格好悪いといわれても… 男だって虫が怖い
今回から、20代の新たなキャラクターが登場します。プロフィールはこちら
えっ、逃がしちゃだめなの?
「うわぁーっ」。猛暑の夜、一人暮らしの部屋に久しぶりにゴキブリが現れた。虫嫌いの僕にとって最大の脅威。深夜にもかかわらず叫んでしまった。
その後、我が物顔に部屋を走り回るゴキから逃げ惑い騒ぐこと2時間。ベッド下に入った好機に殺虫剤を1缶使い切る勢いで噴射し続け、やっと退治した。頼むからもう出てくるなよぉ。
それでも男かとよく言われるが、苦手なものはしょうがない。ゴキはもちろん、クモやカマキリ・バッタに至るまで、子どものころから見るだけで鳥肌が立つ。だから親と暮らしていたころも、虫退治は両親任せ。「だらしない」と言われつつも、それでやっていけたんだ。
でも世間では通らない。彼女が「虫が怖い男なんて格好悪い」というのだ。
先日、彼女の部屋でクモが現れたときも大変だった。「なんとかして」と言われ、やむなく震える手を伸ばしながら、窓の方へ追い払う。うまく外に出して網戸を閉めた時は、心の中で「やったぜ」と叫んだ。
なのに、彼女は不満そう。「なんで逃がすの。また出てくるかも」。えっ、虫も殺さない顔をして、そんなことを言うの?
子を守る母 見習いなさい
「ゴキブリが出た」というヘルプ電話で彼女の家に駆けつけ、それが評価され結婚にこぎ着けた知人がいる。男は実にご苦労様だ。
かつて男の子といえば、虫取り網を手に野山をかけ回るのが普通だった。カブトムシ、クワガタ、カナブン、セミ、アゲハチョウ……。夏休みの自由研究も昆虫採集が一番人気だった。
昆虫ボーイが夏の風物詩だった時代は今いずこ。「気持ち悪い」という声に押され、ジャポニカ学習帳の表紙を昆虫が飾ることもなくなった。しかも熱中症が怖いとエアコン頼みの高気密高断熱住宅で暮らしていれば、昆虫は縁遠くなる。「家に住み着くヤモリやクモは殺しちゃいけない」と言われて育った世代には信じられないだろうが、「足が6本以上あるものは嫌い」という今どき男子の言い分もわからないではない。
でも、イクメン道に精進すれば、きっと君たちもゴキ退治はできるようになるよ。だって、女子も母になると、平気で新聞紙片手にゴキブリを追い回すようになる。子を守るためなら母は強し。要は守る覚悟の問題ということ。ちなみに育児未経験の私には、とてもそのようなまねは……。
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