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ウナギ界の救世主? 「ビカーラ種」を食べてみた

2013/4/30

■難しいウナギの格付け 玄人でも違い分からず

国産ウナギは高値が続く

 ご協力ありがとうございました。正解を明かすと全員が「エ~!?」と驚きの声を上げた。結局、3種を言い当てられた人はいなかった。

 「もしかすると、僕らは、ビカーラを信じすぎていたのかもしれない……」とI君。根拠はないはずだが、ビカーラと国産は似たものだという先入観があったようだ。結果的にはビカーラと中国産を逆に答えてしまった。

 中国産をビカーラ、ビカーラを国産、国産を中国産と勘違いしたM君は「僕、バカなやつみたいじゃないですか」と肩を落とす。I君と同じくビカーラと中国産を逆に答えてしまったTさんは「オレは最も安いビカーラが1番おいしかった」と苦笑し、Tさんと同じ回答だったSさんも「自分の味覚に自信が持てなくなった」と天を仰いだ。

 でも気を落とす必要はない。「業界関係者にもたくさん試食してもらっていますが、私も含めて大概は違いが分かりません」とビカーラでかば焼きを製造する加工会社の会長。プロでも見極めは難しいのだ。

 そもそも国産のニホンウナギに限っても、味は産地や養殖手法によって大きな差がある。活ウナギの分野では中国産や台湾産の評価や価格が国産を上回ることも多く、一般論として格付けするのは難しい。

■四季ごとにある「土用の丑」の日

 ここで土用の丑のおさらいをしておこう。「土用」というのは「彼岸」や「八十八夜」「入梅」などと同じく、古代中国に端を発する「五行説」に基づく暦の雑節のひとつ。春夏秋冬の移行期にあたり、四季の変わり目の約18日間が「土用」とされる。つまり年に4回あるわけで「春の土用」なら立夏前の20日間弱を指す。

昨年登場した、欧州産のウナギ(2012年6月、築地市場)

 「丑」は十二支に由来する。土用の期間中の各日に十二支を合わせ、丑と一致したのが「土用の丑」だ。巡り合わせ次第では1回の土用に2度の丑の日があることになり、2度目は「二の丑」と呼ばれる。今年は4月17、29日が春の土用の丑だ。

 夏の土用の丑にウナギを食べる習慣は18世紀の知識人、平賀源内の発案と伝わる。

 元来、天然のウナギは冬眠に向けて餌を食べ込む秋がもっとも太り、旬を迎える。養殖物がなかった江戸時代、ウナギ屋の主人から売り上げが細る夏の対策を相談された源内は、夏の土用の丑に、同じ「う」の付くウナギを食べるのが夏バテ対策になると売り込むように助言した。現在のキャッチコピーの源流といえるだろうか。

 最近は夏以外の土用の丑にもウナギを売り出す店が増え、冒頭の「ビカーラ種」もこのタイミングでお目見えした。

■今夏に向け、中国でもビカーラ種養殖の動き

昨年は米国産ウナギを扱う業者も出てきた(2012年4月、築地市場)

 夏の土用の丑に向け、中国企業が養殖・加工したビカーラ種のかば焼きを輸入しようという動きも活発になっている。日本鰻輸入組合(東京・中央)の森山喬司理事長は「今年は、ビカーラ種のように割安で資源にも余裕のある外来種が日本市場に広がる起点になるかもしれない。将来的には専門店が高価なニホンウナギ、スーパーなどの量販店が割安なビカーラなど、というすみ分けが進む可能性もある」と予測する。

 考えてみれば、高級店が使う天然のクルマエビや本マグロと、スーパーや回転ずしが使う輸入養殖エビやメバチマグロの価格には10倍以上の開きがある。それに比べ、2~3倍に収まるウナギは格差の小さい魚種といえるのかもしれない。(商品部 吉野浩一郎)

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