夫は高い自己評価、妻はまだ不満 育児分担の理想と現実
日経DUAL編集部はサイト創刊を記念し「子育て世代の意識調査」を行いました。対象は「0~12歳の子どもがいる男女」と「第一子を妊娠中の女性とその夫」2000人。「生活満足度」「夫がやっている子育て」「収入」「貯蓄」などについて、インターネット調査会社マクロミルの協力を得て調査しました[注]。
調査対象としたのは「互いに扶養に入らない共働き世帯」「妻が夫の扶養に入って働く共働き世帯」「妻が働いていない世帯」という3つのグループです。この3グループをさらに男女、そして子どもの年代(「妊娠中~入園前」「保育園・幼稚園」「小学校」)で18に分け、それぞれの役割分担や生活の満足度などを聞きました。この調査結果を、テーマごとに紹介していきます。
最初に紹介するのは「夫と妻で、子育てをどの程度、分担しているか」。男性側、女性側両方に「自分と相手の子育て分担率」をたずねてみました。
夫が「やっている」と思うほど妻は評価していない
まずは男性から。
「互いに扶養に入らない共働き世帯」「妻が夫の扶養に入って働く共働き世帯」「妻が働いていない世帯」という順序で、自分(夫)が負担している子育てが下がっていくのがわかります。
女性はどうでしょう?
男性の場合と傾向は同じですが、注目したいのは分担している数値。女性の回答のほうが、男性の回答より、「夫の分担」が低くなっています。例えば「互いに扶養に入らない共働き世帯」を比較すると、男性は「夫32:妻68」で分担しているという。しかし妻は「27:73」で分担していると考えている。つまり、夫が「やっている」と考えているほど、妻は夫の子育てを高く評価していないようです。
では育児に関する「理想の分担率」はどの程度なのでしょう。これも男性側、女性側、それぞれに聞いてみました。
差が大きい「理想」と「現実」
こちらも男性から。
Q1の数字と比べると、どのグループの夫も「今よりももっと子育てを負担しなくてはいけない」と思っていることがわかります。現実と理想の差が最も大きいのは「妻が働いていない世帯」の男性。現在の自分の分担率は「23%」ですが、理想は「33%」。「もっと協力しなければ」と考えている人は多いようです。
次に女性を見てみましょう。
こちらも「もっと夫に協力してほしい」と考えているのがわかります。特に「互いに扶養に入らない共働き世帯」の女性は「夫の分担は43%が理想」という回答になりました。Q2でたずねた夫の分担率の現状が「27%」であることを考えると、理想と現実の差がかなり離れていることが見えてきます。
小学生になっても分担は必要
さらに同じ質問を、子どもの年代ごとに分析してみます。
子どもが小学生になっても、妻が求める夫の協力への期待値は低くならないことがわかります。「互いに扶養に入らない共働き世帯」にいたっては、「子どもが小学生」のときの数値が、全体で最も高い「44%」。「小学生になれば手が離れるから、育児も手伝わなくていい」と思っている夫がいたら、それは勘違いのようです。宿題や習い事、受験など、乳幼児とは違う子育てに対するお互いの協力がまだまだ必要だということがわかります。
考えてみれば、子どもが小学生になったからといって、夫婦どちらか片方の負担が減るはずがないですよね。小学生の子どもを持つ共働きの夫として、個人的に反省しています。
次回は、それぞれのグループで、具体的にどんな育児を分担しているかを見てみます。
(日経DUAL 大谷真幸)
[日経DUAL2013年12月2日付掲載記事を基に再構成]
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