社会人デビュー! 初対面の攻略術
第一印象は2秒で決まる
新年度に入ると、職場や訪問先で初めて会う人とあいさつを交わすことが増える。後の関係は初対面の印象に左右されやすい。よい印象を与えるため初対面で気を付けるべきポイントは何か。会社員1000人に聞いた。
会話・しぐさでは口調、身だしなみではにおいや清潔感が上位となった。マナー研修を手掛ける新規開拓(東京・千代田)の朝倉千恵子社長は「印象を決めるのは相手。敬意を忘れずに」と話す。
パフォーマンス学の第一人者、日本大学芸術学部の佐藤綾子教授の実験によると、「頼れる」「まじめ」などの印象は、会ってから2秒でも10秒でも変わらなかった。第一印象は2秒で決まるわけだ。また、印象を決める要素はしぐさなど言葉以外が7割を占めた。
もっとも、注意点を知っておけば新社会人でも失敗は防げるはず。佐藤教授は「自分をどう見せたいか考え、しぐさや装いを確認しよう」と呼びかける。
身だしなみ
口臭、汗、香水のにおいを気にしている人は非常に多かった。「口臭がきついと、いい人であってもできれば話したくないと思ってしまう」(20代男性)。においが気になり「話が頭に入ってこない」(20代女性)という人も。気になる人は対策を考えたい。本人が気に入っている香水も「10人のうち1人でも嫌だと感じるなら避けるべき」(朝倉さん)。対面前にチェックしよう。
女性に気にする声が目立った。「無精ひげがひどい人は仕事も雑なのではと勘繰ってしまう」(20代女性)。「取引先の鼻毛が気になって話に集中できなかった」(30代女性)。まめなチェックを心がけたい。
「スーツにフケが落ちているだけでがっかり」(20代女性)。日ごろから心がけている人でも清潔感はわずかな隙で失われることがあるので注意したい。清潔感を欠く人は「仕事まで雑に感じられる」(30代男性)。よい関係をつくるためにも、対面前にチェックしよう。
「メークが濃いと派手な印象で、気が強そうで近寄りがたい」(30代女性)。職場にはふさわしくないと思われないよう気を付けたい。
初対面の相手は隅々までチェックしている。襟と袖は想像以上に目立つ場所。「汚れていると仕事もいい加減だろうと思う」(30代女性)
会話・しぐさ
いわゆる「ため口」を不快に思う人は多い。対等な立場でも「初対面からため口で話されると一緒に仕事をしたいと思わない」(30代女性)、「イラッとする」(30代男性)などの声が目立つ。「同世代と知ると突然ため口になり引いた」(40代男性)という人も。
佐藤さんは「ため口は態度や表情にも表れる」と注意を促す。社外の人に接するときは、丁寧な言葉遣いを心がけよう。
「でも」「しかし」など、話をいちいち否定されると会話は弾まない。「自分の考えを押し通そうとする人とは話したくない」(20代女性)。朝倉さんは「まずは相手の話を受けとめること。否定する場合は言い方を変えよう」と助言する。
相手にわかりやすい発声が鉄則。ぼそぼそ話すと相手は聞き取りにくく「適当に相づちを打って話を終わらせたくなる」(40代女性)。「聞き返すのは嫌なもの。また話をしたいと思ってもらえるよう心がけたい」(美月あきこさん)
「自慢話が多い人は人の話を聞かない」(40代男性)。相手にとって苦痛だということを自覚したい。「自分に自信がないことの裏返し」(美月さん)との指摘も。自分の価値を下げることにもなる。
「初対面で笑顔がない人とはその後もうまくコミュニケーションがとれない」(30代女性)。笑顔は相手との心の距離を縮めるもの。第一印象を決定づけるだけに「男性は特に笑顔を意識して」(美月さん)。
「貧乏揺すりをされると、せかされているのか、つまらないのかなどと考えてしまう」(20代女性)。落ち着きがないとみられがちなうえ、「気になって話の内容が頭に入らなかった」(20代女性)との声も。
「目を見ない相手は、警戒しているのか嫌いなのかと感じてしまい、それ以降も付き合いたいとは思えない」(20代女性)。相手に信用してもらうため、目を見て話すのが基本だ。
初対面は相手の人となりを知るための場でもある。相手にとっても「話を途中で遮られるとストレスがたまる」(40代男性)。会話を円滑にするには話を最後まで聞くのが基本。「相手を尊重した話し方を心がけよう」(朝倉さん)
「早口で一方的に話す人には共感できない」(40代男性)。「会話はキャッチボール」(美月さん)と心に銘じよう。
話しているときにスマートフォン(スマホ)を見るのは失礼。時計代わりの利用でも気を付けよう。
先輩もやっちゃった! 失敗談に学ぼう
・誰にも会わない予定でカジュアルな格好で出社したら、急に取引先に行くことに。恥ずかしかった(20代女性)
・名刺交換であわてて他人の名刺を渡してしまった(20代女性)
・マナーモードにするのを忘れ、着信音のアニメの曲が鳴り、気まずかった(50代男性)
・東南アジアでの会議で、現地の人と思い英語で自己紹介したら日本人だった(30代男性)
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表の見方 数字は延べ回答者数
調査の方法 職場や訪問先で初めて会った人の気になる点について、専門家の助言を基に、しぐさ36項目、身だしなみ27項目をリストアップ。3月中旬にインターネット調査会社のマクロミルを通じて、その後の関係に悪影響を与えた項目をそれぞれ5つまで選んでもらった。回答者は全国の20~50代の会社員・公務員の男女で、有効回答数は1030。専門家は朝倉千恵子・新規開拓(東京・千代田)社長、佐藤綾子・日本大学芸術学部教授、美月あきこ・ヒューマネックス(東京・港)社長
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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