新顔アクションカム、ぶれないDJIに迫力のリコー
「GoPro」が市場を創出し、新規参入が相次いで一気に激戦区となったアクションカメラ。この分野にまたもや異色の新顔がお目見えした。2015年10月に発売された「DJI Osmo(オズモ)」(DJI JAPAN)の最大の特徴は、ドローンの技術を応用して"ぶれない"カメラに仕上げた点にある。
小走りでもほとんどぶれない
その触れ込みは本当なのか。歩きながら街の風景を撮影したところ、ピタッと水平を保ったまま平行移動するような映像が撮れた。小走りでもほとんどぶれないなど、手ぶれ補正で定評のあるソニーのビデオカメラ「ハンディカム」と比べても効果は明らかだ。
映画やニュース中継のように、ぶれずに水平に移動するような映像を歩きながらでも撮れる。スティック操作でアングルを自在に変えられるほか、カメラ部が自動回転してパノラマで自撮りできたり、手持ちで長時間露光撮影ができたりする点も他にない魅力。ただし、手ぶれ補正機構の消費電力が多いためか、1時間未満でバッテリー切れに。防水などの耐候性を備えない点にも注意したい。こういう弱点もあったが、Osmoでしか撮れない映像や写真に魅力を感じるなら"買い"だろう。
●実勢価格:8万3330円(税込み)
●サイズ・重さ:幅61.8×高さ161.5×奥行き48.2mm・201g(ハンドル部)
●撮像素子:1/2.3型(1240万画素)
●開放F値:f2.8
●焦点距離:20mm
●ISO感度:100~3200
●シャッター速度:8~1/8000秒
画質4K、画角204度で迫力がアップ
これに対して「RICOH WG-M2」(リコーイメージング)は、正統派のアクションカメラだ。横型の小型軽量アクションカムの新モデルで画角が旧型から大幅に広がり最大204度になった。魚眼レンズを使ったように周囲を広く写せる。特に動画撮影時の迫力が増した。手のひらサイズで軽いうえ、側面のボタンが大きいので手袋をしたままでも操作しやすいなど、アウトドアでの使いやすさは旧型譲り。
液晶画面が小さいこともあり、一般的な撮影にはあまり向かない印象だが、身に付けてスポーツやアウトドアに使ったりすれば、迫力ある映像が撮れる。4K画質の撮影に対応し、単体で水中撮影もできるので、現時点ではGoProの有力な対抗馬となるだろう。
●実勢価格:4万4920円(税込み)
●サイズ・重さ:幅57.4×高さ34.1×奥行き77.8mm・136g
●撮像素子:1/2.3型(約800万画素)
●開放F値:f2.0
●焦点距離:14mm
●モニター:1.5型・約11.5万ドット
●ISO感度:200~6400
●シャッター速度:1/4~1/24000秒
普段使いもカバーする"万能選手"
オリンパスの「STYLUS TG-870 Tough」は、一般的なデジカメとの兼用モデルという性格が濃い。重さが200g超なので、アクションカメラのように身に付けて使うにはやや重いと感じるが、アウトドアシーンで持ち歩くデジカメとしては十分に軽い。また防水・防じんといった耐候性を備えるうえ、GPS機能も搭載するので、一般的なデジカメと比べて利用シーンの幅は広い。
21mm[注]の広角レンズは旅行で風景を収めるのにも向き、自撮りの際には景色までしっかり入る。光学5倍ズームなので、スナップ撮影の性能は十分以上だった。実勢価格が比較的安いので、オールラウンドな一台を求めるなら積極的に選んでいい。
●実勢価格:3万6550円(税込み)
●サイズ・重さ:幅112.9×高さ64.1×奥行き27.6mm・221g
●撮像素子:1/2.3型(1600万画素)
●開放F値:f3.5~5.7
●焦点距離:21~105mm
●モニター:3型
●ISO感度:125~6400
●シャッター速度:1/2~1/2000秒
普段使いできるカメラ、高速連写に対応
普段から持ち歩く"サブカメラ"としての魅力に磨きをかけたのが、カメラ部と液晶部が分離するカシオ計算機の「EX-FR100」だ。画角が16mmになり、旧型より広い範囲を写せるようになったため、アウトドア用カメラとしての魅力が増した。
持ち味の一つが、一定周期で自動的に写真や短い動画を撮っていくインターバル撮影機能。アウトドア用途に限らず、日常風景を記録しても意外な一枚が撮れた。さらに高速連写やハイスピード動画の撮影に対応。動きのあるものを撮りやすくなり、普段使いでの利便性も向上した。これらの特徴が気に入れば、アクションカメラとしても使える変わり種デジカメとして、持っていても損はない。
●実勢価格:4万5500円(税込み)
●サイズ・重さ:幅60.9×高さ154.8×奥行き38.7mm・214g(合体時)
●撮像素子:1/2.3型(1020万画素)
●開放F値:f2.8
●焦点距離:16mm
●モニター:3型・約92万ドット
●ISO感度:64~3200
●シャッター速度:非公表
4K画質の全天球カメラ
今後の動きで見逃せないのが、老舗ニコンの参入だ。「KeyMission 360」は2組のレンズと撮像素子を備え、周囲360度を4K画質で撮影できる。視点を360度自在に動かせるVR動画に対応するのも特徴。価格などの詳細は未発表だが、アクションカメラの新潮流になる可能性も秘める。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年5月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。