ライフコラム

生きものがたり

野鳥観察の「ものさし鳥」ムクドリ 歩く姿も注目

2013/7/13

ムクドリの雌。雄と比べると黒みがやや淡い。雌より淡いのが幼鳥=写真 石田光史

 「野鳥の習性は」と聞かれると、種によって違うので返答に困る。食べものやすみかに違いがあるからこそ多くの種が共存しているのが生物多様性の実態である。とは言え、野生である限り生存率は高くないので、繁殖は子だくさんと短期集中が原則。春に始まり、夏には終わる。小鳥ではふ化から巣立ち、自立に至るまで1~2カ月ほどだ。「スズメのひなは2週間で巣立つ」と聞いてうらやむお母さんもいるが、1日平均300回も餌を運び、しかもその多くが虫と知れば、親鳥の苦労もご理解いただけよう。

■幼鳥の自立

 7月は2度目の子育てに入るペアもいるが、5~6月に巣立った子の多くはすでに自立の時を迎えている。巣立ち後の幼鳥を見ていると、親に餌をねだる一方で、目立つものをつつくような採食行動のまねごとが見られ、好奇心が学習に結びついているように思える。自立後は声変わり(ひなの頃の声は親鳥と違う)が進み、成鳥と同じような行動ができるようになるはずだが、しばらくはぎこちなかったり、しくじったりもするので面白い。

 ムクドリは幼鳥の自立が始まると、群れになって騒がしくなる。毎年のように「町で大発生」と騒がれるが、開けた環境を好むムクドリはもともと森の鳥ではないし、夏は最も数が多い季節だ。秋にかけて南下してくる個体が加わる地域では、集団ねぐらが千や万という単位にもなる。幼鳥は一冬越せば成鳥として繁殖できるようになるものの、そこまで生きのびるものは少ない。年明け後には繁殖に向けて北上や分散が始まり、騒動は収まるのが普通である。

ムクドリ(雄)。九官鳥に似ているがそれもそのはず。ともにムクドリ科に属する=写真 石田光史

■野鳥観察の基準になる「ものさし鳥」

 スズメ、ムクドリ、ハト、カラスは野鳥を見分ける「ものさし鳥」と言われる。野鳥は捕まえて計測することができないので、身近に多い鳥をよく見ておくことで、比較の対象、つまりものさしとするのである。ムクドリは「スズメとハトの中間サイズ」となるが、北日本は春夏だけ、南日本では秋冬だけの地域もあるので、各地で年中見られるヒヨドリをスズメとハトの中間のものさし鳥にすべきだとの意見もある。

ライフコラム