劇団スカッシュ、快走中! 動画投稿で舞台に集客
ユーチューブに投稿した短編ドラマ動画で注目を集め、舞台の集客につなげる「劇団スカッシュ」が快走中だ。
昨年末には舞台「秒速ドリーマー」に合わせて同タイトルの短編ドラマ動画を投稿。ただの予告編ではなく、動画だけでもストーリーが成立しているのが特徴だ。公演は東京都内の小劇場でのべ2200席を満席にして成功。舞台と直接関係のない動画のみの作品も人気で、投稿動画の総再生回数はこれまでに1億2500万回を超えている。
劇団スカッシュは脚本、演出、俳優をつとめる大塚竜也を中心に30代の男性4人が現在のメンバー。2002年に結成し、数十席規模の小劇場でダンスや殺陣を取り入れたエンターテインメント色の強い舞台を上演してきた。ゲスト出演者の集客力に頼って公演を続けていたが、自らの力で劇団の知名度をアップさせようと08年に始めたのが動画サイトへの投稿だった。
コントや旅行リポートを公開し始めたものの、再生回数は2、3桁どまり。「動画づくりには劇団内で反対意見もあったが、集客につながる可能性にかけ続けた」という大塚。グーグルの動画制作講座に参加したり、撮影や編集の本格的な機材をそろえたりしながらコントだけでなく短編ドラマづくりを始めた。
最初のヒットは13年に公開した動画のみの短編ドラマ「隙間男」だ。CGを駆使し、人をかむことで増殖する隙間男から逃げるドタバタ劇。3分の動画を21本つくり、視聴者が次の展開を選択しながら見るゲーム的な仕組みが受けた。計700万以上の再生回数を記録している。さらに昨年公開した続編「隙間男2」は公開1週間で1500万回再生を突破。ユーチューブの国内最速記録となった。
今年も動画とリンクした舞台公演のほか、動画のみのドラマも公開してファンを増やす狙いだ。東京だけでなく地方公演も計画する。劇団のプロデュースを手掛ける「ブレイカー」(東京・港)の佐藤友浩チーフ・コンテンツ・オフィサーは「リアルな舞台とネットの世界を行き来してファンを増やすだけでなく、投稿サイトの動画全般の質を底上げする刺激にもなっている」と話している。(雄)
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