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意外と知らないクジラ肉のこと 流通ルートや味は?

2014/6/6

 今年3月、日本が南極海で続けてきた「調査捕鯨」に国際司法裁判所(ICJ)が待ったをかけた。以来、クジラがたびたびテレビで取り上げられている。懐かしげな微笑を浮かべ「肉がなかった昔はね、タンパク源として給食でクジラをよく食べたもんですよ」と語る中高年のコメンテーターに、「でも私たちの世代って、ほとんど食べたことないんですよね」とどこか冷めた調子の若い女子アナウンサー。1960年代に年間20万トン以上あった日本のクジラの消費量は現在5000トンにも満たない。クジラは今、どこでどのように流通しているのか。

■民間企業の共同船舶シェア7割、卸売市場など通じて販売

船上で加工冷凍して持ち帰る=日本鯨類研究所提供

 資源減少を理由に国際的な商業捕鯨の一時中断(モラトリアム)が決まった1982年以降、日本は「調査」を理由に捕鯨を続けてきた。操業を担っているのは一般財団法人の日本鯨類研究所(東京・中央)と、大手水産会社の捕鯨部が合併してできた民間企業の共同船舶(同)だ。両者で役割を分担しており、日本鯨類研究所が調査・研究、共同船舶が船の運航や捕獲、鯨肉の販売を受け持っている。

 南極海と北西太平洋に年1回ずつ、数カ月ずつの航海をしてクジラを捕獲し、生態系の解明に努めている。捕ったクジラは副産物として加工販売して年間60億円近くかかる調査費用の半分程度を回収し、残りの大半は国からの援助で賄っている。

 捕鯨では、大砲でクジラに銛(もり)を打ち込み、船のスロープを使って甲板に引き揚げる。船上で加工凍結して持ち帰り、築地のような卸売市場に出荷するほか、加工メーカーや外食店への直接販売もする。

 共同船舶のシェアは7割程度。残りは2006年に商業捕鯨を再開したアイスランドからの輸入品や北海道・網走や宮城県・鮎川、和歌山県・太地など日本沿岸で捕獲したものだ。沿岸では調査捕鯨に加え、ツチクジラなどモラトリアムの対象になっていない鯨種も含まれる。共同船舶の半分を占める南極海産が消えれば、流通量が一段と縮小することになる。

■戦後はナガスクジラ、最近はイワシクジラが中心

ナガスクジラの缶詰。南極海の調査捕鯨の副産物である旨が表記されている

 クジラの主役は時代とともに変わってきた。戦後は体長30メートル前後にもなる大型のナガスクジラ。調査捕鯨になってからは10メートル未満のミンククジラが中心だったが、最近は北西太平洋で捕る20メートル前後のイワシクジラがメーンになっている。過激な反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害などにより、南極海でのミンク捕獲が大幅に減ったためだ。

 イワシクジラといっても一般的な認知度は高くない。共同船舶営業部の小泉龍人チームリーダーによると「色鮮やかなのが最大の特徴。あっさりとしたミンクに比べると濃い味です。殺菌装置など船の処理設備が改善された最近は、クジラ特有の臭みがなくなったと評判で、売れ行きは伸びています」とのこと。

 全国展開する北辰水産(千葉県柏市)のデパ地下店舗や東京・御徒町の「吉池」、錦糸町の「魚寅」といった有名鮮魚店に加え、新規に扱い始めるスーパーも増えているようだ。販売価格は赤肉で100グラム398円といったところ。国産牛の切り落としや冷凍メバチマグロと同等の価格帯だ。

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