オスカー、ホリプロ…新人の発掘・育成戦略とは
芸能プロダクション研究(1)
日経エンタテインメント!
芸能プロダクションが女優を発掘する方法は、大きく分けてオーディション、スカウト、関係者からの紹介がある。プロダクションによって、新人発掘の戦略に特徴があり、どのルートを重視するかが異なる(下の表1参照)。
かつては「スター誕生」のようなテレビのオーディション番組や企業がイメージガールを探すための冠オーディションが多数開催され、プロダクションはそこに参加する形で有望な新人を獲得してきた。しかし、視聴率の低下でオーディション番組が姿を消し、不況で企業が大規模なオーディションイベントを開く体力がなくなったことから、現在は、プロダクション主催のオーディションが中心になっている。
歴史が長く、応募者数が多いものとしては、綾瀬はるか・石原さとみを輩出したホリプロの「ホリプロタレントスカウトキャラバン」、上戸彩や武井咲を生んだオスカープロモーションの「全日本国民的美少女コンテスト」、長澤まさみを生んだ東宝芸能の「東宝シンデレラ」が"御三家"。
このうち「ホリプロ」だけが毎年開催で、ほかの2つは期間を開けての開催だが、2012年は同時期に「ホリプロ」と「国民的美少女」が開催されることになり、注目を集めている。
また、倉科カナらが所属するソニー・ミュージックアーティスツは、2011年に開催した女優オーディション「アクトレース」で選抜されたメンバーによる「劇団ハーベスト」を結成。舞台公演を行いながら、女優を育成するという新しい試みに挑んでいる。
最近は、多くのプロダクションがオーディション雑誌の誌上で募集を行ない、書類審査と面接で新人女優を発掘している。この形式のオーディションで成果を上げるプロダクションが増えており、人気上昇中のスウィートパワーの竹富聖花、フラームの有村架純も、誌上オーディションの出身者だ。
スカウトは地方に活路を
街頭でのスカウトは、定番の原宿や渋谷で発掘できる確率が頭打ちになっているという声がスカウトを手がける関係者の間で上がっており、地方に活路を見いだす傾向が強い。東京のプロダクションがパイプのない地方でスカウトを展開するのは困難が多く、地元放送局やフリーペーパーと連携するケースも少なくない。
ソニー・ミュージックアーティスツは沖縄のフリーペーパー「沖縄少女図鑑」と連携して、「ヒミズ」で脚光を浴びた二階堂ふみを発掘。井上和香が所属するインセントも「鳥取美少女図鑑」でモデルをしていた山本舞香をスカウトして、「三井のリハウス」のCMに抜てきされた。
(次回は7月16日掲載)
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント!2012年6月号の記事を基に再構成]
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