ライフコラム

生きものがたり

ヒナは拾わないで カラスの親子に気づこう

2013/6/15

 6月に出会う野鳥の多くはお父さんかお母さんかその子供のどれかに当てはまる。毎年、春から初夏にかけて子育てし、子は冬を生き延びれば、次の春は大人として繁殖に加わるからだ。

子どもは口の中が赤く、目が淡い (ハシボソガラス)

 そこかしこに親子がいるのに、カルガモの親子以外はあまり気づかれないのはなぜだろう。地上に巣を作るカモのひなはふ化後すぐに巣を離れなくてはならないので、小さなひなは簡単に子と分かる。しかし多くの鳥の場合、ひなは巣の中でたくさんの虫を与えられ、親に近いサイズまで育ってから巣立つ。つまり私たちが目にする段階で、子は小さくはないのだ。

 野生の命は「繰り返される子育て」「子だくさん」「早い成長」という3原則で生存率の低さをカバーしており、親子の期間は長く続かない。小鳥では遅くとも夏までだ。スズメの場合、ひなは2週間で巣立ち、その後親とともにいるのは10日前後しかない。その僅かな間に危険や食物について学習して自立するのだが、それまでは翼をバタバタさせて親鳥に餌をねだる動作で子と分かる。

■カラスの親子 違いは口の色

 カラスの親と子の違いはどこにあるのだろうか。日本でみられるカラス科の鳥は11種と記録されており、オナガやカケスのように見分けやすい種もあるが、黒い仲間は親と子の見分けはもちろん、種も区別できない人が多い。ミヤマガラスやワタリガラスは冬鳥なので、この時期ならハシブトガラスかハシボソガラスのどちらかとなる。「襲われた」などと騒ぎになるのは、都市部に多いハシブトだ。

黒くないカラスの仲間(羽は上からカササギ、オナガ、ステラーカケス。翼はカケス)

 ハシブトの子は声で分かる。しわがれ声が多いカラス科では珍しく、親は濁らずに「カー」とか「アー」と鳴くが、子の声は少しこもって「ウンアー」と聞こえる。カラスが怖いという方はその声に近づかないようにしたい。巣や子に近づかなければ、カラスの方から人に向かってくることはない。

 カラス科の子はどれも口の中が赤い。口の中が見えなければ目を見てほしい。ハシブト、ハシボソとも黒い瞳の親鳥と違い、巣立ち後しばらくは虹彩が淡い。目が黒くなる頃には、人が近づくと逃げることを覚え、飛び方も上達する。そうなれば人に過敏だった親鳥も寛容になるのが常である。

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