ライフコラム

生きものがたり

今も実は肉食のイエネコ 狩猟対象は変化か

2013/6/29

ネズミのぬいぐるみを捕まえたネコ

 犬も猫も食肉目に分類される動物である。最古の家畜である犬は2万年に及ぶ人との長いつき合いの歴史から食性が肉食から雑食性へと変化しており、成犬では動物性たんぱく質を食べなくても生きていけるという報告さえある。これに対し、人とのつき合いが4千年と短い猫は完全な肉食動物のままである。

■家庭猫の75%が室内飼育に

 一昔前の定番メニューであったご飯にかつお節のおかかご飯では、必要な栄養素が足りるわけがない。そこで昔の猫はさかんに狩りをした。

 子供の頃、世話をしていたチャボが数羽のひなをかえした。縁側で餌をあげていたら、物陰から1匹の猫が飛び出し、一陣の小さな砂けむりが立った。母鳥がけたたましく鳴き、初めて地上を何メートルも飛ぶというような混乱の後、猫と共にヒヨコが1羽いなくなった。子供心につらい思い出だったので、その時の光景は今も鮮明に浮かんでくる。

物陰からネズミのぬいぐるみをうかがう

 都市化の進展と共に、今では75%以上の家庭猫が室内飼育であるという。生まれてから一歩も土の上を歩いたことがなく、木によじ登ったこともない猫の狩猟対象はゴキブリや、室内にあやまって飛び込んできたアブラゼミくらいに限られる。

 猫の恋やむとき閨(ねや)の朧月(おぼろづき)(芭蕉―をのが光)

 初春の季語にもなっている「猫の恋(発情)」は年に最低2回はやってくる。猫は交尾排卵する動物なので、妊娠しなければ期間中くりかえし発情行動が起こり、うっとうしい騒ぎで室内同居などできたものではない。雄の場合は精巣を摘出する去勢手術、雌では腹部を切開し卵巣子宮を摘出する避妊手術で発情期を抑制し、出産を制限することで円満な室内飼育が可能になる。

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