MONO TRENDY

フード・フラッシュ

具が大きい!「肉系」ご当地レトルトカレー人気の秘密 ご当地レトルトカレー最前線

2016/3/16

レトルトカレーなのに巨大な肉が入っている「肉系」ご当地レトルトカレー(写真:ヤマシタチカコ 以下同)

 これまでに2000以上もの種類が発売され、「ご当地モノ」ブームの中心となっているレトルトカレー。地域の名産品を前面に押し出したものが次々に発売される中、近年は使用する食材や味に特にこだわる「プレミアム化」が進んでいる。中でも最近人気なのが、レトルトカレーなのに大きな肉が入っている「肉系」カレーだ。数百種類のレトルトカレーを取りそろえるお店「カレーランド」猪俣吉章さんの意見を参考にしつつ、注目の肉系カレー3つを紹介する。

 肉系カレーとは、猪俣さんによれば「じっくりと煮込まれ、スプーンでほぐれるやわらかさ、それでいてどれも驚くほど大きい」肉が入っているカレーのこと。「レトルトカレーと言えば具材が小ぶりだったり、ルーに溶けて原形をとどめていなかったりするものも多い中、封を開けてゴロゴロと肉が出てくるとそれだけで満足感があります」(猪俣さん)

 レトルトカレーの具材が小さくなってしまうのは、その製法に関係がある。

 レトルトカレーは調理した中身を詰めた後、レトルト釜で加圧加熱殺菌される。これにより保存料や添加物を使わずに常温で長期間の保存ができるようになるのだが、この時ルー全体に熱が通り過ぎてしまい、野菜が溶けたり、肉が縮んだりしてしまうのだ。しかし最近のレトルトカレーでは肉が縮んでしまうのを最小限に抑えるため、調理の段階ではあまり熱を加えずに加圧加熱殺菌の熱を利用して調理する場合もあるようだ。

 それでは、その具材の大きさに驚かされる肉系のご当地レトルトカレーを紹介していこう。

■ルーが少なく感じる肉量「黒樺牛ビーフカレー」

厚切りの牛肉が多く入っており、ルーが少なく感じられるほどの「黒樺牛ビーフカレー」(株式会社杉本本店KBC・熊本県・840円 以下、価格はすべて税込み)

 熊本県と宮崎県の県境に位置する熊本県の矢岳牧場で飼育された最高級黒毛和牛・黒樺(くろはな)牛を使ったビーフカレー。大きさ2~3cmほどの厚切りの牛肉がごろごろと入っている。ここまでの量の牛肉を使いながら800円台の価格が実現できるのは、「繁殖から肥育までを一貫して当社で行っているから」(杉本本店広報部)という。

 「『黒樺牛ビーフカレー』は黒樺牛を全国に広めたいという思いから、牛肉単体よりもカレーにしたほうが多くの人に手にとってもらえるのではと考え、当社初の加工食品として惜しみなく牛肉を使用して作りました」(杉本本店広報部)

 「とにかく肉の量が多いため、ルーが少ないと感じる方もいるほど。カレーランドでも1、2を争う人気商品です」(猪俣さん)

 外箱が膨らむほど、大きな肉が入っているものも多い。表面を触って肉の感触を確かめたりして、なるべく肉の多そうなものを買っていく人もいるという。

 牛肉はほどよく煮込まれていて、しっかりとした肉質と甘い脂肪部分が口の中でジューシーに溶け合う。公式ホームページには中辛と表記されているが、口当たりはまろやかで辛いのが苦手な人でも問題なく食べられそうだ。黒樺牛のテールスープを使用して煮込んでいるため、ルーにも牛肉のうまみが凝縮されていた。

■スイカ果汁で煮込んだ豪快牛タンカレー「Premium 厚切り牛タンカレー」

パウチから出てくる牛タンの大きさにとにかく驚かされた「Premium 厚切り牛タンカレー」(株式会社三水・宮城県・1080円)

「牛タンカレーは色々な団体が開発していますが、その中でも一番おすすめです」(猪俣さん)

 仙台名物の牛タンを豪快に使用した逸品。封を開けると厚さ1cm、全長10cmほどはありそうな牛タンが、赤みがかったルーとともに出てきた。インパクトのある大きさもさることながら、肉質にも注目したい。スプーンで切れるほどやわらかいが、弾力あるかみ応えも残っていた。具材はこの牛タン2枚のみだが、ルーの量もたっぷりだ。

 外箱に辛口と書かれている通り、ルーを口にするとスパイシーな香りが鼻に抜ける。19種を独自にブレンドしたスパイスが強めに効いているが、口の中がヒリヒリするような辛さではない。その秘密は、水を使わずスイカの果汁で煮込んでいること。直接スイカの味を感じることはないが、リンゴやトマトペーストと相まって甘さやさわやかな酸味が後味に残った。

■骨付き鶏肉がインパクト大「ひねキングカレー」

ルーはスープのようにさらさらしているが、味付けはしっかりしておりご飯と一緒に食べてちょうどいい「ひねキングカレー」(橋本商工会議所・和歌山県・648円)

 和歌山県橋本市産ひねどりの骨付きモモ肉を1本まるごと使用したカレー。ひねどりとは卵を生み終えた鶏のことで、通常の鶏よりも身がぎゅっと締まっているのが特徴だ。

 「内容量は300g。200g程度が主流のレトルトカレーの中ではかなりボリュームがある方。しかし、女性でも案外あっさり食べきる方が多いです」(猪俣さん)

 外箱の説明では肉質のかたさをうたっているが、他のカレーと同様にスプーンだけでほぐすことができる。製造工程で長時間煮込むことで、ちょうどいいやわらかさになっているようだ。

 ルーはスープのようにさらさらしていて、骨ごと煮込んだひねどりの味が全体に行き渡っている。スパイスはエスニック風味で、少し独特だった。

 また、パッケージにはサングラスをかけた橋本商工会議所のゆるキャラ「ひねキング」が。ゆるキャラとのコラボレーションなど、「ご当地レトルトカレーはパッケージも楽しみの一つ」と猪俣さんは話す。

 「ご当地レトルトカレーはカレーよりも地域をPRしたい気持ちが強いため、ただカレーを大きく掲載するだけではありません。中には茨城県の『水戸納豆カレー』のように、『萌(も)え系』のかわいいアニメキャラをパッケージに大きく使ったものも。パッケージの収集を楽しみにしている方もいます」(猪俣さん)

 以上3点の肉系ご当地カレーを紹介したが、味の個性が多彩なこともさることながら、写真で見る通りどれも肉が大きくインパクトがある。肉系カレーは、プレミアム化の進むご当地レトルトカレーの中でも、その高級感がもっともわかりやすいジャンルだといえるだろう。

◇   ◇   ◇

 肉系カレーに続いて、次回は海鮮のうまみが効く「魚介カレー」を紹介する。

※記事内の価格はカレーランドで調査。

(取材・文 小沼理<かみゆ>)

MONO TRENDY新着記事