プジョー308のスポーツカー、ブランドに貢献
プジョー・シトロエン・ジャポンは、2014年11月に発売したプジョーの中核モデル、「308」のスポーツモデル「308GTi by PEUGEOT SPORT」を発売した。
プジョーのモータースポーツ部門、PEUGEPOT SPORTがチューニングしたモデルで、グレードは「308GTi 250 by PEUGEOT SPORT」と「308GTi 270 by PEUGEOT SPORT」の2つで価格は385万~436万円。
ボディーの仕様は、左ハンドルの5ドアハッチバックのみ。搭載される1.6L直列4気筒ターボと6速MTという組み合わせは2グレードとも同じで、エンジンなどにそれぞれ専用チューニングを施している。
エンジンは大幅にアップグレード
足まわりは、スポーツ走行用のサスペンションと、フロント強化ブレーキシステムを採用。外装にはエアロパーツ、ブラックドアミラー、デュアルエキゾーストを専用装備とした。両モデルの外観上の違いは、サイズとデザインの異なるアルミホイールと仕様の異なるフロント強化ブレーキシステムの2点となる。さらに270ではオプションで2トーン仕様を選ぶこともできる。
エンジンについては、250、270ともに他モデルにも使用される1.6L直列4気筒ターボを採用。ただしターボチャージャーやインタークーラーの変更などの補機類に加え、専用の鍛造ピストンを使用するなど、308からは大幅にアップグレードされている。
エントリーグレードとなる250のエンジンは最高出力250ps/6000rpm、最大トルク33.7kgm/1900rpmにチューニングされている(ノーマルの308は130ps/5500rpm、23.45kgm/1750rpm)。また250には18インチアロイホイールとレザーとアルカンタラ―のコンビスポーツシートが採用されている。
スポーツ走行にも耐えられる270
一方、上級グレードの270のエンジンは最高出力270ps/6000rpm、最大トルク33.7kgm/1900rpmを発揮するようにチューニングされており、装備は19インチアロイホイール、4ポッドのレッドフロントブレーキキャリパー、トルク・センシング(トルセン)LSD、フロントバケットシートを専用装備として採用。パワーに加え、装備の違いも特徴的だ。
とはいえどちらのモデルも、パワフルなエンジンに軽量なボディーを組み合わせた、力強い加速と軽快な走りがウリではある。実際に乗ってみたが、ダイレクトな感覚を重視しながらも、ライバルとなるドイツ車のような精巧さだけではなく、職人が作り上げた深い味わいを感じさせる乗り味だった。このあたりはライバルとなる「ゴルフGTI」とのキャラクターの違いを感じさせるところだ。
250と270のキャラクターの違いは、エンジンのチューニングプラス足まわりで、270には駆動輪である前輪にトルセンLSDを装着することでより鋭いコーナリングを実現。さらにブレーキディスクサイズを大型化し、専用ブレーキキャリパーを備えるなど、ブレーキ性能もアップグレードしている。シートもホールド性が高いバケットタイプを採用し、サーキットなどのスポーツ走行にも耐えられるようになっているという。
乗り心地はどちらも良く、装備も同等なので、日常での使い勝手も変わらない。どちらを選ぶかは好み次第で、日常使用とドライブを楽しみたいなら250、サーキット走行などモータースポーツまで楽しみたいなら270だろう。
スポーツグレードでブランドイメージ向上へ
プジョーは2015年、前年比3.4%増となる5904台を販売。2016年は3月7日までに1028台が販売済みとなり、前年同期の40.6%増という好調なスタートを切ったという。これには中核的モデルの308と、マイナーチェンジで新パワートレインを採用したコンパクトカーの「208」好調が関係している。
さらに2月20日から3月21日までは、全車種を対象に「0%ローンキャンペーン」も実施。3年間残価設定型ローン「プジョー・パスポート」の金利分負担をなくすというもので、さらにモデルによっては、購入支援クーポンで最大40万円のサポートも受けられる。こうした施策が、売り上げに貢献したようだ。
このキャンペーンはグループであるプジョー、シトロエン、DSの3ブランドで実施されたのだが、最も効果があったのがプジョーブランドだったという。このあたりからも、従来とは異なる顧客のプジョーへの関心が高まっていることが分かる。
スポーツグレードのGTiやGTi by PEUGEOT SPORTは、それ自体の販売台数はあまり多くない。ただモータースポーツからのフィードバックにより開発されたスポーツカーの存在は、新世代プジョーの高性能さをアピールするには不可欠であり、プジョーファンへのアピール度も高い。さらにプレミアム感が高められた新世代プジョーのブランドイメージ構築にも一役買いそうだ。
(ライター 大音安弘)
[日経トレンディネット 2016年3月29日付の記事を再構成]
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