検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

がん検診のメリットは「絶対値」で考えよう

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
「5年生存率」「検査陽性」「基準値」「平均余命」「リスク」……。皆さんは、ニュースで見かける健康・医療関連の数字の意味を、正しく理解していますか? 病気にまつわる「数字」について

今回は、受ける人が増えているというがん検診について。受診率を高める取り組みが各地で盛んになっていますが、検診のメリットとデメリットに関する理解が進んでいるとは限りません。たとえば、リスクに関する研究の第一人者であるゲルト・ギーゲレンツァー氏は「有益性が強調されすぎていて、害は軽視されている」と最近の論説で指摘しています。(BMJ. 2016; 352: h6967.)。ギーゲレンツァー氏は、一般向けの本も書いています。2015年、日本語訳が出版された『賢く決めるリスク思考』に、彼自身が携わった興味深い調査結果が載っていました(J Natl Cancer Inst. 2009; 101: 1216-20.)。

まず、改めて乳がん検診(マンモグラフィー)のメリットを確認しておきましょう。複数のランダム化比較試験のデータ(対象は40~74歳の女性、計約25万人)をまとめたところ、検診を受けた人では、1000人当たり3.9人が乳がんで死亡、受けなかった人では、5.0人が乳がんで死亡していました。この数値からマンモグラフィーのメリット(乳がんによる死亡を減らす)の大きさを絶対値で表すと(絶対リスク減少)、「1000人当たり約1人(5.0-3.9=1.1)」ということになります(Ann Intern Med. 2002; 137: 347-60.)。その後の研究で、メリットはさらに小さいことが指摘されています(Cochrane Database Syst Rev. 2013;6:CD001877.)。「えっ、そんなにわずかなの?」と思った人もいるのではないでしょうか。

ほとんどの市民がマンモグラフィーを過大評価

ギーゲレンツァー氏らの研究グループは、ヨーロッパの9カ国(ドイツ、フランス、オーストリア、オランダ、イタリア、イギリス、スペイン、ポーランド、ロシア)の市民、計1万人以上を対象にインタビューを行いました。ちなみに、これらの国々でマンモグラフィーを受けたことのある女性の割合は以下の通りです。

ヨーロッパ9カ国でマンモグラフィーを受けたことのある女性の割合
マンモ
グラフィー
経験者
(%)
ドイツフランスオーストリアオランダイタリアイギリススペインポーランドロシア
577876856675524719

インタビューでは、「マンモグラフィーにより、乳がんで亡くなる人が、1000人中何人減ると思いますか」と尋ね、複数の選択肢(減らない、1人、10人、50人、100人、200人、分からない)の中から選んでもらいました。その結果が以下です。

「1000人中1人」と正しく推定できた人の割合は、ドイツ0.8%、ポーランド0.8%、フランス1.3%、イタリア1.3%、オランダ1.4%、などと総じて少なく、ほとんどの人がメリットを過大評価していました。

しかも、イギリスでは26.9%、フランスでは23.7%もの人が、「1000人中200人」がメリットを受けると誤解していました。ギーゲレンツァー氏はこの点について、1000人につき5人から約4人に減ったことを「死亡率の20%削減」と相対的に理解していた(相対リスク減少)からだろうと解釈しています。「20%」という数値が印象に残っているので、1000人×0.2(20%)=200人がメリットを受けると勘違いしたのではないかと述べているのですが、ありそうな解釈です。

情報源の種類と正しい理解は「無関係」

この調査では同時に、市民が健康に関してよく利用する情報源についても尋ねていました。その結果が以下です(選択肢の一部を抜粋しています)。

興味深いことに、市民がよく利用する情報源と、マンモグラフィーのメリットについての正確な理解とはほとんど関連がなく、むしろ過大評価につながっていました。たとえばドイツやフランスでは、医療パンフレットの使用と過大評価との間に関連性が認められました。正確な理解との間に関連が見られたのは、消費者カウンセリング(オランダ、イタリア)、患者カウンセリング(イタリア)、自助グループ(イタリア)だけだったのです。インターネットの利用が比較的多い国(フランス、オランダ、イギリス)で、マンモグラフィーを過大評価していた人が多かったというのも興味深いです。私たちは知らず知らずのうちに、インターネットの情報に踊らされている可能性があるのではないでしょうか。

家庭医や薬剤師といった医療の専門家からの情報が、市民の正しい理解につながっていないというのは残念です。ギーゲレンツァー氏はその理由の一つに、相対リスク減少(乳がんによる死亡が20%減少)を多用することを挙げ、警鐘を鳴らしています。

相対リスク減少ではなく、絶対リスク減少(1000人中1人が乳がんによる死亡を免れる)を用いることは、メリットとデメリットを正確に理解することにつながります。さらには、そうした統計の基になっている一人ひとりの患者をより意識することにつながるのではないかと思います。

Profile
北澤 京子(きたざわ きょうこ)
著書に『患者のための医療情報収集ガイド』(ちくま新書)、訳書に『病気の「数字」のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問』(日経BP社)など。(撮影:直江竜也)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_