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腕のしびれは危険信号 危ない「首こり」対策 日経ヘルス

 

2013/4/7

 首が凝る、痛い、寝違えた……。よくある症状だけど、なかには手脚のしびれや痛みまで伴う危険な首こりも。あなたのその首の悩み、大丈夫ですか? 一番の原因は、やはり悪い姿勢。簡単にできて効果抜群のストレッチ、首にやさしい枕の工夫も紹介します。

 首が凝る、痛くて回せない、腕もしびれる……。そんな首にまつわるつらい症状が、「頸椎(けいつい)症」だ。単なる凝りや一時的な寝違えといった軽いものから、腕や脚にし

 首が凝る、痛い、寝違えた……。よくある症状だけど、なかには手脚のしびれや痛みまで伴う危険な首こりも。あなたのその首の悩み、大丈夫ですか? 一番の原因は、やはり悪い姿勢。簡単にできて効果抜群のストレッチ、首にやさしい枕の工夫も紹介します。

 首が凝る、痛くて回せない、腕もしびれる……。そんな首にまつわるつらい症状が、「頸椎(けいつい)症」だ。単なる凝りや一時的な寝違えといった軽いものから、腕や脚にしびれが出てくる重症のものまで、いくつかタイプがある(下チャート)。

 「加齢によって首の骨(椎骨=ついこつ)が変形したり、悪い姿勢になり首に負担がかかったりするのが、主な原因。パソコン作業などで猫背の姿勢を続けていると、首が前方に突き出る『ストレートネック』になり、首にかかる負担がさらに増してしまう」と竹谷内医院の竹谷内康修院長。

 頸椎は本来、前方に向かって緩やかなカーブを描き、真上にある重い頭を支えている。ところが、ストレートネックになると、頭を斜め上で支えることになり、首にかかる負荷がグンと増すことに(下図)。

 「人の頭の重さは約4~6kg。うつむくだけで、その約3倍もの負荷が首にかかる。毎日のパソコン作業などで首への負担が積み重なり、首や肩の頑固な凝りや痛みが取れなくなっている人も多い」と16号整形外科の山田朱織院長はいう。

 もっとひどくなると、腕にもしびれや痛みが出てくることが。これが「頸椎症性神経根症(しんけいこんしょう)」だ。脊髄から枝分かれして伸びる神経が、椎骨の変形によって圧迫されるのが原因。片方の腕にしびれや痛み、脱力などが急に起こるようになる。

  • 首は常に4~6kgの重い頭を支えている

     頸椎は、「椎骨」と呼ばれる7つの小さな骨が積み重なってできている。この骨の中には神経の束である「脊髄」が通っており、これはさらに枝分れした神経になって首や肩、腕などに向かっている。4?6kgもある重い頭を支えながら、その中を走る神経も守っているのが、頸椎。悪い姿勢になると頸椎への負担が増し、神経を圧迫することも(イラスト:三弓素青 右も同じ)。
  • 姿勢が悪くなると首への負担が増える

     猫背の姿勢が長期間続くと、頸椎本来の自然なカーブ(右)が失われ、首が前方にまっすぐ突き出したストレートネックに(左)。この状態だと重い頭を斜め上で支えることになるため、首にかかる負担が増す

 これと似ているのが「頸椎椎間板ヘルニア」。こちらは椎骨と椎骨との間にある椎間板が外に飛び出して神経を圧迫する。「頸椎症性神経根症は50代以上の年配の人に、頸椎椎間板ヘルニアはそれより若い人に多い」と日本赤十字社医療センター脊椎整形外科の久野木順一部長。

 さらに重症になると、脊髄が圧迫されて両腕や両脚のしびれ、歩行障害などが徐々に進行する「頸椎症性脊髄症(せきずいしょう)」ということも。「手脚のしびれや痛みなどの神経症状がある場合は、早めに受診を」と久野木部長。

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  • (イラスト:いいあい 以下同じ)
頸椎症チェック 振り返って後ろの人の顔が見える?

あなたの首はちゃんと動く? 頸椎症の可能性があるかどうか、簡単な方法でチェックしてみよう。誰かに真後ろに立ってもらい、両肩が動かないように手を置いてもらう。この状態で後ろを振り向いてみて。

見えない人は頸椎症予備軍の可能性が

振り向いてみて、後ろの人の顔が少しでも見えたら大丈夫。もし見えなかったら、首の関節が固くなり、可動域が狭くなっている証拠。頸椎症予備軍の可能性が大だ。

ほかにもこんなことしていない?
□ バッグをいつも同じ側で持つ
□ 座ると猫背になりがち
□ 携帯電話、スマホを長時間使う
□ ノートパソコンを使う
□ 腹ばいで読書をする

