Surface上位機何を選ぶ? ビジネスならプロ4
ノートパソコンやタブレット、2in1など、さまざまなタイプのウィンドウズ10搭載パソコンが発売されているが、そのなかでもひときわ存在感を示しているのが、マイクロソフトのサーフェス(Surface)シリーズだ。
2015年11月に発売された「サーフェスプロ4」(以下、プロ4)はタブレット型の2in1モデル。背面にあるキックスタンドを起こして、別売りのタイプカバー(実勢価格1万7710円・税込み)を装着すれば、ノートパソコンのように使える。
2月4日に発売されたのが「サーフェスブック」(以下、ブック)。タブレットタイプのディスプレー部にシリーズ初となるハードウエアキーボードを標準装備したモデルだ。
両モデルともCPUやメモリー、ストレージ容量などを購入時にカスタマイズできる。CPUを「コアi5」、メモリーを8GB、ストレージを256GBのSSDでそろえた場合の直販価格は、プロ4が税込み19万4184円(本体のみ)でブックは税込み26万9784円。プロ4にタイプカバーを合わせた場合は合計で税込み21万1894円になる。一般的なビジネス用途に向くのはどちらか。2モデルを比較した。
両者ともフルサイズ、タッチパッドはブックが広い
キーボードは両モデルともキーピッチ19mmのフルサイズキーボードを採用。特に変わった形のキーもなく、違和感なくタイピングできた。
使い勝手で見てみると、やはりハードウエアキーボードを搭載するブックが有利だ。ヒンジを採用したクラムシェルタイプのため、安定感は高い。タッチパッドのサイズが大きいことも特徴。パームレストにも余裕があり、伸び伸びと使える。
ただ、プロ4のキーボード性能(別売りのタイプカバー)も十分満足できる水準に達している。キーボードが接地面より浮く構造のため、たわみを僅かに感じるが、従来モデルよりも安定性は高い。デスクやテーブルなど、平らな場所で使うぶんには大きな差にはならないだろう。
また、両モデルともタッチ操作に対応しており、付属のペンを使った入力が可能。1024段階での筆圧検知に対応している他、4種類の硬さからペン先を選択できるなど、"手書きできるタブレット"としてどちらも十分使える。
抜群に軽くて薄いプロ4
プロ4は本体が約786gで、タイプカバーをセットしても約1kgと軽く、携帯性に優れる。タイプカバー装着時でも厚みは12mm程度でかばんに入れてもほとんど気にならなかった。
一方、ブックは1.5kg超と重めで、モバイル用途に向いているとは言い難い。ただ、ディスプレー部の重さは726gとプロ4より軽いので、例えばキーボード部は自宅や会社に置いておき、外出先ではタブレットとして使うというのもよさそうだ。
ブックはフルサイズのSDカードが使えるが、プロ4はmicroSDカードのみなど、拡張性はブックに軍配が上がる。
■グラフィック機能はブックが上回る
差が出たのはグラフィック機能。ブックは液晶ディスプレーの表示性能で優位だ。一般的なデジタルカメラなどが対応している色空間「sRGB」を100%再現できるため、フォトレタッチなどに向く。
表示の速度もブックが上回る。両者ともグラフィック機能を内蔵したCPUを採用する。だが今回選んだスペックのブックは、キーボード部にバッテリーだけでなくGPU(グラフィック処理用チップ)「GeForce(ジーフォース)」を搭載。ジーフォースと内蔵グラフィック機能をアプリケーションごとに切り替えられる仕組みだ。
ベンチマークソフトでテストしたところ、ジーフォースと内蔵グラフィックの性能差は歴然。ブックは写真や動画編集など、負荷の高いクリエーティブワークにも向いているといえる。
メールやウェブ、ワードやエクセルなど一般的なビジネス用途はどちらの製品も十分こなせ、不満は全くない。両者で大きく異なるのはグラフィック機能とサイズ・重さだ。動画編集などグラフィック機能を活用することが少ないのであれば、ブックはややオーバースペック。ただ、ブックには「GPUなし」でストレージが128GB SSDのモデルもある(直販価格22万1184円・税込み)。その際は、軽さ・薄さといったモバイル性や、キーボードの打ちやすさなどが判断基準になる。
結論
モバイル向きで性能も十分
スペック最優先であればブックが断然有利だが、写真や動画処理など負荷の高い作業を行わないのであればプロ4でも十分だ。本体が約786gと軽量で、キーボードを付けても1kg程度というのは大きな魅力。普段からかばんに入れて持ち運び、ビジネスシーンで活躍しそうだ。
(ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2016年5月号の記事を再構成]
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