上田まりえが日テレを退社、タレント宣言をした理由

何より日本テレビが大好きなので、局アナ時代は夢のような時間で、いい思い出ばかりです。マツコ・デラックスさんがほめてくださったと聞いたときには、戸惑いもありましたがうれしかったです。改めてアナウンサーの仕事に向き合うきっかけを、マツコさんからいただいたと思っています。

3年くらい前から悩んで退社を決めましたが、冒険するならとことん冒険して幅広くなんでも挑戦したいので、タレント転身という言い方にさせていただきました。やめる理由を説明して今までのお礼を言いたかったので、アナウンス部の全員一人ひとりに自分の口から伝えました。「何を考えてるんだ」と言われる覚悟でしたが、みなさんから「頑張って」と励ましの言葉をいただけてありがたかったです。

所属先に松竹芸能を選んだのは、人情にあふれていて、スタッフが厳しく怒ってもくれる会社だからです。あとは、出落ちの笑いを取れたらいいなと。バラエティー番組の収録などでも「松竹芸能所属の上田まりえです」と自己紹介すると笑いが起きるのが、うれしいですね（笑）。

私はアナウンサーとしては、華がなくて、不器用で時間がかかった人間なので、今、世間のみなさんに興味を持っていただいているのは「この人は何かをしたわけでもないのに、退社してこれから何をしたいんだろう？」という部分だと思います。

そういう何をするかが分からないところも含めて、楽しんでもらえる存在になりたいです。ナレーションの仕事が好きなので継続していきたいですし、バラエティー、声優、お芝居にも興味があります。4月から始まるTBSラジオの新番組『伊集院光とらじおと』火曜日アシスタントのお仕事もいただき、頑張りたいと思っています。見ていただく人、聴いていただく人に楽しんでもらえる人を目指して、スペシャリストになりたい。そのために、私は日本テレビをやめました。

（ライター　高倉文紀）

［日経エンタテインメント！ 2016年4月号の記事を再構成］