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紛争地の平和、現地の人の手で 瀬谷ルミ子さん 日本紛争予防センター理事長

2013/8/4

 長引く内戦で無政府状態が続く、アフリカ・ソマリア。警察はあるが十分に機能していない。5月、この地で警察官40人に研修を行った。「住民間でのもめ事をどう仲裁するか」「復興資金の有効な使い方は」。答えは教えず、皆で探す。「紛争の再発を防いで平和を構築するのは、現地の人の手で」。そう考える。

日本紛争予防センター理事長、瀬谷ルミ子さん=写真 小谷裕美

20代、アフガニスタンやコートジボワールといった紛争地で外務省や国連職員の立場で兵士の武装解除に携わった。現在、NPOの日本紛争予防センター(JCCP)理事長として、現地政府への研修や若者の職業訓練を行う。「現地でニーズがあるのにやり手がいない」分野に取り組む。

 昔から誰もやらないことに挑みたかった。この仕事を選んだ理由も「必要なのに専門家がいないから」。進路に迷っていた高校3年の時、新聞に掲載された1枚の写真が人生を決めた。ルワンダの大虐殺で死にゆく母親と泣きわめく子ども。「紛争地のために何かをしたい」と強く思った。

 大学生の時、ルワンダを訪問。行けば何かできると思い込んでいたが「全く役に立てなかった」。誰も心の内を吐露してくれない。自分も虐殺の話をされて「へえ…大変ですね」とあいまいな返答をするだけ。悔しかった。「場数を踏んで経験を積むしかない」

 政府や軍、スラム街まで声を拾い歩き、何が必要なのかを考えて行動に移す。「イスラム諸国では女性は前面に出られない。しかし、女性や子どもは心を開いてくれる」

 暴力やレイプなどつらい相談を受ける一方、婚活の話題で盛り上がることも。ソマリアでは女性が浮気をして出て行った話を聞いた。女性は迫害されているものだと思い込んでいた。「自分の価値観は絶対ではない」。仕事をする上で大切にしている考えだ。

 6月、JCCPは関係会社を設立し、アフリカをはじめ途上国進出を考えている日本企業へのコンサルティングを始めた。視察先の提案や現地の販売網の調査を行う。国がある程度復興したら、「企業を誘致して産業を育成をするほうが、持続的な経済発展につながる」と信じている。

(黒瀬幸葉)

 瀬谷ルミ子さん(せや・るみこ) 中央大総合政策学部卒、英ブラッドフォード大学修士課程修了。国連PKOや外務省などで勤務。2007年JCCP事務局長、今年7月から同センター理事長に。36歳

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