小湊鉄道・トロッコ運休で多難な旅路 大吉で運気回復?
今回のロケは残念無念というか、参りました。寒くなってきたので暖かい場所に行こうと千葉県房総半島を目的地に検討していたら、小湊鉄道が11月15日から新たにトロッコ列車を走らせるとの情報をキャッチ。養老渓谷の紅葉も見ごろを迎えるはずだし、最後は房総の海の幸に舌鼓!ともくろんだのですが……。
11月21日でした。小湊鉄道のグッズを撮影用に仕込もうと同社のホームページをのぞいたところ、「トロッコ列車運休のお知らせ」が出ていたのです。小湊鉄道を走った蒸気機関車(SL)をモチーフに造られたディーゼル機関車の車輪をつなぐサイドロッドが20日に破損し、里見駅と飯給(いたぶ)駅の間で列車が運転を停止。インターネット上にも鉄道ファンの書き込みや撮影した画像があふれていました。
原因究明と修理に時間がかかるのは確実で、29日の撮影には間に合いそうにありません。急いで撮影スタッフに連絡を取り、計画を見直さざるをえなくなりました。
京成電鉄千原線ちはら台駅に午前9時ごろ集合→小湊鉄道海士有木(あまありき)駅に移動→市原ぞうの国でぞうのショータイム見学→小湊鉄道里見駅から養老渓谷駅までトロッコに乗車→後半戦へ
<修正案>
JR内房線五井駅に午前9時に集合→午前9時25分発の小湊鉄道上総中野行き列車に乗って高滝駅で下車→市原ぞうの国→養老渓谷に→後半戦へ
修正案なら新宿駅を午前7時50分に出発して五井駅に8時53分に着く「新宿さざなみ1号」に乗れば間に合いますし、多少の早起きで対応できます。ところがスタッフから「午前9時25分発の列車は紅葉シーズンで激しく混雑するので避けましょう」と提案があり、午前7時55分発の列車に1時間半も前倒しになってしまったのです。
五井駅に午前7時30分に集合→午前7時55分発の列車に乗って上総牛久駅で下車→笠森観音で参拝→市原ぞうの国→養老渓谷に→後半戦へ
これだと多少の早起きどころではすみません。新宿駅午前7時18分発の「新宿わかしお号」と普通電車を乗り継いでも間に合いません。何とか五井駅7時44分着の普通列車で向かうことで許しを得ましたが、撮影前日にスタッフから「小湊鉄道のホームで待っていますから、乗り換えの場面はスマホの自撮りでお願いします」とのメールが届きました。そんな無茶な……。
小湊鉄道はディーゼルカー(電車ではありません!)がエンジン音を響かせながら単線をガタンゴトン走る、ローカルムード満点の路線です。テレビ番組やコマーシャル、映画などの撮影にもよく使われます。走行シーンや五井駅の機関区に保管されている機関車、乗り換えのときのドタバタなどは映像でぜひご覧ください。
以前は海士有木駅から千葉方面に向かう路線も計画。一部が第三セクターの千葉急行電鉄として開業したものの、建設費の高騰と乗客数の低迷から経営不振に陥り、路線は京成千原線として引き継がれました。京成ちはら台-海士有木は未開通のまま今日に至ります。当初、ちはら台駅に集合し、海士有木駅に立ち寄る計画を立てたのは、こうした経緯を映像でリポートするのが目的だったのです。
五井駅の乗り換え口には地元の弁当店「やりた」の売り場があり、あさり弁当やマグロのかまとろ丼など人気の駅弁も買えます。ただし、トロッコ列車を除く大半の車両は向かい合って座るボックスシートでなく、JR山手線のような窓に背を向ける「ロングシート」と呼ばれる座席なので、車内で包みを開けるのは少し勇気が必要かもしれません。養老渓谷などの行楽地でゆっくり味わうのがおススメです。
筆者が買ったかまとろ丼は大食漢の伊藤謙太ディレクターが養老渓谷でおいしい昼食を済ませた直後であるにもかかわらず一気に平らげました。「甘辛く味付けされたマグロがたくさん載っていておいしかった」そうです。
上総牛久駅までは沿線に新興住宅地があるので列車本数が多く設定されているのに対して、養老渓谷や終点の上総中野まで行く列車はガクンと減ります。小湊鉄道の列車にはトイレが付いていません。五井駅から養老渓谷駅までは1時間10分ほど。乗り通す場合は事前にトイレ休憩しておきましょう。
撮影当日は緊張感から午前2時に目が覚めてしまい、遅刻を恐れて「二度寝」を我慢しました。ロケが始まるころには激しい睡魔が……。長南町にある笠森観音の石段を上り、急な階段を上がって本堂で大吉のおみくじを引いて、ようやく意識が戻りました。トロッコに乗れず、撮影もかなわなかった筆者の運気も上向くはずです。
次回(19日公開予定)は家族連れに人気の市原ぞうの国と、紅葉の名所で知られる養老渓谷を取り上げます。筆者は松本千恵記者です。
(電子編集部 苅谷直政)
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