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生きものがたり

サクランボの受粉に役立つ マメコバチの特性 

2013/5/11

腹にたくさんの花粉をつけて巣に戻ってくる =写真 永幡嘉之

 連休が明ける頃、山形では様々な果樹の花が盛りを迎える。サクランボ、ラフランスなどが一帯を白く染め、少し遅れてリンゴの花が開く。サクランボの畑は、全体が鉄骨で覆われているので分かりやすい。収穫期に雨が当たると、実がひび割れて傷みやすくなるので、収穫前に畑全体をビニールの雨除けシートで覆うのだ。

■受粉に重宝されるマメコバチ

 ハチの羽音に包まれながら、白く咲き誇るサクランボ畑を歩いてみると、片隅に奇妙な箱が置かれているのが目にとまる。箱のなかにはヨシの束がぎっしりと詰められている。ドラム缶や一斗缶を再利用したものが多いが、時には古い冷蔵庫や犬小屋が使われていることもある。

 これは、マメコバチの巣箱。図鑑にはコツノツツハナバチという長い名前で載っているが、世間ではもっぱら、マメコバチという通称で呼ばれる。サクランボの受粉には欠かせないハチだ。

満開のサクランボ畑。遠景は朝日連峰 =写真 永幡嘉之

 巣はヨシの筒などの細い空洞に作り、近くの田んぼから運ぶ泥で部屋を作っては、中に集めてきた花粉をためこんで卵を産む。この作業はメス1匹だけで行い、ミツバチやスズメバチのように大きな巣をつくって分業することはない。黄色い花粉団子はほんのりと甘く、かつては農村の子供たちのおやつになっていた。きな粉とよく似た味がすることから、きな粉の別名を冠して「豆粉蜂」の名がついたという。

■植物の自家不和合性

 自然界では、植物は人間が手をかけなくとも実を結ぶはず。なぜ、マメコバチは受粉のために重宝されるのだろうか。その話を進めるには、植物の自家不和合性について説明しておく必要がある。

 サクランボの場合、雌しべに花粉がつけば、受粉して結実するが、例外として同じ木の花粉と雌しべでは受粉せず、結実もしない。体にたくさんの花粉をつけて花から花へと飛び回るハチは、別の木の花粉を運ぶからこそ、受粉に重要な役目を果たす。

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