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職場に日々、子連れ出勤 企業と母親の本音

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日経DUAL
子どもを職場に連れてきて働く「子連れ出勤」に、注目が集まっています。子どもの預け先が確保できずに働けないと悩む女性と、多様な人材を起用したい企業。両者のニーズを満たすものとして、期待されているのです。数年前から子連れ出勤を取り入れている、ソウ・エクスペリエンスでは、自社の取り組みや経験談を紹介しようと、2015年春から「子連れ出勤見学会」を開催しています。子どもの居場所はどう確保するのか、職場の人はどう受け止めているのか、課題はどんなところにあるのかなど、気になるポイントを取材しました。

授乳やおむつ交換の場所が無くても、何とかなる

体験ギフトの企画・販売を手掛けるソウ・エクスペリエンス。東京都目黒区のオフィスでは、約30人のスタッフが明るい雰囲気の中で働いています。フロアの一角に目を移すと、電話対応や商品の梱包をするスタッフのそばで、遊ぶ子どもたちの姿があります。

2015年9月中旬。この日、同社の「子連れ出勤見学会」には企業の人事担当者や経営者など20人ほどの人が集まりました。

まずは同社で商品企画を担当する関口昌弘さんから、同社の子連れ出勤の現状について、説明がありました。

「現在、当社では2人のパートタイム・スタッフが常時子連れで出勤しています。加えて、時々子連れ出勤をするスタッフが7人。時々、というのは例えば、仕事が遅くなりそうだから最初から連れてきてしまおうとか、子どもの体調がちょっと心配だから、といった感じで必要に応じて。なので、多いときは4、5人の子どもがいます。シッターは雇わず、自分たちで面倒を見ています」

子どもを連れてくるのは、女性だけに限りません。「代表の西村をはじめ、外回りの営業職の男性や私自身も、時々子連れ出勤をしています」と関口さん。

では、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。

「やっているのは、まず安全面の配慮です。机の角を緩衝材で保護する、子どもの手が届く所に刃物を置かない、といったこと。家でやるのと同じですね。それからお母さんたちの強い要望があったので、フロアの一角だけはじゅうたんを敷いて、土足禁止にしました。そこでは子どもたちはハイハイで自由に動き回ることができます。授乳やおむつ交換の場所は特に設けていませんが、今のところは、なんとかなっていますね」(関口さん)

子どもたちは基本的に、"土足禁止エリア"で過ごしていますが、そこは子ども専用というわけではなく、電話対応や商品発送を行うスタッフと共同のスペース。現在、子連れ出勤中の女性スタッフはここで、子どもを視界の端に入れながら仕事をしています。子どもを別室に隔離するのではなく「オフィスになじませるようにしている」というこのスタイルであれば、仮に親が手を離せないとき、子どもがトラブルを起こしそうになっても、別の社員がさっと対応することもできます。

一方で、「仕事に集中できない」と感じる社員もいるのでは? という疑問にも関口さんは答えてくれました。

給与は「みなし世話時間」を設定

「一度社員にアンケートを取り、意見を聞いたのですが、全員がおおむね好意的に受け止めていました。子どもがいない社員から『将来の勉強になっていい』という意見があったほどです。ただ、『シリアスな電話のときは子どもの声が気になる』という意見はありました。それについては、大事な電話のときは大人が別のフロアに行くことにして、解決しました」

子どもが会社の備品を傷つけてしまう、といったことは。

「子どもがカタログ商品に触ってしまったことは一度だけあります。でも『これは触っちゃダメだよ』と教えたら、子どもはちゃんと理解してくれました。それ以来問題は起きていません。ちゃんと教えれば大丈夫だと思っています」

なるほど。少しずつ工夫を重ねながら、今の形にたどり着いていったんですね。「そんなに特別なことはしていなくて、"慣れの問題"という部分も大きいんです」と関口さんは付け加えます。確かにスタッフの皆さんを見ていると、子どもがいる空間にすっかり慣れているのか、とても自然体。子どもの気配に過剰に反応するでもなく、かといって無視するでもなく、適度な距離感で接している様子です。

一方、課題点として挙げられたのは、通勤や給与の問題です。

「ラッシュ時は避けるようにしていますが、それでも子連れの電車通勤は大変です。それから、給与の面。現在、常時子連れ出勤のスタッフについては、"みなし世話時間"分を差し引く形にしています。『そのほうが、気持ちを切り替えて子どもの世話に当たれるのでいい』と本人側から申し出があったためですが、一概に何が正解とは言い切れず、議論のしどころだと思います。お互いが納得できる形であればいいと思うので、今後も場合に応じて、検討していきたいです」

続いて、子連れ出勤中の2人の女性が、日々の工夫や体験談を語ります。

こういう職場がなかったら、働けなかった

石井友花莉さんは、2才の娘さんを連れて出勤中。体験ギフトの予約受け付けを担当しています。先ほど関口さんから、「通勤の大変さ」について言及がありましたが、どのように対処しているのでしょうか。

