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発火しないリチウムイオン電池の開発に成功

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ナショナルジオグラフィック日本版

「ホバーボード」と呼ばれるセルフバランススクーターがこのところ大人気だ。体重移動だけで自由にコントロールできる小型の乗り物はさぞ楽しいだろう。だが、乗っている間に発火する事故が相次いでいるため、一部の大学や航空会社では持ち込みが禁止されている。事故をご存じなければ「ホバーボード」に「炎上」「発火」「爆発」などのワードを加えて検索してみるといい。

発火の原因はリチウムイオン電池だ。リチウムイオン電池はさまざまな家電に使われているが、これまでにも電気自動車や貨物飛行機などで火災を起こして問題になってきた。カメラ、ノートパソコン、タブレット、コードレス機器、そして、冬物の電熱ジャケットにも使われたリチウムイオン電池に過熱のおそれがあるとして、企業や米国政府が実施したリコールは数千件にのぼる。

今回、この問題が解決される希望が出てきた。米スタンフォード大学の研究チームが「Nature Energy」2016年1月11日号に発表した論文で、過熱する前にシャットダウンし、温度が下がったら速やかに再始動するリチウムイオン電池を初めて開発したと報告したのだ。

論文の共著者である化学工学教授のゼナン・バオ氏は、開発に使った材料のほとんどは安価なプラスチックやニッケルであるため、大量生産の可能性は非常に高いと考えている。なお、再始動後も充電池の効率は低下しないという。

より優れた、より安価な充電池への需要は高まるばかりで、世界中の研究者が新しい充電池の開発にしのぎを削っている。研究者たちは、フロー電池など新しい原理にもとづく充電池の研究を進める一方で、リチウムイオン充電池の効率を高めたり、発火のおそれを小さくしたりする方法も模索している。

例えば、米マサチューセッツ工科大学の研究チームは、リチウムイオン電池の電解質(正極と負極の間で電気を帯びた粒子を運ぶ物質)を液体ではなく固体にすることで、安全性を高められるとする研究成果を発表している。また、電解質に難燃材を加えて発火しにくくする方法も研究されている。2015年には、スタンフォード大学の工学者イー・ツィ氏が、過熱する前に警告を出す「スマート」充電池を開発している。

今回の論文の共著者でもあるツィ氏は、「ただし残念ながら、これまでの技術は不可逆的で、いちど過熱状態になった充電池は二度と使えなくなってしまうのです」と説明する。

この大問題を解決するため、研究チームはナノテクノロジーに目を向けた。直接のヒントになったのは、バオ氏が最近発明した体温測定用のウェアラブルセンサーだった。表面からトゲが出ている微小なニッケル粒子が埋め込まれたプラスチック製品だ。

研究チームは、トゲトゲのあるニッケル粒子をグラフェン(原子1個分の厚さしかない炭素シート)で覆い、伸縮性のあるポリエチレンの薄膜に埋め込み、電極にとりつけた。このポリエチレン薄膜に電流を流すためには、導電性のあるトゲトゲのニッケル粒子が連続して接触していなければならないが、温度が上がると薄膜が伸びて粒子どうしの間隔が広がり、電流は流れなくなる。温度が下がると薄膜が縮み、粒子が再び接触するようになって、再び電流が流れはじめる。

論文によれば、「われわれの設計は、信頼性が高く、高速で、可逆的な戦略を提供し、充電池の性能と安全性の両方を高めることができる」という。

米国のアルゴンヌ国立研究所エネルギー貯蔵共同研究センターのジョージ・クラブツリー所長は、今回の研究は非常に重要なものだと評価する。「リチウムイオン電池の安全は、電気輸送システムや送電網にとって最優先課題です。こうした分野では、数件の発火事故が大きな注目を集めてしまうからです」

クラブツリー氏は、スタンフォード大学の「まったく新しいコンセプト」は「印象的で有望」だが、より大型のシステムで充放電サイクル試験を行い、予期せぬ問題が生じないことを確認する必要があると言う。「リチウムイオン電池は、構成要素の予期せぬ副反応により劣化することが多いのですが、ポリエチレン薄膜に埋め込まれたグラフェン被覆ニッケル粒子も新しい構成要素だからです」

毎年、何億個ものリチウムイオン電池が製造されている。融解や発火や爆発を起こすものはそのうちのごく一部だが、なかには大きな事故につながったものもある。人気の「ホバーボード」に使われたリチウムイオン充電池は数件の火災を引き起こし、ルイジアナ州では家屋を全焼させてしまった。

事業家は、安全な電池の登場をただ待っているわけではなく、別の手立てにより発火事故を防ごうとしている。2013年には、テスラモーターズの電気自動車に搭載されたリチウムイオン電池が衝撃により破損して火災を引き起こす事故が数件起きたが、同社の共同設立者であるイーロン・マスク氏は、モデルSセダンの床下にチタン製のシールドを装備すると発表した。

(文 Wendy Koch、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年1月19日付]

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