ロードバイクにアシスト、いいとこ取りで疾走感
本当にいいもの100選
ヤマハ発動機が2015年12月に発売した「YPJ-R」はロードバイクであり、電動アシスト自転車でもある。15万円クラスのロードバイクと同等のパーツを使い、電動アシスト機能を加えた。重さは15kg台と、純粋なロードバイクよりは重いが、通常の電動アシスト自転車よりは8kgほども軽い。アシスト機能を持つ自転車としては格段に高性能だ。
実際に電源オフのままでも、無理なく時速25km超まで加速できた。さらにアシストを使うとこぎ出しの抵抗が減り、きつめの坂もラクに上れた。
アシスト自体は時速24km超では働かない仕組みだが、平地では軽く時速30kmを突破できた。車体の重い従来の電動アシスト自転車で、これほどの加速は困難。ある意味「実力以上」のスピードで疾走する心地よさは、今までなかったものだ。
アシストモードは3段階ある。1回の充電で、「ハイモード」では14km、「スタンダードモード」では22km、1番アシストが弱い「エコモード」では48km、アシストによる走行ができる。
3段階のアシストモードの中間に当たる「スタンダードモード」なら登坂にも十分な力強さだ。モードの強弱による落差は通常モデルよりも激しい印象で、「エコモード」では上り坂でもアシストを感じにくい。「ハイモード」では時速20kmを超えても強くアシストされた。
軽量化にはアルミフレーム採用の他、バッテリー容量を大胆に減らしたことが効いている。バッテリーだけで通常は2kg以上あるが、YPJ-Rは僅か540g。容量も通常の3分の1以下の2.4Ahしかないが、すぐにアシスト不要な速度に達するYPJ-Rにはそれで十分という発想だ。ただ、低速走行の時間が長いと消耗は早まる。充電器も小型で気楽に持ち運べ、旅先での充電にも使える。
ヤマハ発動機は「ロードバイクに踏み出せなかった層に訴求したい」と語る。脚力に自信のない初心者でも手軽に疾走感を得られ、坂道があっても問題なし。さらに電池切れでも十分な走行性能がある。楽しさと安心感を両立できる商品だ。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年1月号の記事を再構成]
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