ライフコラム

生きものがたり

真夏の夜の風物詩 セミの羽化を観察しよう

2013/8/3

 夏の風物詩といえばアサガオ、蚊取り線香、スイカ、カブトムシ、それに蝉(せみ)しぐれ。セミの声は古くから人の心に季節感を届けてきた。

■種類によって鳴く時間や季節が異なる

山地のブナ林にすむ鮮やかなコエゾゼミ

 セミは種類によって鳴く時間がある程度決まっている。ヒグラシが朝夕に涼しげな声を響かせることは多くの人がご存じだろう。日中に鳴く種類にもそれぞれ好む時間があり、ミンミンゼミは午前中、アブラゼミは午後が活発だ。西日本の街路樹で暑さを際立たせるクマゼミは朝から午前中にかけてよく鳴くが、午後は幹にずらりと並んで止まっていても静かにしている。ニイニイゼミは早朝から夕方までずっと鳴いている。

 現れる季節にも種類差がある。ニイニイゼミは6月下旬から現れ、7月に入るとクマゼミ、ヒグラシがそれに次ぐ。主役であるアブラゼミやミンミンゼミは7月下旬から盛んに鳴き始め、さらに遅れて現れるツクツクボウシはお盆を過ぎて他のセミが減り始めてもにぎやかだ。その声は夏休みの日々が残り少なくなったことをいや応なしに告げ、早く宿題を片付けるよう子供たちをせき立てる。

セミの羽化は夏の夜の風物詩

 山地のブナ林にはコエゾゼミという鮮やかな種類が多いなど、標高や地域によっても見られる種類が変わる。

 真夏の夜に羽化するセミは、劇的な姿の変化を身近な場所で観察できる格好の材料だ。都市部の孤立した緑地では近年、セミの密度が異様に高い場所が増えており、西日本はクマゼミ、東日本や北日本ではミンミンゼミが目立つ。

■都市の緑地で大発生するセミ

 都市の緑地でセミの大発生が起きる理由を一義的かつ明快に説明するのは難しい。ただ、単純化された生態系の中で特定の昆虫が大発生する現象は様々な分野で知られており、クマゼミやミンミンゼミのケースも、競争相手や天敵の種類が少ない都市の緑地で特異的に生じている可能性がある。

 温暖化の影響なのか、クマゼミの分布は北上傾向が続いており、現在では関東地方でもその声が聞かれるようになった。ミンミンゼミが増えた山形市内では、アブラゼミの数が相対的に減ったという調査結果も知られている。

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