ライフコラム

生きものがたり

ビール瓶で鍛える インコの正しい持ち方

2013/6/1

正しい保定法(コザクラインコ)

 ペット動物の診療は飼い主の訴えを聞くところから始まる。様々な質問をして情報収集することを問診という。できれば本人(動物)から自覚症状を聞きたいのだが、自らは語らない。飼い主への問診の後に体温測定、聴診、身体表面の視診、触診などの診療へ移行する。近年、犬や猫は室内飼育の増加で社会化が進み、おとなしく診療行為をさせてくれる子(動物)も増えてきているが、いやがって爪を出す、かむ、逃げるなど、動物の診療は常に危険と隣り合わせであることは今も不変である。

■チョークこそ正当技 飼い鳥の保定

 獣医師や動物看護師が診療時に動物を抱いたり、押さえたりして動きを抑制することを「保定(ほてい)」という。保定は「動物および人への安全」や「施術者への便益(やりやすさ)」を確保するために実施する。求められる技量は、採血や注射などの処置にあった方法を、動物に負担をかけずにすみやかに実施し、飼い主には安心感を伝えるという、さらっと押さえているようで、実は難度の高い技術なのである。

 私が駆け出しの頃は、師匠や先輩の技術を盗んでおぼえろというような徒弟修業の時代であり、ペット診療の系統立った保定法が学校教育にはなかったといってよい。

危険な保定法(指もかまれる)

 さて、動物病院は飼い鳥の診療もする。セキセイインコや文鳥を診療するときにも保定法を実施しなければならないが、哺乳類とは少々異なっている。犬も猫も人も、哺乳類は首をしめられれば苦しい。プロレスでも喉笛をしめるチョークは反則技である。犬の保定時に腕を首に回すことがあるが、力まかせにしめ上げては窒息し、心臓や肺に疾患のある子などはチアノーゼを起こして危険である。

 ところが飼い鳥の保定では、チョークこそ正当技なのである。セキセイインコの気管は、直径2~3mmの小さな蛇腹のような形状で、気管軟骨が360度形成されている。そこで、頸部(けいぶ)を人さし指と中指の間に挟んで動きを抑制する保定法なら鳥を窒息させることがなく、かまれることもない理想型となるのだ。

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