MINIの新オープンカー、屋根に英国旗も選べる
ビー・エム・ダブリューは、最新世代MINIのオープンモデル「MINIコンバーチブル」を2016年3月2日、つまり"ミニの日"に発売した。グレード構成は、スポーティーなモデルの「クーパー」、装備が充実しているスポーツモデルの「クーパーS」、そしてトータルの性能を向上させたハイパフォーマンスモデルの「ジョン・クーパー・ワークス」の3タイプ。価格は324万~483万円となる。納車時期はクーパー、クーパーSは3月末から、ジョン・クーパー・ワークスのみ5月末からを予定している。
電動ソフトトップを新開発し開閉時間は18秒に
2015年秋に開催された「東京モーターショー2015」で世界初公開されたMINIコンバーチブルは、2014年4月に日本市場に投入された3代目となるMINIハッチバックをベースにしたソフトトップ付きのオープンカーだ。MINIらしいスタイルはそのまま生かされている。
MINIコンバーチブルは伝統的に電動ソフトトップを採用してきているが、新型のソフトトップは新開発のもので、開閉時間はわずか18秒。時速30kmまでなら走行中の開閉もできるという。フロントシート上部だけ幌を開く「サンルーフ機能」は継承したまま、よりオープンとしての利便性を追求している。また万が一、横転の危険を検知すると、高強度のアルミニウム製のフレームが伸長し、強化ウインドーシールドパネルとともに、後席の乗員の生存空間を確保する「ロールオーバープロテクションシステム」が装備されている。これもインテリアと一体感のあるデザインになり、オープン状態のスタイルがより美しくなった。
トランクは先代より40L拡大
エクステリアは基本的にハッチバックのシルエットを受け継ぐが、トランクは専用のふたを備えたデザインだ。トランクの開口部を広げるために、幌の後方端部が持ち上がる新機能が加えられ、使い勝手も向上。トランク容量はオープン状態で160L、クローズ状態で215Lを確保するなど、先代と比べ40Lも拡大されている。
足元スペースも広がった
インテリアは、まさに新世代のMINIハッチバックそのものであり、先進の安全装備を含め最新世代のMINIが持つアイテムを採用している。また、全車にLEDヘッドライトやオープンモード付きフルオートエアコン、クロームパーツ、パークディスタンスコントロールなどを標準化するなど装備が充実している。また後席スペースの居住性も改善されており、先代に比べ横方向で約30mm、足元スペースは約40mm広げられているのも特徴だ。
トランスミッションは6速ATのみ
パワートレインは、136ps/220Nm仕様の1.5L直列3気筒ターボと192ps/280Nmの2.0L直列4気筒ターボを用意。1.5Lエンジンがクーパーに、2.0LエンジンがクーパーSに搭載され、トランスミッションはどちらも6速ATのみとなる。また高性能モデルであるジョン・クーパー・ワークスは、231ps/320Nmを発揮する2.0L 4気筒ターボエンジンに加え、専用の内外装デザイン、エレクトロニックディファレンシャルロックコントロール、スポーツサスペンションなどが標準となる。こちらもトランスミッションは、6速ATのみだ。
新しいデザインオプションが登場
発表会では、新たなデザインオプションである「MINI Yoursデザインプログラム」の採用も併せて発表された。これはMINIをカスタマイズする新しいオプションプログラムだ。
パッケージ化されたオプションが用意されているほか、プログラムのメニューから好きなものを選択し、装着することもできるという。このプログラムにより、ユニオンジャック柄を織り込んだMINIコンバーチブル用のソフトトップなどの個性的なアイテムも登場している。
プログラムのメニューは、レザーシート、ウッドパネル、スポーツステアリングホイール、アロホイールなど多岐にわたっており、今後は他のMINIへの展開も予定されているという。
MINIの日本での販売は好調で、6年連続で成長している。2015年はMINIの全ラインアップで2万1083台を販売。前年比約20%増を記録しており、これは世界の主な市場で最も高い伸び率だという。
近年の好調についてMINIディビジョン本部長であるフランソワ・ロカ氏は、「商品の充実が大きい」と分析する。
2014年のMINI3ドアハッチバックのデビューを皮切りに、目新しいモデルの投入が続いている。2014年の秋には後席ドアを与えた5ドアハッチバックの「MINI 5ドア」も発売。さらに2015年中旬には、日本初となるMINIのクリーンディーゼルモデルが「ペースマン」や「クロスオーバー」に設定されており、どれもが販売増に貢献しているとロカ氏は話す。
2015年末に発売された新型MINIクラブマンはでサイズアップが図られ、車格はひとつクラス上になり、MINIの最上級モデルとして価格も上がったのだが、こちらも好調という。これもBMWが送り出した新生MINIが、三世代15年の歴史の中で確実に新たなファン層を生み出している証拠といえるだろう。
日本でのオープンカーの需要は、MINI全体では10%には及ばず、数%規模に留まると見られるが、ライバルとなるプレミアムコンパクトカーにオープンカーが存在しないだけに、ニッチでありながら、マーケットを独占できるメリットもある。またMINIという遊び心を持つブランドのイメージ作りにも大きく貢献しているだろう。MINIのオープンモデルが導入される理由はこのあたりにあるようだ。
(文・写真 大音安弘)
[日経トレンディネット 2016年3月7日付の記事を再構成]
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