まずは痛みを和らげる。重症なら手術も
 治療では、まず薬で痛みを取り、首を支える「頸椎カラー」を装着して安静に。痛みがひどければ、局所麻酔のブロック注射をすることも。「これらの治療で半数以上はよくなる。改善しない場合は手術を」と久野木部長。久野木部長のところでは、数年前からチタン製ケージ(人工骨のようなもの)を頸椎に挿入する新しい手術法を導入し、良い成績を上げている。「傷口も目立たず、手術翌日から歩行も可能。入院期間は4~7日間で、健康保険も利きます」(久野木部長)

■頸椎症対策は「姿勢」と「生活環境」の改善から

 頸椎症の最大の原因は、悪い姿勢。「患者さんには徹底的に姿勢の矯正やストレッチの指導をしている。これで凝りや痛み、腕のしびれなどの症状が改善する。悪化予防にもなる」と竹谷内院長。

 そこで竹谷内院長が薦めるのが、「逆さま首伸ばし」などの頸椎症改善ストレッチだ。「首伸ばしは、腕のしびれが出ている頸椎症性神経根症の人に特に効果的です」(竹谷内院長)

 姿勢の悪さが問題になるのは、寝ているときも同じ。実は就寝中の姿勢も、首に負担をかけていることが多いという。

 「寝違えなど、朝起きたときに首が痛い、凝っているという人は、枕が原因の可能性も。合わない枕で寝ることで、首に負担がかかっている。枕などの寝具を見直すことも重要」と山田院長。

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~凝り、痛み、しびれの軽減&予防に 頸椎症改善ストレッチ~

 早速、今日から始めてほしいのが、以下の3つのストレッチ。中でも一押しは、「逆さま首伸ばし」だ。「やった瞬間に、腕のしびれや痛みが楽になったと実感する人も。繰り返し続けることで、しびれや痛みの程度も軽くなる」と竹谷内院長。頸部&胸椎ストレッチは、凝りの改善と予防に効果がある。どれも毎日2回以上、続けよう。ただし、やって痛みが強くなる場合は中止して。

しびれがある人もない人もまずこれ! 逆さま首伸ばし

筋肉を伸ばして首こり・肩こりを改善! 頸部ストレッチ

背骨を開いて猫背を矯正首こり・肩こりの予防にも 胸椎ストレッチ

■朝から首、肩が凝っている人はすぐにトライ「マイ枕」

 「夜、寝るときは体にかかる重力の方向が変わるので、首への負荷も減るのが普通。ところが、合わない枕を使っていると、良い姿勢で眠ることができず、疲れを癒やすどころか、首に一層の負担をかけてしまう」と山田院長。枕以外にも、重い布団、厚手のパジャマなどもスムーズな寝返りを妨げ、首への負荷を増やすという。「自分に合った枕を使うのはもちろん、布団を軽くする、毛布を羽毛布団の上に掛ける、滑りのいい素材のパジャマを着るなどして、寝返り時の摩擦抵抗を減らす工夫も大事です」。以下に山田院長直伝の“マイ枕”の作り方を紹介しよう。

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【用意するもの】
●玄関マット(90×60c mくらい)
●大判の毛足の短いタオルケット(あれば、使い古した座布団でもよい)

「マイ枕」の合わせ方

あおむけ、横向きで高さを調整する

まずあおむけに寝てみる。呼吸がラクにできて、首や肩に余計な力が入らなければOK。次に横向きに。額、鼻、あご、体の中心線が寝具と平行になっているか、家族に見てもらおう。鏡を立てて自分で確かめることもできる。

 

“乙女のポーズ”で寝返りがラクに打てるか確認する

ひざを立て、両手を胸の前でクロスさせた状態でゴロゴロ寝返りを打ってみる。肩や腰をひねることなく、ラクに動ければ合格。枕が低い場合は、スポーツタオルを重ねて微調整を。

昼間の姿勢も気をつけよう

 デスクワークなどで首に負担がかかるときの助っ人が、首を支える「首枕」。「凝りや痛みなどの症状がつらいときに着けるとラクになる。悪化予防にもなる」と山田院長。背中には小さなクッションを当てて姿勢悪化を防ごう。

アドバイザー
久野木順一さん
 日本赤十字社医療センター脊椎整形外科部(東京都渋谷区)部長。脊椎センター長も兼任。「神経症状があってもあまり悪化しない人もいるので急ぐ必要はないが、歩行障害や箸を持ちにくいなど、日常生活に支障が出てきたら、手術を」
 
竹谷内康修さん
 竹谷内医院(東京都中央区)院長。整形外科医、カイロプラクター。「寒いと首が縮こまり、姿勢が悪くなります。首を温め、体を冷やさないことも大切。また仕事中などは良い姿勢を意識し、こまめにストレッチを」
 
山田朱織さん
 16号整形外科(神奈川県相模原市)院長。整形外科医。山田朱織枕研究所代表も務める。「来院する患者さんの約8割は寝具の見直しやストレッチなどの生活指導で、よくなります。心因性の首こりの方も2割ほどいます」

(ライター 佐田節子)

[日経ヘルス2013年4月号の記事を基に再構成]

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