ライフコラム

生きものがたり

スズメの巣立ちは2週間 命の営みつなぐ子育て

2013/4/13

 日本は四季に恵まれ、様々な生きものが生息する。人間社会の周りでいのちを育む野鳥、昆虫、魚、動物にスポットを当て、人々の暮らしとの関わりや、時代・環境の変化に伴う生息状況の移り変わり、ユニークな生態――などを紹介する。

ヒナ(右)は親よりも色が淡い。2週間で巣立ちする=撮影 掛下尚一郎

 春の日差しは、顔をのぞかせた新芽を伸ばし、若葉へと育む。寒さと乾燥と鳥の捕食に耐えたチョウやガの卵は幼虫となり、若葉を食べて育っていく。それらの虫たちを餌に、小鳥たちの子育てが始まる。巡る季節の中で繰り返される命の営みは確かだ。最もドラマチックな季節のスタートに今年もワクワクする。

 人家の周りでよく見かけるスズメ。雄の歌やダンスは2月頃から始まっており、4月にはペアが誕生し、巣作りも始まる。

雌の雄選び、ポイントは歌か踊りか…

 ヨーロッパでよく見られるイエスズメという種の雄は、雌にはない喉の黒い模様が大きいほどモテるという研究もある。だが、日本のスズメは雌雄の姿に違いが見られず、雌がどんな雄を選んでいるのか、よくわかっていない。歌い、踊るのは雄らしいので、私はそこがポイントではないかと考えているのだが……。

春、食べると思えないものをくわえていたら巣作りをしているはず=撮影 掛下尚一郎

 雌雄を見分けにくくても、春に2羽で行動を共にしていたらペアの可能性がある。雄が雌に乗る交尾を見ることができたら確実だ。

 実は、この時だけ発する声がある。小さな声で、ヒヨヒヨヒヨと優しく鳴く。あまり調べられていないようだが、乗る側が鳴く時もあるし、乗られる側が鳴く時もある。交尾前に翼をバタバタさせる1羽が発するようなので、誘う側がヒヨヒヨヒヨと鳴くのかもしれない。

 交尾は巣作りの期間に見られる。東京では5月初旬からひなの巣立ちが始まる。羽毛が生えそろうまで2週間、ふ化まで2週間と逆算すれば、早いペアはもう巣作りを終える頃だ。

運ぶ巣材で分かる巣作りの進行

 くちばしにひものような茎や根をくわえていたら気をつけて見てみよう。運ぶ巣材が次第に細く、小さく、柔らかいものになるので、外装から内装へと巣作りの進行がわかる。卵を産み落とす場所に敷き詰める羽毛や毛を運びだしたら、産卵が近い。

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