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働き方は10年で一変する 新しい挑戦、40歳は遅くない 川崎貴子さん(ジョヤンテ代表取締役) 第1回

2016/2/18

(写真:都築雅人)

 働く女性を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。社会の中枢を担っていく30代から40代にかけての世代へ、自らも同世代のジョヤンテ代表取締役・川崎貴子さんが「40歳からの新たなチャレンジ」を語ります。

 現在40歳前後の世代は団塊ジュニアとも呼ばれ、人口が多いのが特徴です。私自身もその世代ですが、今思えば「みんなが中流」、習い事もみんな同じようなことをしてきました。お互いに空気を読み、一人だけ浮いたりしないよう気を使ったり、対人関係でのバランスを重視する人が多いように思います。

 アラフォーともなると、社会人経験は15年以上になります。働く場では、そろそろマネジメントする側になる年代です。ただ、これまでのように残業もして長時間働いて一つの企業に終身雇用で勤め上げるという形態は崩れつつあります。その中で特に女性はどのように働いていくべきなのでしょうか。

■「そこそこ」の仕事は、10年くらいでなくなる

 今後、働き方は大きく変わっていくでしょう。日本は既に終身雇用も年功序列も崩壊しており、まさに今、多くの企業が新しい雇用形態や評価制度を模索しています。

 先日、糸井重里事務所の篠田真貴子CFOに、米国シリコンバレーで多くの企業が採用して成功を収めている「ALLIANCE」という雇用形態を教えていただきました。この話を聞いて、トレードオフ的なシビアな形態ではなく、日本もこのような流れになっていくのではないか、それは企業にとっても働く側にとっても「本来あるべき形」ではないかと考えさせられました。詳しいことはリンクトインの創業者であり現会長リード・ホフマンらの著作『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』(ダイヤモンド社)を読んでいただければわかりますが、簡単に言うと企業と働き手が信頼をベースにコミットメントで契約を結ぶという雇用形態です。

 企業と労働者が本音でお互い希望を話し合い、企業は労働者にとっての成長や人脈を作る手助けをします。労働者は「この期間内にこれだけの成果を出す」ことをコミットして仕事に取り組みます。プロジェクトが終了すれば次の仕事を相談し、やりたい仕事がなければそこを去って他社に移る。企業にとっては、変化のスピードに柔軟に対応する組織をつくれるメリットがありますし、働く側にとっては成長できる仕事、自分のやりたい仕事に就けるというメリットがあります。そして、辞めて他社に行っても、再度また手を結んでもかまわないのです。それを本書では「終身信頼関係」と呼んでいました。

 こうした雇用形態が遠からず主流になってくると考えれば、これから求められるのは、何かのプロフェッショナルであることです。そこそこの仕事はたぶん10年くらいでなくなっていくでしょう。アウトソーシングされてしまうような仕事ではなく、その会社がなくなったとしても世の中で通用していけるような領域のプロフェッショナルであることが必要になります。

■新しいことを始めるのに40歳は遅くない

 「もうあまり若くもないのに、これからプロになるために勉強なんてできない」と思いますか? 勉強するのに遅すぎることなんてありません。

 私は40歳で第2子を出産した後に、いろいろな初めてのことにチャレンジしてきました。例えば、昨年から経理の勉強を始めたのもその一つです。19年間、経営者として数字は見てきましたが、実務は人任せでした。今は他の会社の経理も見ることになったので、一から勉強をスタートしています。

 実際に実務の知識を得たことで、今までとは違う数字の見方や税金の仕組みなどを理解できるようになり、経営者としても一段階、成長できたと実感しています。こうしてできることを広げていくことで、自分自身の成長も実感できます。一度成功体験をすると「次はこんなことにチャレンジしてみたい」という欲が出てきて、階段を上ることが楽しくなるんです。

 新しく始めたことは他にもあります。取締役を務めているウェブコンサルティング会社ninoyaで「酒と泪と女と女」というブログを始めたのが42歳になってから。婚活グループワーク「魔女のサバト」を始めたのも同じ頃です。

 さらに、これから婚活サイトを開設する予定です。この婚活サイトは「キャリア婚」、つまり共働きを前提とする結婚を推奨するのが特徴です。「結婚か仕事か」という選択で、頑張ってきた女性たちが迷うことなく婚活してほしい、という思いでサイト構築に励んでおります。

■チャレンジできることが幸せ

 40歳からも新しいことがいくらでもできる、というお話をすると「川崎さんだから、経営者だから頑張れるんでしょう」と言われるかもしれません。でも私の近くには、もっと厳しい環境でチャレンジしてきた人がいるんですよ。それは私の義母なんです。義母は現在、大学教授の職に就いていますが、以前は看護師として働いていました。夫を産んだ後、32歳の時に仕事を続けながら大学院に入学。「今しかない」と思ったのでしょう。看護の現場経験が豊富な看護学の教授という、希少なキャリアを手に入れたのです。

 義母の時代は、今のように女性が働くことに関して理解があった時代ではありません。私たちが思うよりきっと不愉快な思いもしたでしょう。もしかしたら、あまりにも忙しくてそういう声も義母には届かなかったかもしれません。義母に比べたら私なんてまだまだ(笑)。ただ、そんなモデルケースがそばにいてくれてとてもありがたいと思っております。

 必要なのは一歩踏み出す勇気です。アラフォー世代に足りないものがあるとすれば、その勇気だけではないでしょうか。

川崎貴子(かわさき・たかこ)さん
 ジョヤンテ代表取締役。埼玉県生まれ、1992年株式会社パソナに入社。97年に退社。同年、女性に特化した人材コンサルティング会社「株式会社ジョヤンテ」を設立。著書に『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のためのハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)など。

(ライター 中村仁美)

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