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ビジネスでも「超人」 放送開始50年のウルトラマン 企業タイアップ高水準

2016/4/15

ウルトラマンと強敵の宇宙恐竜「ゼットン」(C)円谷プロ

 1966年の放送開始から50年を迎えたウルトラマン。そのウルトラマンをキャラクターに使った商品やタイアップキャンペーンを目にする機会が増えてきた。幅広い年齢層から支持を集め、その勢いがますます強まっている。怪獣退治に活躍したウルトラマンがビジネスマンとしても超人ぶりをみせている。

■日本酒や「食べるラー油」好調

 福島県二本松市の酒蔵「人気酒造」はウルトラ怪獣のイラストがついた日本酒を2011年夏から販売している。現在発売中の商品のパッケージにはウルトラ怪獣のキャラクターが酒を造っている様子が載っている。担当者は「味はすっきりとした淡麗辛口で料理によく合う」と話す。

ウルトラマンのキャラクターを使った日本酒や梅酒を販売する人気酒造の佐藤隆氏

 始めたきっかけは東日本大震災。本社のある二本松市が故・円谷英二氏の故郷(福島県須賀川市)にほど近いことから、被災した子どもを支援する「ウルトラマン基金」に協力することになった。梅酒や柚子(ゆず)酒、芋焼酎、麦焼酎も展開。シリーズ累計3万本を売り上げた。購買層はファンに限らず、特に「ダダの梅酒」は女性に人気という。全国のウルトラマンショップと各種イベントで販売している。今後もスパークリング日本酒など、新商品を検討している。

 ウルトラマンのキャラクターが描かれた食べるラー油「ウルトラー油」が人気だ。2015年10月の発売から半年で3000個を売り上げている。モロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を挟んで話し合いをする名場面をラベルに使っている。「にんにくたっぷりの『ウルトラー油』で宇宙の侵略者に備えてエネルギーを蓄えよう!」とのコピーもユニークだ。製造する「コンストラクト・モーメント」(仙台市)の中村圭祐社長は「子どものころにビデオで何回も見ていた」というほどの大ファン。特に「ウルトラセブンは大人になってからみても面白い」と話す。

「ウルトラー油」。モロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を挟んで話し合う名場面がラベルに

 「ウルトラー油」は食べるラー油「なかむラー油」がベース。ニンニクとネギがたっぷりの油につかっている手づくりの食べるラー油。ごはんにのせてもお酒のおつまみとしてもいろいろ使えるのが魅力の万能調味料具はシンプルなのに味はなかなか複雑で、辛いけどおいしくやみつきになるという。「第2回新東北みやげコンテスト」食品部門で、優秀賞を受賞した。1個777円(税込み)だ。この商品も「ウルトラマン基金」に協力している。

 JR東日本東京支社は今年1月12日から2月26日まで「ウルトラマンスタンプラリー」を実施した。スタンプの設置場所には週末ともなると長蛇の列。家族連れに混じって目立ったのが中高年の人々だ。同社によると、全駅制覇したのは約2万3500人。

 スタンプを10個集めた人が指定の店でSuicaを使って500円以上買い物をするとプレゼントするオリジナルピンバッジも大人気。第1弾から5弾まで10日間ずつ、各種先着1万人にプレゼントした。1月12日に配布が始まった第1弾は16日に終了。第2弾から第5弾までは配布開始の日に終了したという。

 ■企業タイアップは3割増

 円谷プロダクション(東京・渋谷)によると年間2500件以上のライセンス商品が出ているという。JR東日本東京支社のような企業とのタイアップは2015年度に40件。前の年度に比べ30%以上増えているという。

ウルトラ怪獣たちが主役の居酒屋「怪獣酒場」も人気だ

 2014年3月から川崎市に期間限定でオープンしたウルトラ怪獣をテーマとした居酒屋「怪獣酒場」。15年3月31日に一旦閉店したが、4月15日から「帰ってきた怪獣酒場」としてリニューアルオープン、2016年3月15日には「怪獣酒場」に再改名した。

