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ウナギ界の救世主? 「ビカーラ種」を食べてみた

2013/4/30

■ビカーラ種、業界の評価は上々

ビカーラ種(下)はニホンウナギ(上)より体長が短い

 ウナギ業界の救世主として期待されるこの新顔ウナギ、ニホンウナギに比べると頭が大きく、体長が短い。業界関係者の評価は「ヨーロッパウナギほどではないが、北米のロストラータなどに比べるとニホンウナギに似ており、日本市場に定着する可能性は十分ある」となかなか高い。実際どれほどのものなのか。職場で試食会を開いてみた。

 会場は電子レンジが設置された本社の社食。紙面作りが一段落した平日の午後9時すぎから決行した。

 用意したのは日本国内で養殖・加工したビカーラ種(A)、スーパーで購入した中国産(B)、百貨店などで売られている老舗の国産(宮崎産)ニホンウナギ(C)という3種のかば焼き。中国産の原料はメーカーに問い合わせてみたが、同じ製品でもニホンウナギとヨーロッパウナギの2種類を使っているとのことで特定できなかった。試食会では4人の同僚に正体を明かさずに3種のウナギを出し、感想を聞いた。

■ウナギ3種を名前伏せ試食 記者4人の感想は…

ビカーラ種。肉厚で弾力がある

 4人のモニターのうち、最年長のTさんはカツオ節を自ら削り、家族とのバーベキューの前には築地まで赴いて冷凍エビを仕入れるというこだわり派。4月に異動してきたSさんは「酒もウナギも大好き」という。少し太めの体形と柔和な笑顔はいかにも美食家の雰囲気を醸す。ときたまではあるがイチローに似ているといわれるI君は回りくどい物言いが特徴だ。最年少のM君はしばしば驚くような高価なすし屋に赴くが、感想を聞くとアンニュイな面持ちで「オレ、牛丼チェーンで満腹になる方がいいですよ」とこぼす健たん家である。

中国産。ウナギっぽくないが、最もおいしいという声も

 まずはA(ビカーラ種)を食べてもらう。かみしめるように食したTさんは「しっかりした歯応えで食べ慣れた味だ」とうなずく。Sさんは「スーパーで買う中国産に近い。悪くはないけど、風味がやや物足りないかな」。I君とM君は「ゴムのような歯応え」と似たような印象を得たようだ。

 次はB(中国産)。一口食べるとみんな、アレッという表情を浮かべる。全員が「あまり食べたことのない味」という点で共通した。「タレがなければほかの魚と感じるかも」とTさん。Sさんは「ウナギっぽくはないけど、純粋に食材としてみたらおいしい」と高評価だ。M君は「これがビカーラですね」と自信満々で断言した。ど真ん中の直球に「ストライーク!」とコールする球審のような爽快感である。

国産ニホンウナギ。上品な味わいがある

 最後にC(老舗の国産)。てかった感じのAとは対照的に、枯れた風情を醸す上品な姿に、食べる前から「これがウナギ屋で見るウナギに一番近い。きっと国産品だ」との声が上がる。ところが、箸を付けた4人にはたちまち困惑の表情が浮かび、沈黙が漂った。「もしかすると、僕らは、重大な過ちを犯していたのかもしれない……」。イチローを模したと思われる神妙な口調でI君がつぶやく。国産に期待していた圧倒的なうまさとは明らかに異なるようだ。「ちょっと後味が薄いよな。悪い意味じゃないけど」とTさん。Sさんは「確かに風味が感じられない。でも、これが国産に近いとは思う」。3人が淡泊な味との見解を示すなか、ひとり対極をいったのがM君だ。「これが一番脂が強いですね。脂をこってり盛るような養殖手法は中国とみました」。なるほど。

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