ライフコラム

生きものがたり

カルガモ、実はおしゃれさん 翼の内側に輝く羽根

2013/9/7

 今しばらく残暑が続くとしても、季節は秋へと向かっている。巡る季節の確かさ、懐かしさに癒やされ、安堵できるのは年を重ねたおかげだろうか。

カルガモはくちばしの先が黄色いことで他のカモ類と見分けられる=写真 瀬古智貫

 9月に入ると、早くもカモたちがロシアなどの北方から渡って来る。日本で40種にも及ぶカモ類のほとんどは冬鳥で、秋から飛来が始まる。図鑑を見ると、どの種のカモも雌は地味で、姿が似ている一方、雄はそれぞれ特徴的で派手な色彩をしている。ところがそれは冬の姿。夏から秋は雌と同様に褐色系で、どれもよく似ているのだ。

雌にもてなくていい?衣替えをしない雄

 野鳥の多くは春にペアをつくるが、カモ類はその例外で、冬にペアとなる。このため雄は晩秋には衣替えを済ます。それまでは何ガモなのか、雄なのか雌なのか、見分けにくい。その上、雄が衣替えをしないカルガモが一年中いる。

 秋の初め、カルガモと、雄がまだ地味な頃の他のカモ類を見分けるには、くちばしに注目しよう。先だけ黄色いくちばしをしているのがカルガモだ。つまり9月以後に茶色のカモを見た場合、くちばしの先が黄色くなければ、ロシアから渡ってきた冬鳥の可能性が高いことになる。

 カルガモの雄はどうして派手にならないのだろう。「日本で繁殖するカモはカルガモだけで、他種と競う必要がないから雄は地味なままでよい」との説がある。これを疑う人もいるが、私はハワイのマガモを見て納得できた。

日本国内で繁殖、他種と競う必要なし

拾った風切り羽。大きさは5センチメートルほど。光るのは表面の片側で、裏面(下)は光らない

 マガモはアヒルの原種として知られ、日本で見られる雄は衣替え後、頭部が緑に光る美しい姿から古くはアオクビなどと呼ばれた。ところがハワイ諸島のマガモの雄は衣替えをせず、一生雌に似た地味な姿のままなのだ。ハワイにも秋冬にアラスカから渡って来るカモが何種もいる。だが繁殖するのはマガモしかおらず、こうした点は日本のカルガモと共通する。

 地味な雌や衣替え前の雄、さらには衣替えをしないカルガモでさえ、青や緑に輝く羽毛を持っていることはご存じだろうか。

 翼をたたむと重なって見えないが、今はチャンス。8~9月は鳥の羽毛が生えかわる時期(換羽期)で、季節で色彩を変えない鳥たちも何千枚もの羽毛をリセットする。下を見て歩いていると様々な羽根に気づく。カルガモの輝く羽根も、河原や公園の池などによく落ちている。

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