2015年4月25日に大阪市にも「元祖怪獣酒場」がオープンしている。ヒーローや地球防衛隊の人は入ることができない。キャラクターを売り物にしているが、料理も手抜きがなくおいしいという。

 店内の装飾品も1点モノだ。当初、来店客のメーンは30~40代の男性と考えていたが、現在、男女比は5対5。「ウルトラマンに詳しくない人の常連客も増えている」と円谷プロの若杉利幸ライブエンタテインメント事業部マネージャーは話す。

円谷プロダクションの入り口。ウルトラマンのキャラクターたちが迎えてくれる

 50年たっても衰えない人気の秘密はなにか。円谷プロの藤田浩IPプロデュース本部ビジネスプロデューサーに聴いた。「やはり3世代に愛されているのが大きい。1966年の放映開始からリアルタイムで見てきた人は50~60歳代のおじいちゃん世代、その子どもたちも、もうパパ世代を迎えている。今の子供も新しいウルトラマンに夢中だ」。最新作「ウルトラマンX」でもピンチの際に昔のウルトラマンたちが助けに来る。50年前に活躍していたウルトラマンは今も「現役のヒーロー」なのだ。子供からおじいちゃん世代まで物語の世界観や認識が一致しているのが強みだ。

 日本製のキャラクターというのも大きい。東京五輪を控え、福井県鯖江市の眼鏡フレームや岡山県倉敷市のジーンズ、石川県の九谷焼といった「メードインジャパン」のタイアップ商品群も増えている。日本製のキャラクターとして海外にアピールする。

 目も肥え、お金もある大人世代を中心とする3世代をがっちりとつかんでいる。これがキャラクタービジネスを展開していくうえでの強みだ。円谷プロ側からも積極的に仕掛けている。新ブランドの「A MAN of ULTRA」。日常の世界にカッコいい「ウルトラな男」を創り出すというコンセプトだ。商品構成はアパレル、雑貨、アクセサリー、フードなど生活全般を網羅する。

 企業にとっても広告やキャンペーンに使うメリットは大きい。スキャンダルなどのリスクがある、タレントに比べ「安心・安全」だ。子供も大人も娯楽もビジネスもなんでもこなすウルトラマン。まさに永遠に無敵のヒーローだ。

 ■愛される理由は作品の質の高さ 評論家・宇野常寛氏

 ウルトラマンの尽きない魅力について、自身もウルトラマンを愛する評論家の宇野常寛氏に聞いた。

 「ウルトラマン」シリーズが長く愛される理由は大きく分けて二つあると思います。一つは何と言ってもその作品としての質の高さが挙げられます。特に第1期と言われる「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」には、児童向けの作品だからこそ本物を届けたいというスタッフの熱意のもと、テレビシリーズの限界を超えた労力と予算を投じた大作級の特撮作品から、戦争や科学文明をテーマにしたハードな文芸作品までバラエティーに富んだ傑作が目白押しです。

宇野常寛氏。評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学兼任講師。ラジオのナビゲーターやテレビの情報番組のコメンテーターなど、その活動は多岐に渡る

 初期「ウルトラ」シリーズで大人になった体験を持つ大人が現役世代には大変多いです。もう一つの理由は、こうした傑作群を支えたキャラクター、特に怪獣たちの存在です。本来悪役のウルトラ怪獣ですが、どこか愛らしく、親しみやすいキャラクターがやはり初期作品には数多く登場します。これか怪獣キャラクターが長く支持を受けているのがウルトラシリーズの特徴です。「ポケットモンスター」の着想が「ウルトラセブン」のカプセル怪獣にあることは有名ですが、決して恐怖の対象にとどまらない、日本的なモンスターのイメージを決定付けたのがウルトラ怪獣なのだと思います。

(村野孝直)

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