日テレの人気番組 街中の一般人にスポット当て20年
「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」
日本テレビ系の「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」(水曜午後7時56分)は日本全国を様々な企画でスタッフが回り、各地で出会う人たちにスポットを当てていくバラエティー。1996年から放送が始まり、今年で20年目となる。すでに定着した番組でありながら、2014年に11.6%だった平均視聴率が15年は13.2%と好転し、15年のバラエティーの年間視聴率ランキングで5位に入った。
スタート時から番組作りに関わってきたチーフ・ディレクターの小澤龍太郎氏は、"一般の人が光る瞬間"を紹介するという基本コンセプトは変わっていないと語る。「企画で、普通の人たちみんなが取材対象になり得るのは強みだと思います。ネタ切れということがないので」
初回から続く代表企画が、司会の所ジョージが日本地図にダーツを投げて行き先を決める『ダーツの旅』だ。スタッフが様々な村や町を訪れて「今、何やっているんですか?」とインタビューする。
最初は、それでバラエティー的な何かが生まれるのかどうか、全く予想できなかったそうだが、「当時のテレビ界ではまだほとんど例がなかったハンディーカメラで撮影に行っていたので、みなさんテレビだって気が付かないんです。でも、カメラがあるからちょっと興奮している(笑)。ほどよい緊張のなかで地元や自分のことを話してもらったら、それが面白かった」。
『ダーツの旅』のような名物企画があるとはいえ、長く続けていれば視聴率が低迷する時期もある。数々の新コーナーがブレークスルーとなってきたなかで、最近の成功例が、14年から開始した『朝までハシゴの旅』だ。サラリーマンを中心に好評を得て、番組は再び勢いを取り戻した。
芸能人とスタッフの2人が金曜の夜に旗を持って指定された駅に行き、最終電車から翌日の始発まで周辺で飲み歩くというもの。偶然に出会った一般の人の輪のなかに入り、一緒に酒を飲んで話を聞くというハードルの高さはあるが、あえて変化を狙い、芸人ではないタレントをキャスティングしている。これまで、タレントのラブリや歌手のMay J.らが参加してきた。
「夜中だということと、お酒を飲んでいることもあり、タレントと一般の人の心理的な距離がすごく近くなるんです。飛び込みでタレント自ら行動してもらうことになるので、不安はありましたが、乾杯したあとはだんだん友達のような会話になっていく。新たな発見でした」。近年、各局で増加している"酒飲み企画"ブームのきっかけになったとも言える。
このコーナーでブレークしたのが、モデルの佐藤栞里だ。天真爛漫(らんまん)な振る舞いで、老若男女問わず打ち解け、良く飲み、涙もろい一面を見せる。コーナーの認知度が高まるごとに、佐藤の人気も上昇した。
「最近では、金曜の晩は"『ハシゴの旅』が来るかもしれない"と期待して待ってくれている方もいるようです(笑)」。『ハシゴの旅』の盛り上がりが、11年からサブMCを務めてきた関根麻里の産休の時期と重なり、それまでの貢献度から、バラエティー経験のまだ浅い佐藤を後任に抜てきした。
番組を長く続けるなかで感じる変化は、「最近の人たちはカメラのプレッシャーに全然負けない。以前は、よりはじけているところを選んで編集していましたが、今は"足りない"ということは全くないです」。
特に意識している視聴者層は、未来のある子どもや10代。これからも光る個性を探して、日本全国を回っていくとのことだ。
(「日経エンタテインメント!」3月号の記事を再構成。視聴率はビデオリサーチ関東地区調べ、平均視聴率は編集部調べ。敬称略、文・内藤悦子)
[日経MJ2016年3月18日付]
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