旅行・レジャー

日本の歩き方

鳥取砂丘の真ん中で「YOGA」とさけぶ

 

2014/6/30

 実はヨガは初体験だ。石谷さんの声に従い、まずはあぐらをかき、呼吸を整える。海から吹く心地良い風を体に感じる。以前、取材先に「風速が3メートル以上になると、砂が飛び始めるんですよ。体に当たる砂は結構痛いですよ」と聞いていたが、今日は心配なさそうだ。

「砂丘YOGA」の前に、砂丘の風紋を観察する参加者(鳥取市の鳥取砂丘)

 暗さに目がなれてきた。寝転んで膝を抱える胎児のポーズの最中、月を探してきょろきょろする。すると東側の空に1点の光を見つけた。「星だ。晴れてきたぞ」と喜んだのもつかの間、ゴーという低音。鳥取空港に着陸していく飛行機だった。近づいてくる飛行機のライトが雲の下部を照らす。どうも雲は低く厚いようだ。

 飛行機を見送ったあと、足の裏を合わせて股関節にひき付ける「ガッセキ」というポーズに移った。そのまま万歳をしてあおむけに寝転ぶ。マットからはみ出した手に砂が触る。砂丘について学べる鳥取砂丘ジオパークセンター(鳥取市)のジオガイド、林田房雄さんに「砂を探ると何か出てくるかもしれませんよ」と聞いていたことを思い出し、あたりを探ってみる。

知られざる砂丘の歴史

 林田さんによると、砂丘からは縄文や古墳時代の土器が見つかることがあるそうだ。砂の下に火山灰混じりで水を通しにくい地層があり、湧き水が豊富だったことから、古代人が水くみしていたとみられるという。その湧き水も現在は多くが枯れている。1943年に鳥取市に壊滅的な被害をもたらした鳥取大地震の影響と言われている。

砂丘からは、旧陸軍が演習で使ったと見られる弾丸や砲弾が発見される(鳥取砂丘ジオパークセンター所蔵)

 砂丘は戦前、旧陸軍の演習場だった。広さや地形がうってつけだったようだ。遠足に訪れた小学生などが年に4~5個、弾丸などを見つけ林田さんらの元を訪れるという。何か発見したいと思い、結構な時間、手を動かしてみたが、やはり収穫はゼロだった。

 万歳のポーズで寝転んでいるうち、背中が熱くなってきた。日ごろ取ることのない姿勢で、余計に手を動かしたためだろうか、血流が良くなったようだ。その熱さをさますかのように、ポツリポツリと雨が降り出した。

 雨にぬれながら、大の字に寝転ぶ「しかばねのポーズ」に移った。集中できていないので「日ごろの行いが悪いのか」と雨の日に必ず言われる問いが頭をよぎる。

 ヨガを行った場所は地元では「観光砂丘」などと言われ、砂丘の一部分でしかない。千代川を挟んだ西側にあり、因幡の白ウサギの舞台となった白兎海岸(鳥取市)も、広義の鳥取砂丘といわれている。

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