同県はイチゴ生産量日本一を奪った。その後、福岡県が4年間かけて開発したのが「あまおう」(品種名は福岡S6号)だ。

 あまおうは栽培を県内に限定し、栽培管理の指導を徹底。農家の利益と産地競争力を確保した。商標登録によって、果実のみならずその加工品まで、あまおうブランドとして守る戦略も画期的だった。

 あまおうの対抗馬として栃木県が推すスカイベリーも今、30代女性をターゲットにイベントを開催し、贈答用としての販売戦略を立てる。ブランドを確立して単価を上げれば、農家の収入を確保できる。

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