安価で軽快 入門向きなASUSスマートウォッチ
「ASUS ZenWatch 2」は四角いディスプレーを搭載するスマートウォッチ。側面にボタンのついたデザインだ。OSはAndroid(アンドロイド) Wearで、Androidスマートフォンと組み合わせて様々な通知機能やアプリ連携機能を利用できる。iOSでは一部の基本的な機能しか利用できないので、Android端末の利用者向けといえる。
本体サイズは1.63型ディスプレーを搭載する49mmモデルの「WI501Q」と、1.45型ディスプレーを搭載する38mmモデルの「WI502Q」の2種類。ストラップとの組み合わせによりそれぞれ3種類のパッケージがある。
基本スペックは共通で、主な違いはディスプレーサイズとバッテリー容量だ。価格も同じで、付属のベルトが本皮のモデルが実売価格2万9800円(税込み)。メタル製のモデルが3万6800円(税込み)となっている。例えばApple Watchは安いモデルでも4万2800円(税別)から、Huawei Watchは5万円前後からなので、大手メーカーのスマートウォッチとしては安い。
大きいが軽く、厚みもそれほどではない
本皮ベルトのものを大小2種類のサイズで試してみたが、小さい「WI502Q」でも大きく、一回り大きい「WI501Q」はかなり巨大に感じるサイズだった。
細い腕に似合うかどうかは別にして、装着感はなかなか軽快だった。本体のみの重さは「WI501Q」が約46g、「WI501Q」が約39gと軽めだ。10数gの皮ベルトを使うと長時間装着していても楽だった。重い腕時計はそれだけで腕が疲れてしまうし、スマートウォッチは活動量計としても使うので、身に着けていて気にならない軽さは重要だ。
平面サイズは大きいが厚みはそれほどでもなく、1.63型の「WI501Q」でも腕によくフィットする感触だった。本体裏側部分は樹脂製で、高級感には欠けるが汗でベタつきにくいのも好印象だった。IP67の防じん・防滴に対応しているが、これは他にも対応している機種が多い。
質感はまずまず、額縁部分は広い
本体側面にはボタンがついている。これは押すだけのボタンで、回して何かを操作することはできない。これを押すことでAndroid Wearのホーム画面(時計画面)に戻ったり、長押しで設定画面を表示したりできる。
本体はステンレス製だ。Apple Watchなどと触り比べると少々劣るが、価格相応の質感といったところだ。本皮ベルトが付属するのはいいところだ。一般の時計用ベルトが利用できるので、自分で好みのベルトを取り付けても面白いだろう。
ディスプレーは、ゴリラガラス3で保護されている。マルチタッチは2点。感度は良好で、表面が緩やかにカーブした曲面になっているため、スワイプなどのタッチ操作はやりやすかった。
気になったのは、ディスプレー周囲の黒い額縁部分が広いこと。そのため本体サイズに比べてディスプレーが小さく見えてしまう。黒い背景の時計を表示させている時はあまり違和感はないが、明るい配色の時計にすると気になってくる。
フェイスデザインのカスタマイズが面白い
ZenWatch Managerというアプリがあり、これでバッテリー残量などをチェックしたり、アプリやフェイスを管理したり、カスタマイズできる。
面白かったのはウォッチフェイスを細かくカスタマイズできることだ。アプリで基本となるフェイスを選び、好きな画像を背景にしたり、バッテリーメーターなどのパーツを配置したりできる。ほかの製品でもカスタマイズはできるが、ZenWatch Managerは操作が分かりやすい。
バッテリーの持ちはまずまず
スマートウォッチで気になるのはバッテリーの持ちだ。中には半日程度しか持たないようなものもある。頻繁に充電しなければならないのは時計としての機能を損なう。
ASUS ZenWatch 2は、スマートフォンから時々通知が来て画面でメールチェックなどをする程度なら、朝から晩まで使ってもまだ余裕があった。通知を使わずほぼ時計としてのみ使うと1日半以上利用できた。現在のスマートウォッチとしてはバッテリーの持ちは良好な方だ。
本体裏側の端子に付属のケーブルをマグネットで取り付けて充電する。約36分で50%ほど充電できる急速充電機能に対応するので、朝出かける前など時間がないときに重宝する。USBポートから充電でき、小型のACアダプターが付属する。充電用のクレードルなどは不要だ。
手ごろな価格のスマートウォッチ入門機
主なスペックは、CPUがSnapdragon400、メモリーは512MB、ストレージ容量は4GBでスマートウォッチとしては平均的だ。操作感はまずまずの軽さで、初期のAndroidWear搭載スマートウォッチに比べるとだいぶストレスなく利用できる印象だった。無線LANとBluetooth4.1に対応し、内蔵ストレージに音楽データを保存してBluetoothヘッドフォンで音楽を聴ける。
実用的なスペック、軽い装着感、駆動時間が長めで急速充電に対応するなどスマートウォッチとしての機能が一通りそろっている。その上、価格は大手メーカーの製品としては安い。
こうした情報機器はスペックの陳腐化が早く、すぐ新製品が登場してくるので、あまり高額な製品だと手を出しづらい。しかし3万円前後の価格なら試してみてもいい思う人は多いのではないだろうか。価格相応の質感で額縁が広いのは気になるが、スマートウォッチを試してみたいという人にはちょうどいい入門機だ。しかしやはり大きいので、自分の腕に似合うかどうかは実物を見て判断した方がいいだろう。
(IT・家電ジャーナリスト 湯浅英夫)
[日経トレンディネット2016年1月13日の記事を再構成]
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