「僕は結婚に向いてない。ずっとフラフラしていたい」
キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論
こんにちは。ライターの大宮です。どんな原稿でも書き出しはいつも低調なので、本題とはあまり関係ない話を少しさせてください(しかもちょっと宣伝が入っています)。
僕は恋愛や結婚についてのインタビュー取材をライフワークにしているので、独身・既婚を問わず様々な人から「いい人がいたら紹介して。飲み会をやろう」と頼まれることが少なくありません。みんな恋したいんですよね。その気持ちはわかります。
でも、どんなに親しい人であっても「この人にとって本当の意味で『いい人』は誰なのか」を考えて引き合わせるのは至難の業です。頭で考えている「理想のタイプ」と、実際に付き合ってみて「相性がいいと感じる人」は違ったりするものですからね。特に、知らず知らずのうちに相手に求めるものが高くなっている30代後半以降の人に「紹介」するのは大変です。
それでも「お見合いおじさん」として知り合い同士を引き合わせてみることもありますが、今のところ20戦20敗ぐらいの惨憺(さんたん)たる結果です。少なくとも僕にはマッチングの能力もセンスもないと認めざるを得ません。
そんな中にあって、活路を見出しているのはほぼ毎月開催している「スナック大宮」という読者交流イベントです。出会いパーティーではなく、僕主催の僕ファンクラブ飲み会、です。ただし、僕の読者は30代~40代が多く、スナック大宮には見知らぬ人ばかりの飲み会に参加するほどの社交性や遊び心がある人たちが集うので、男女の出会いも当然あります。
通算50回開催したスナック大宮。結婚したカップルはまだありませんが、お付き合いに発展した男女は何組か把握しています。このような「自然な出会い」であれば、お互いに自由かつ気楽に恋愛相手を選ぶことができますし、僕としても組み合わせに頭をひねる必要がありません。場を提供して、たまにフォローしてあげるだけです。その代わり、好きになった相手が既婚者だったり遊び人(あまりに変な人は出禁にしています)だったりしても自己責任ですけどね。
さて、いい加減に本題に入ります。広告制作会社できっちり働く山中弘子さん(仮名、38歳)があるパーティーで知り合った既婚者の浩一郎さん(仮名、40歳)からスマートなアプローチをされて2カ月後には付き合っていたという話でした(前回記事はこちら)。ちなみにこのパーティーは、ある商品の発表会でした。出会いが目的ではなく、しかも誰でも参加できる会合ではないため、参加者同士が安心感や親密さを持ちやすかったのでしょう。
自分の思いに素直すぎる彼
「彫りが深い顔立ちがまず好みでした。仕事をバリバリやっているし、読書などの趣味もすごく合うし、怒ったりしない穏やかな人です。奥さんとはすぐに別居しましたが、『別れなくていいですよ』と私は言っていました。彼との結婚を考えていなかったからです」
弘子さん、浩一郎さんのことが本当に好きだったんですね……。彼との幸せな日々を他人に否定されたくはありませんよね。いや、何か言われたとしても、弘子さんと浩一郎さんの思い出が消えてしまうことはないでしょう。
やがて別れが訪れます。きっかけは弘子さんと浩一郎さんが一緒に住みはじめたことでした。
「それからは自然と結婚の話になりました。最初は彼も乗り気だったんです。でも、すぐに『やっぱり僕は結婚に向いていない。ずっとフラフラしていたい。前の妻とは子どもがいたけれど、本当は子どもも欲しくなかった』と言われてしまいました」
決定的だったのは、浩一郎さんのさらなる浮気です。あるとき国内旅行に誘われ、仕事が忙しい時期だったので断ると、浩一郎さんは別の女性と出かけてしまったのです。しかも、その事実を弘子さんに隠そうともせず、「彼女」の写真まで見せてくれました。この人、どんな神経をしているんだろう……。
結局、浩一郎さんはその女性に押し切られるようにして別居中の妻との離婚届を出し、再婚をしたのでした。中継ぎ投手のような役割になってしまった弘子さんの立場がありませんよね。
「人の気持ちは変えられないと思っているので怒りは湧いてきませんでした。むしろ、自分の思いや快楽に素直に従って迷いなく行動できる彼はすごいな、と感心します。自分が関わらなければ、ああいう人が世の中にいてもいいと思います」
弘子さん、あなたは浩一郎さんにどっぷり関わっています! もう少し現実感を持ちましょうよ。あれ? また説教臭くなってしまいましたね。僕も頭を冷やします。続きはまた来週。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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