「私は40分ほどかけて通勤していますが、以前、9時前に電車に乗ろうとしたら『ベビーカーは10時まで乗らないで』と乗客の方に言われてしまいました。遊びに行くと誤解されたようですが、確かにラッシュ時、ベビーカーで電車に乗り込むのは難しい。それで今は、始業時間を10時~10時半にずらしてもらっています。また子連れだと、出がけに子どもが急にトイレと言い出すなど予期せぬことも起きますが、勤怠連絡はLINEですればOK。気軽に連絡を取り合い、多少の遅れは寛大に受け止めてもらえる風土があるので、ありがたいです。もし『絶対この時間に行かないと遅刻』という会社だったら、もっとピリピリと、気負ってしまい毎日大変だと思います」(石井さん)

商品の梱包・発送を担当する望月町子さんも、2才の娘さんと出勤中。入社と同時に子連れ出勤を始めた望月さんは、「完全にこの働き方に慣れるまでには、半年くらいかかった」と言います。

「子連れ出勤は、すぐにうまくやろうと思うと、難しい。最初は、子どもが嫌いな人はいないだろうか、迷惑を掛けていないかどうかと、不安で。子どもに悪影響がないかという点も心配でした。でも、『ダメだったらやめればいい』と気持ちを切り替えて2カ月ほど働いてみたら、この会社の人は、本当に子どもを受け入れてくれる気持ちがあるんだということが確認できた。そこで信頼関係ができたので、この先も頑張ろうと思えました」(望月さん)

見学会参加者から「この働き方をどう感じているのか、本音が知りたい」と質問が飛ぶと、望月さんは、「子どもが保育園に入れるならその方がいいけれど・・・」という心境を漏らしつつ、「働き続けられることの喜び」を語りました。

「私は出産前に10年、会社員として働いていたので、子どもがいない環境の方が自分のパフォーマンスが高いということは日々感じています。子どもにとっても、ここでは職場ならではの制約があるので、幼稚園や保育園に入れるならその方がいい。でも私は保育園に入れなかったので、もしこういう職場がなかったら、キャリアに長いブランクが生じていたはずです。それを考えると、こういった形で働き続けられることに、価値や喜びを感じます」(望月さん)

実際、ソウ・エクスペリエンスが2014年に初めて「子連れ出勤OK」の求人を出したときも、望月さんのように、出産で仕事を辞めた後、子どもが保育園に入れず困っていた女性からの応募が多数ありました。

子どもを受け入れる雰囲気が浸透しているか

望月さんは、今後も工夫しながら子連れ出勤を続けていきたいと考えています。

「今後は、会社の近くの幼稚園に入れられたらいいなと思っています。昼休みを使って2時に幼稚園に迎えに行き、2時以降は職場に子どもを連れてきて働く。そんなスタイルで働けたらいいな、と」(望月さん)

これまで見学会には、IT、不動産、デザイン、銀行、サービスなど様々な業界関係者が参加しています。「子連れ出勤をしやすい業界や職種はありますか?」と質問すると関口さんは、「それよりも、社内の環境や雰囲気のほうが重要」との答え。たしかにソウ・エクスペリエンスでは、「子どもを受け入れる雰囲気」が全体に浸透している印象を受けます。このような風土を醸成するコツはあるのでしょうか。

「当社の場合は10人規模の会社だった頃から、特段断りなく、社員が子どもを連れてくることがありました。それを受け入れる価値観の人が集まっていたので、人が増えた今でも、意見が対立することはない。しかし、もっと大きな組織だった場合はどうだろう、と考えると、一番いいのはトップダウンだと思います。『うちはこういうことにするから』とトップが示す。そうでなくて、全体最適みたいなことをやろうとすると、なかなかやりづらいのではないかと思います」(関口さん)

「『子連れ出勤』は、企業にとっては人材確保の面で確実にメリットがあります。働く側にとっては、これで選択肢が増えたらいいと思う。出産後、早く復帰したい人、働きたいのに保育園に入れないという人にとって、一つの選択肢になれば。待機児童問題が解消されれば一番良いですが、一朝一夕ではどうにもならないですし、中小企業が企業内保育所を作るのも、簡単ではない。そんな中、今できる一つのこととして、子連れ出勤というものがあってもいいのかな、と思っています」(関口さん)

ソウ・エクスペリエンスでは、今後も子連れ出勤に対応していくため、「子どもが小学生になったらどんな環境を作るべきか」など、引き続き社内で議論を重ねています。また、社外から「通勤の大変さを考慮し、近隣限定で求人をかけたらどうか」とアイデアが寄せられることも。知恵を出し合い、工夫を重ねながら、「子連れ出勤」という一つの選択肢を維持していこうとする様子がうかがえました。

(ライター 星野ハイジ)

[日経DUAL 2015年10月27日付記事を再構成]

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