「ハイレゾ」対応プレーヤー、入門機も増え手軽に
ハイレゾ人気のきっかけの一つになったのが、ソニーの「ウォークマン」シリーズ。同社は2013年10月に初のハイレゾ対応機器を発売して以降、低価格モデルから高級モデルまでラインアップを広げてきた。
2015年はオンキヨーやパイオニアなども参入。国内オーディオ各社のラインアップも充実した。それまでは中国や韓国のメーカーが中心でマニア向けの印象が強かったが、ハイレゾを体験してみたいという初心者が入りやすくなってきている。
ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーは現在、5万円未満のエントリー(入門)クラス、5万円~10万円未満のスタンダードクラス、10万円以上のハイエンドクラスといったすみ分けが進んできている。
注目したいのは5万円未満の機器。出始めた当初は操作性に難がある機器が少なくなかったが、最近はスマートフォン(スマホ)などに搭載されているOS(基本ソフト)のアンドロイド採用機種も増え、全体的に初心者でも扱いやすくなった。
入門機で圧倒的な人気を集めているのは、やはりウォークマンシリーズだ。たとえば「NW-A25」なら実勢価格2万4000円程度。シリーズはどれもコンパクトで、ハイレゾモードでも30時間以上の連続再生が可能な電池の持ちの良さも魅力だ。解像度が高い高音や迫力ある低音など、メリハリの効いた音作りが特徴と言える。
韓国メーカーのコウォンが16年1月に発売した「PLENUE D」にも注目したい。実勢価格は3万円程度。ウォークマン同様にコンパクトで、タッチパネル液晶で直感的に操作できる。ハイレゾ再生時でも約51時間の連続再生が可能だ。
音響関連機器の小柳出電気商会(オヤイデ電気、東京・文京)が輸入総代理店となって販売する中国メーカー、FiiO(フィーオ)の「X3 2nd Gen.」(実勢価格3万5000円程度)は、上記2機種に比べると大きく重いが、入門機ながら外部のアンプに接続するデジタル出力端子を備えている。スーパーオーディオCD(SACD)に採用されている音声記録方式、DSD方式のハイレゾ楽曲の再生にも対応するなど、上位クラス並みの性能を実現している。
調査会社のGfKジャパン(東京・中野)によると、ハイレゾオーディオ機器市場は右肩上がりで伸びている。15年上半期の販売金額は14年同期比で約1.4倍、13年同期比では約3.8倍を記録したという。並行してハイレゾ音源の配信も増加。クラシックやジャズ、ロックなど多岐にわたるジャンルの楽曲が配信されている。
昨年、人気グループのMr.Childrenが音楽CDの容量には収まらない約110分、全23曲の新作アルバムをハイレゾ音源などで販売して話題となったことも記憶に新しい。
家電量販店などの店頭には様々なハイレゾ対応機器が並ぶようになり、予算やライフスタイルに応じて選べる。楽曲も懐かしの名盤から最新アルバムまでそろいつつあるので、興味がある人はCDを超える高音質の世界を体験してみてはいかがだろうか。
(IT・家電ジャーナリスト 安蔵靖志)
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