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自分のキャリアは自分でプランニングする時代。しかし、自分一人では経験・スキルを的確に評価できず、可能性を狭めてしまうこともあります。そこで、転職マーケットを知るプロであるエージェントを「パートナー」としてそばに置くことをお勧めします。エージェントをどう活用すればいいか、付き合うエージェントをどう選ぶかをお伝えします。

キャリアの「棚卸し」は、客観的視点を持つプロと一緒に

大手企業に在籍していても「一生安泰」ではないことは、皆さんすでにご承知のことでしょう。今の時代は、自分のキャリアを会社任せにするのではなく自分でプランニングすることが重要。長く活躍するためには、早い段階で自分の強みを認識し、磨いていく必要があります。

そのためにも、定期的にキャリアの「棚卸し」をお勧めします。これまでのビジネス経験を細かく整理し、「強み」といえるものをピックアップする作業です。実は、自分の「強み」を正しく認識できていない人はたくさんいらっしゃいます。

自分の経験・スキルを「自分の周りでは皆が当たり前にこなしていること」と軽視していたりしますが、実はそれが転職市場では大きな価値を発揮することもあるのです。見過ごしていてはもったいない。

そこで、キャリアの棚卸しを行う際には、ぜひ転職エージェントのコンサルタントを活用してください。客観的な視点で、「その経験は転職市場でどの程度の価値を持つか」「他社や他業種からはどう評価されるか」といったアドバイスが受けられます。

また、「具体的に転職を検討しているが、複数の選択肢から選ぶことができない」という状況に陥ることもあるでしょう。「自分が本当にやりたいことは何なのか」「自分の能力を最大限生かせる場所はどこなのか」は、ビジネス経験豊かなビジネスパーソンでも迷うものなのです。

私は以前、夜11時という時間に転職相談の電話を受けたことがありました。その相手は世間に広く名を知られた経営者です。

「遅い時間にごめん。実はある会社からこんなオファーが来ているんだけど、受けるべきなんだろうか。どう思う?」

私は「これほどの実績を積んだ人でも、深夜に電話せずにいられないほど悩むんだ」と驚いたものです。

自分の中ではある程度の方向性を決めていても、最後の決断がしきれないという人もいらっしゃいます。人と話すことで頭の中が整理され、原点に立ち戻って判断ができたり、一歩前に踏み出すきっかけが得られたりすることもあるものです。そうした「壁打ち」相手として、コンサルタントの存在を役立てるといいでしょう。

長いビジネス人生の「パートナー」と位置付ける

コンサルタントに相談したからといって、転職しなければならないわけではありません。「かかりつけ医」を持つのと同様、「キャリアの相談相手」という位置づけで活用すればいいのです。

実際、リクルートエグゼクティブエージェントのコンサルタントに相談を寄せているビジネスパーソンの方々の中には、一度も転職しないまま3年も5年もお付き合いを続けている方もいらっしゃいます。彼らは、コンサルタントから継続して情報を得て、常に「今の自分の可能性」を考えながら、転職のベストタイミングを計っているのです。

また、コンサルタントのアドバイスを受け、今の会社に在籍したまま、今後の転職にプラスとなるスキルを身に付ける方もいらっしゃいます。

「今すぐ転職するには経験が足りない。今の会社でこういう実績を積んでから動きましょう」――コンサルタントからそんな提案をするケースもよくあるのです。

「自分のためを思ってくれているかどうか」を見極める

「転職エージェント」(「ヘッドハンティングファーム」や「エグゼクティブサーチファーム」という呼び名もありますが)は、世の中に多数存在します。その仕組みや活動方針はさまざま。どのエージェントと付き合うかは、慎重に見極めたいところです。

注意して観察したいのは、そのエージェントが「求人企業」か「転職希望者」のどちらをより向いているか。私が理想と考えるのは、企業と転職希望者のいずれに対しても「100%」というスタンスです。転職希望者にとっては人生がかかっていること、企業にとっては存続や成長、ひいては社会全体の成長がかかっていること。どちらも大切です。

しかし、中には100%企業側を向いているエージェントが存在するのも事実です。クライアント企業のニーズに応えるため、転職希望者の意向にかかわらず「あなたに合っている」と口説き落とし、クライアント企業に押し込もうとするエージェントも一部には見られます。

話をしてみて、そのエージェントが本当に自分のためを思って、自分のためになる情報提供やアドバイスをしてくれているかどうか、感じとってみてください。本当にあなたのためを思うエージェントであれば、むやみに転職を勧めず、「今の会社に残るメリット」も踏まえた提案をしてくれるはずです。

付き合う転職エージェントは1社に決める必要はありません。選択肢を1つでも多く持つためには、むしろ複数のエージェントと付き合うことをお勧めします。「よそとは付き合わないでくれ」というエージェントがいたとしたら、独自で持っている求人案件が少なく、自信がないことを疑ったほうがいいかもしれません。

いくつかのエージェントに登録した場合、複数のエージェントから同じ企業の求人案件を紹介されることもよくあります(「非公開求人」とうたっていても、その求人情報は複数のエージェントで共有されているケースが多いのです)。そのときは、それぞれのエージェントに「誰に会わせてもらえるか」と尋ねてみるといいでしょう。

同じ会社の求人案件でも「初回から社長に会っていただきます」というエージェント、「まず人事部長との面接です」というエージェントなど、対応が分かれることがあります。つまり、同じ求人案件を持っていても、エージェントによってどれだけ相手企業の懐に入り込んでいるか、どれだけ信頼を得ているかのレベルが異なるということ。それを探ってみてください。

単なる「情報提供者」ではなく「人生の応援者」になってくれる。そんなエージェントと出会えるよう、動いてみてはいかがでしょうか。

 「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は6月3日の予定です。
 連載は3人が交代で担当します。
 *黒田真行 ミドル世代専門転職コンサルタント
 *森本千賀子 エグゼクティブ専門の転職エージェント
 *波戸内啓介 リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長
波戸内啓介(はとうち・けいすけ)
株式会社リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長
1989年リクルート入社。営業部門、企画部門責任者を経て、リクルートHRマーケティング関西など、リクルートグループの代表取締役社長を歴任。2011年リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長に就任。
 株式会社リクルートエグゼクティブエージェント(http://www.recruit-ex.co.jp/)

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