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人工知能がプロに5勝 グーグル囲碁ソフトの実力は?

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NIKKEI STYLE

コンピューターが苦手なゲームとされてきた囲碁。これまで人間のプロ棋士と戦うには、大きなハンディが必要だった。ところが突然、米グーグルが開発した人工知能(AI)「Alpha Go(アルファ碁)」が、欧州王者のプロ棋士にハンディなしで5戦5勝し、囲碁界に衝撃が走った。3月には世界最高の棋士のひとり、韓国の李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段と戦うことが決まっている。そこで、英科学雑誌「ネイチャー」に掲載されたアルファ碁の棋譜をもとに、その実力を探った。

グーグルのアルファ碁がこれまでの囲碁ソフトと異なるのは、「ディープラーニング(深層学習)」の手法を取り入れたことだ。人間の脳の働きをまねた情報処理方法で、大量のデータからさまざまな特徴を、コンピューター自身が見つけだしていく。アルファ碁には、碁盤に並んだ碁石の形の特徴を学習させ、次にどこに打てば良いのかを判断させるようにした。

まず開発に協力したプロ棋士による3000万手を「模範解答」として入力。すると、着手の57%を正確に再現できるようになったという。さらにコンピューター同士で対局を繰り返し、勝てる碁形や負ける碁形を学んでいった。開発したデミス・ハサビス氏は「特徴を一般化して認識するので、まったく同じ碁石の配置でなくても次に打つべきポイントがわかる。練習を重ね、いわゆる『創造性のある手』も打てるようになってきた」と胸を張る。

アルファ碁と昨年10月に対局した欧州王者のファン・フイ二段は、出身地の中国でプロになったあと、欧州で指導や普及に尽力している。国際戦には欧州代表で出場しており、対局経験のある日本の棋士は「そう簡単に勝てる相手ではない」と実力を認める棋士だ。

そのファン・フイ二段がアルファ碁に5戦全敗した棋譜を、コンピューター囲碁に詳しいプロ棋士の金秀俊八段に分析してもらった。「5局を通じて、アルファ碁はアマ高段者が犯すような単純ミスをする一方で、トッププロもうなる厳しい手を打っています」。強いのか弱いのか判断しづらいという。黒番(先手)、白番(後手)のいずれでも、流行形とはいえない「2連星」という布石で始めたことにも驚いたという。

個別対局をみていくと、第1局はアルファ碁が白番だった。「初めての対局で、ファン・フイ二段は様子見をしたのでしょう」。人間側が手堅く破綻しないように打った結果、譲歩を重ねて負けてしまった。5局で唯一、途中で投了せずに最後まで争って2目半差だったので僅差にみえるが、コンピューターが序盤からリードし、危なげなく勝ちきったという。

金八段が注目したのは第2局(図1)だ。アルファ碁が黒番で、互いに最善の手順を打つとできる決まった形である「定石」を序盤で間違えた。右上が「なだれ定石」という有名な形で、アルファ碁が黒7から仕掛けた。ここで右辺の黒31が手順ミス。この手順で白32と交換したのは明らかな黒の失敗だった。この2手があるので、黒がAの地点に打っても、白は右上隅を手抜きできるようになった。続いて黒41も悪く、黒49まで上辺で低い姿勢を取らされる羽目になる。「アマレベルの失敗で、定石の意味を理解していないと言われても仕方ない」と金八段。

アルファ碁は形勢を損ねた。しかし、人間側も上辺で白50と切ったのが悪手で、白52の地点に打つべきだったという。ファン・フイ二段は間違いに気づいて動揺したのだろうか。白54が欲張りすぎた無理な手だった。「黒55、57の出ギリのあと、黒63、65が鮮やかな最強手です。アルファ碁は相手の失着をとがめる能力がきわめて高い」。左上隅の白が壊滅状態に陥ってここで勝負がつき、その後も打ち続けたもののファン・フイ二段が投了に追い込まれた。

第3局はアルファ碁が再び白番。序盤から黒に大きな確定地を与えながら、代償として勢力を築いて中盤以降の勝負にかけた。「碁盤全体を視野に収めていて『大局観』を身につけたと言えるのではないでしょうか」と金八段も評価する。盤上の碁石のバランスをとる「形の急所」とよばれる地点への着手も光った。画像認識技術を使わなかった従来の囲碁ソフトが弱点としていたところでもある。この対局もファン・フイ二段の無理気味の手をうまくとがめて勝負を決した。

第4局はアルファ碁の黒番(図2)。序盤から人間側の欲張った手をとがめ、左辺白32には黒33と全体の白石を攻めるような手がうまい。形勢が黒に傾いたところで、「ここでもアマ級のミスが出ています」と金八段。上辺の黒69が失着だ。ここでは黒A、白B、黒C、白D、黒E、白70、黒Fとなれば、中央の白の大石は、上辺の右方と連絡できず、黒に取られるところだった。しかし、実際に着手した黒69は、白70を許して連絡をお手伝い。勝負を決することができたのに、形勢を押し戻されてしまった。接戦になったあとは、再び厳しい手を次々と繰り出して圧勝している。

第5局は白番で、アルファ碁に悪手があったが人間側がうまくとがめられない。終盤にはコンピューターの弱点とされてきた「コウ」が、隅の生き死にの絡む形で発生したものの無難に処理して勝ちきった。

アルファ碁が次に対戦する韓国の李九段は、国際棋戦を何度も制している世界トップ級の棋士だ。3月9日から15日までの1週間にソウル市内のホテルで5局を打つ。コミは7目半の中国ルール、持ち時間は各2時間。時間は使い切っても1手1分以内に打てばよい。賞金100万ドルで、アルファ碁が勝てば寄付される。

これまでの囲碁ソフトと比べると、アルファ碁が別次元の強さになったことは間違いない。しかし金八段は「ファン・フイさんは対局時、調子が悪かったのでしょう。大きなミスを李九段が見逃すはずはなく、勝つのは難しい」と展望する。ただ、アルファ碁はレベルアップに向け、急速なスピードで今も学習を続けている。日本囲碁界の第一人者である井山裕太王座(棋聖、名人、本因坊、天元、碁聖)は「すでにどちらが人間かわからない打ちぶりになった。さらに強くなっているとすると、李九段でさえ全勝できるかどうかはわからない」と話す。

(文化部 山川公生)

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