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スマホでは代替できない、衝撃的なコスパの電子辞書

2016/4/28

 4月を迎えて「英語の勉強を始めた」という人もいるのではないか。せっかく新鮮な気持ちで勉強を始めたのなら、使う辞書も新しくしてはどうだろう。最近の電子辞書は特に英語学習に力を入れているからだ。春から英語の勉強を始めた人、もっと効率よく勉強したいという人に向けて、電子辞書の選び方、お薦めモデルを紹介しよう。

 1979年にシャープがポケット型電訳機「IQ-3000」を発売してから約40年近くも進化しつつけてきた電子辞書だが、ここ数年でさらに進化を遂げている。ディスプレーはカラータッチパネルが当たり前になり、辞書や辞典だけでなく一部電子書籍の閲覧も可能になった。古い電子辞書を使い続けているなら、買い替えを検討してみてはどうだろう。

■電子辞書の魅力は「コスパ」と「使い勝手の良さ」

 電子辞書の魅力はさまざまだが、最も分かりやすい魅力の一つが「コストパフォーマンスの高さ」だ。「カラータッチパネル液晶にキーボードが付いていて検索しやすい」「映像や音声で学習できる」といった魅力も大きいが、実は衝撃的なほどコスパがいいのだ。

 カシオ計算機の「EX-word(エクスワード)XD-Y9800」(実勢価格4万5370円)を例に挙げてみよう。これは英語力を総合的に高めることを目的にした「英語モデル」という位置付けで、2月に発売されたばかりということもあって決して安くはない。しかしその中には170もの豊富なコンテンツを収録している。

 その中からほんの一部だけ、紙の辞書の価格を紹介しよう。

・ジーニアス英和大辞典(1万7820円)
・新英和大辞典 第六版(1万9440円)
・新和英大辞典 第五版(1万9440円)
・リーダーズ英和辞典 第3版(1万800円)
・リーダーズ・プラス(1万800円)

 ……お分かりいただけただろうか。この段階で、すでに合計7万8300円にも上っている。一部には紙の辞書に比べて安価なパソコン向けの電子辞書ソフトをラインアップしているものもある。とはいえ、例えば1つ1000円のコンテンツが170個入っているだけでも、単純計算でコンテンツの総額は17万円に上る。どうしても欲しいコンテンツが10個程度しかなかったとしても、電子辞書はとてつもなくお買い得なことは理解できるだろう。

■「スマホ+アプリ」というスタイルはあり? なし?

 せっかくスマホやタブレットの時代になったというのに、わざわざ専用の電子辞書を使うなんて時代遅れ……。そんなふうに思う人もいるかもしれない。価値観は人それぞれだが、ワープロ専用機の時代から汎用のパソコン+ワープロソフトの時代に移り変わったこともあり、そう感じる人もいるのではないだろうか。

 実際、スマホやタブレット向けの辞書アプリも多数登場している。操作感のいいスマホで調べ物をしたいという人にはこちらもお薦めだ。しかし「さまざまな辞書を横断的に活用して英語を学習したい」といった用途にはお勧めしない。というのも、スマホアプリでも、コストパフォーマンスの面では電子辞書が圧倒的に有利だからだ。

 例えばiPhone、iPadなどのiOS機器向けアプリを販売するiTunes Storeで「ウィズダム英和・和英辞典 2」(2900円、262MB)、「広辞苑 第六版 ― 動画・画像・音声付き」(同8800円、799MB)、「Oxford Advanced American Dictionary(audio)」(2600円、415MB)という3コンテンツを購入するだけで、すでに約1万5000円になってしまう。それだけではない。この3コンテンツだけでデータ容量は約1.5GBに上る。ストレージが限られたスマホやタブレットの場合はつらい。

 いくつかのコンテンツをスマホに常備しておくのは便利だろうが、スマホ自体を電子辞書並みに使うのはあきらめた方がいい。

■電子辞書の選び方は難しい?

 電子辞書はカシオの「EX-word シリーズ」、シャープの「Brain(ブレーン)シリーズ」の2シリーズが有名だ。以前はSII(セイコーインスツル)も英語学習に強い電子辞書をラインアップしていたが、現在は製造していない。現在は電子辞書というとカシオかシャープの二択となっている。

 電子辞書の購入を検討する場合に、最も気になるのが「ラインアップが多すぎること」。内蔵する辞書の種類や数がモデルによって異なるため、「どれを買えばいいのか分からない」という人も多いことだろう。

 しかし、選び方は決して難しくない。カシオ、シャープともに「中高生向けモデル」「大学生・ビジネスパーソン向けモデル」「生活・教養モデル」「語学学習強化モデル」といったようにカテゴリー分けして製品をラインアップしている。社会人の場合、このうち中高生向けモデルは省いて、基本的にはビジネスパーソン向けモデル、もしくは幅広い知識や教養を学べる生活・教養モデルを選べばいい。英語をより重点的に学びたければ語学学習強化モデル、中高生ぐらいからやり直したいのであれば中高生向けモデルまで幅を広げて検討するといいだろう。

■カシオとシャープ、どちらがお薦め?

 カシオとシャープでは、それぞれの特徴がある。

●「乾電池駆動」が大きな特徴のカシオ

 カシオのEX-wordシリーズは、一部の機種を除いて乾電池駆動に対応しているのが大きな特徴だ。「出先でバッテリーが切れて使えない」という事態に陥らないのはうれしい。後述する「EX-word RISE」を除き、単3形乾電池1本もしくは2本で駆動する。USBケーブルからの給電で駆動することも可能だが、USBケーブル経由で中の電池を充電することはできない。

 ただし、ディスプレーの解像度の高さはシャープに譲る。「電池のカシオ、液晶のシャープ」と覚えておくといいかもしれない。

 コンテンツはCD-ROMもしくはデータカードで追加可能だ。2016年モデルから、英語学習の進捗状況を確認しながら学習できる「English Training Gym」が搭載された。

●「スマホライクな使い勝手」が特徴のシャープ

 シャープのBrainシリーズは、カシオのEX-wordシリーズと違ってバッテリー駆動スタイルを採用している。乾電池駆動と違って外出先でバッテリーが切れると使えなくなってしまう。しかしスマホ・タブレット用のモバイルバッテリーを持っていれば安心して使える。

 シャープの大きな魅力として、前述の通りディスプレーの解像度の高さが挙げられる。例えばカシオの「XD-Y9800」が5.0インチ(528×320ドット)なのに対し、シャープの「PW-SB3」は5.5インチ(854×480ドット)と大型で圧倒的な高解像度(ドット数では約2.4倍)となっている。

 そのほかに液晶を反転させてスマホやタブレットのように使える「360°オープンデザイン」も大きな魅力。さらには音声を録音できるボイスメモ機能、電卓機能、通貨換算などができる便利計算機能、メモ書きができるノート機能、付せん機能など辞書以外の機能もEX-wordシリーズに比べて充実している。

■英語を徹底強化したい人向けのモデルは?

 ここでは、英語を徹底的に強化したい人向けにお薦めモデルを紹介しよう。

●カシオ計算機「EX-word RISE XDR-A20」(実勢価格4万5360円)

EX-wordシリーズの英語学習特化モデル「EX-word RISE XDR-A20」

 2016年4月に発売されたEX-wordシリーズの英語学習特化モデル。EX-wordシリーズはノートパソコンのようなスタイルのモデルしかラインアップしていなかったが、このモデルでは電車内などで片手で持って使いやすい「タブレットスタイル」、キーボードをスライドさせて文字入力できる「フラットスタイル」、フラットスタイルから画面を起こしてノートパソコンのように使える「チルトスタイル」の3ウェースタイルを採用した。

電車内などで片手で持って使いやすい「タブレットスタイル」のほか、キーボードをスライドさせて文字入力できる「フラットスタイル」、フラットスタイルから画面を起こしてノートパソコンのように使える「チルトスタイル」の3ウェースタイルを採用している

 EX-wordシリーズの大きな特徴は、英語学習の進捗状況を確認できる「English Training Gym」だ(EX-word RISEのほか、2016年モデルである「XD-Yシリーズ」共通の機能)。「ボキャブラリー」、「リスニング」、「スピーキング」、「テスト対策」のカテゴリーから、学習ペースをチェックしながら効率的に英語力アップに取り組めるようになっている。NHKラジオの「基礎英語1~3」、「ラジオ英会話」の2014年版、「入門ビジネス英語」、「実践ビジネス英語」なども収録している。

 そのほか、「リーダーズ英和辞典 第3版」や「リーダーズ・プラス」、「オックスフォード現代英英辞典(第9版)」などの英語辞書、「デジタル大辞泉(第二版)」や「明鏡国語辞典 第二版」なども含め、トータル120コンテンツを収録している。

 EX-wordシリーズは乾電池で駆動するのが特徴だが、こちらはバッテリー駆動タイプ(バッテリー駆動時間の目安は約6時間)になっている。通常のEX-wordシリーズとは使い勝手が異なるので、その点は注意しよう。

●シャープ「Brain PW-SB3」(実勢価格3万7470円)

2016年1月に発売された「Brain PW-SB3」。液晶を約360度回転させることで、スマホやタブレットのように使える「タッチペンスタイル」と、ノートパソコンのように使える「キーボードスタイル」の2つが選べる

 2016年1月に発売されたシャープの大学生・ビジネスパーソン向けモデル。カシオ計算機のEX-wordシリーズは5.0インチで解像度が528×300ドットなのに対し、PW-SB3は5.5インチで854×480ドットと解像度が高いのが魅力の一つとなっている。

 PW-SB3の魅力はEX-word RISEと同様、電車内などでも使いやすい点にある。液晶を約360度回転させることで、スマホやタブレットのように使える「タッチペンスタイル」と、ノートパソコンのように使える「キーボードスタイル」の2つが選べる。著作権保護期間が終了した文学作品などを無料で読める「青空文庫」をはじめとする書籍を楽しめる書籍リーダーを搭載しており、タッチペンスタイルで縦持ちすれば文庫本のように“立ち読み”も可能だ。横持ち、縦持ちで操作ボタン表示が変わる「フレキシブルタッチキー」を採用しており、どんな持ち方でも使いやすいような工夫もなされている。

 英語学習向けには「リーダーズ英和辞典 第3版」や「リーダーズ・プラス」、「OXFORD現代英英辞典 第9版」など68のコンテンツを収録。もちろん「ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版」や「スーパー大辞林 3.0」、「故事ことわざ辞典」、「ビジネスマンの知的資産としてのMBA単語帳」など百科事典や国語、ビジネスなど幅広くラインアップしている。

 Brainシリーズは英語学習向けのアプリケーションソフト「ATR CALLシリーズ」を収録しているのも大きな特徴だ。タッチペンやマイクを使って「聞く」、「話す」、「書く」を実践しながら英語を学習できるというもの。PW-SB3は約3万問もの設問数でTOEICテスト対策ができる「ATR CALL TOEIC テスト対策」を収録している。そのほかにも「はじめての新TOEIC テスト全パート総合対策」や「学研 新TOEIC テスト 完全攻略 for Brain」、米国留学向けの「はじめてのTOEFL iBT テスト総合対策」など充実している。

●カシオ「EX-word XD-Y9800」(実勢価格4万5370円)

「EX-word XD-Y9800」は国語や生活・教養など幅広いコンテンツが充実している

 カシオの「EX-word XD-Y9800」は大学生・ビジネスパーソン向けモデルだ。英語学習については「EX-word RISE XDR-A20」の方が充実しているが、こちらは国語や生活・教養など幅広いコンテンツが充実している。

 電子辞書らしく、各辞書に素早くアクセスできる専用ボタンを用意している。電子辞書を使っていたことがある人にはEX-word RISEより使いやすいだろう。

 「とにかく英語を中心に勉強したい」という人ならEX-word RISEがお薦めだが、「せっかく電子辞書を買うなら他の調べ物にも使いたい」という人には、幅広いコンテンツが充実しているこちらがお薦めだ。

(IT・家電ジャーナリスト 安蔵靖志)

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